チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

年金への所得税徴収問題 2

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年金への所得税徴収問題 (2)

■疑心暗鬼は情報不足から
本来払うべき所得税をタイ当局のお目こぼしで許してもらっていたが、これからはそうはいかない、タイ政府は年金受給者からビシビシ税金を取りたてる。脱税は重い罪、下手をすると国外追放か、などと心配する向きもあると思う。
情報がないと悪い方へ、悪い方へと考えがちだ。
チェンライを皮切りに、これから各地の税務署で説明会が開かれると思うし、税務署員の訪問調査の状況、指導内容、納税の有無など情報が集まってくれば、何だ、あんな心配をして損した、ということになると思う。

説明会では税務署が訪問する35名の名前が読み上げられた。リストの中に日本人会員もいれば会員でない人もいる。
税務署はバンコクの本省から送られてきたリストをもとに、本省の指示に従って作業を行っているだけで、チェンライ税務署の判断や情報で調査対象を決めているわけではない。リストは日本政府(多分年金機構)と本省で作成したものという。
リストに記載された年金額が正しいか、副業はないかをチェックするのだが、税務署に出頭してもらうのも大変だろうからご自宅にお伺いします、とのことだった。

繰り返しになるが、年金受給者で納税指導を受ける人はごく少数だろうとのこと。

なお、日本と違い、納税場所は税務署ではなく、税務署からの書類を持って郡役所の窓口に行って支払う。銀行振り込みはない。税務署が銀行口座を指定するとか、寄付を求めるということは一切ないそうだ。タイにも振り込め詐欺があるそうだから、わざわざ念を押してくれたのだと思う。

■日本政府は当てになるか
説明会に出席した自分の個人的感想ではあるが、チェンライ税務署の説明は懇切丁寧、道理にかなっており、充分納得のいくものであった。ただ、係官が各家庭を訪問調査するにはコストがかかるし、徴税できる可能性は低いとなれば、あまり意味がないのではないか。

その前に日本政府が年金を2重課税防止条約の対象にしてくれれば、タイとしても威信をかけて無駄な作業をしなくてもよかったのではないかという気がする。「国民の暮らしが第一」という日本政府であるが、2重課税の不安におののくロングステイヤーなど国民のうちにはいらないだろうから政府に期待するのは無理か。

また、タイではTAT(タイ観光庁)が邦人ロングステイヤーを誘致しようと頑張っている。しかし年金に2重課税される恐れがある、などという噂が広まれば、せっかくの誘致策に水を差す。日本大使館は無理にしても、せめて盤谷日本人商工会議所辺りが観光庁に働きかけて、2重課税の不安を解消するような見解を発表してもらってはどうかとも思う。しかし、現役世代の中には「ボクの年金掛け金が、ビアバーで熟年がばらまくチップに使われるのか」と妬んでいる輩もいるから、これも難しそうだ。

■チェンライ日本人会
チェンライ税務署の係官は30分ほどの説明を終えたあと、参加者一同に「質問はありませんか」、とにこやかに促した。質疑応答は1時間以上も続いた。きわどい質問もあり、税務署の心証を悪くするのではないかと心配するほどであったが、係官はフランクに答えてくれた。
180日以上タイ国内に居住する居住者は収入の申告義務がある、という建前であるが、税務署がすべての年金受給者のリスト、年金額を把握していないようだということもわかってきた。

チェンライ日本人会では説明会の内容を翌日にHPにアップした。それだけでも画期的なことなのに、問合せ先に会長が自分の電話番号を明記していることには感銘を受けた。HPであるからだれでも閲覧できるし、いくつかのブログにはHPがコピペで紹介されている。
会長のもとにはチェンライ、チェンマイのみならず、タイ全国、ひょっとしたら日本からも電話が殺到していることだろう。その一つ一つに丁寧に答えている会長さんの姿が目に浮かぶ。

いわれなき中傷にも反論することなく、日本人会の役員さんは結束して邦人のために尽くしてくれていると思う。

税務署の訪問調査リストの中には日本人会員もいる。納税した人もその必要がなかった人もいる。調査に訪れた税務署員を怒鳴りつけて追い返した人もいると聞く。様々な情報を各地の日本人会同士で共有できれば、流言飛語に惑わされる人も少なくなるだろう。

税務署相手にモノ申すことはタイ人ばかりでなく、邦人でもなかなか勇気がいる。藪蛇ということも考えられるからだ。その中でタイと日本の間に立って年金受給者の便宜を図ろうというチェンライ日本人会の取り組みは高く評価されてしかるべきと考える。


写真はメーヤオ、ファイメイーサイ滝