チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タイ政界混乱

対岸のラオス領を

望遠で撮るとこの通り

渡し舟を

望遠で撮るとこの通り

遊歩道の川床

子供が遊んでいた。もちろん望遠

 

タイ政界混乱

■まだ首相が決まらない

5月14日投票のタイ議会下院総選挙(定数500=小選挙区400、比例代表100)は、民主派の野党2党が獲得議席数の1位、2位となり、過半数を抑えて勝利した。投票率は75.2%だった。議席数が確定したのは同月19日、旧野党陣営の革新系ガウクライ党(ムーブフォワード党)が151議席、タクシン元首相派のプアタイ党が141議席を獲得し、1、2位となった。

定数500のうちガウクライ党とプアタイ党を合わせれば下院過半数の292議席を占めるので、野党からすんなりと首相が選出されるかというとそうではない。首相指名選挙にはプラユット軍事政権が議員を選任した非民選で王党派の議会上院(定数250)も投票する。第一党となったガウクライ党は国王批判を禁じた不敬罪の改正・廃止、徴兵制の撤廃などを掲げて王党派と正面から対立しており、首相指名選挙で王党派、上院の支持を得られない。

ガウクライ党の党首のピター氏は42歳のイケメン、7月13日の首相指名選挙で民主派8党の統一候補として擁立されたが、得票数は324票にとどまり、首相選出に必要な376票にとどかなかった。プラユット軍事政権が議員を選任した非民選で王党派の議会上院(定数250)から賛成票を投じたのが13議員にとどまった。下院では旧与党陣営が反対に回った。

そのうえタイ憲法裁判所は7月19日、革新系民主派のガウクライ党のピター党首(42)が、国会議員がメディア会社の株式を所有することを禁じる憲法規定に違反したとするタイ選挙委員会の訴えを受理し、判決を出すまでの間、ピター氏の下院議員資格を停止した。王党派の巻き返しである。憲法裁判所は2019年にも野党党首の下院議員資格剝奪と当該野党の解党命令と党幹部16名の参政権停止10年命令を下している。

総選挙が終わって3ヵ月経つのに首相が決まらないのでは、タイの政治はガタガタではないかと思うが、表面上、何事もなく毎日が過ぎていく。これが何でもありのタイ、というべきなのかもしれない。

 

■タクシン派から首相選出か

革新系民主派のガウクライ党のピター党首は恐らく議員資格を剥奪され、下院151議席を取ったガウクライ党は解党となるという公算が大きい。それでだれが首相になるのかというと、141議席を占めて第2党となったタクシン元首相派のプアタイ党から首相が出る可能性が出てきた。プアタイ党は不敬罪の改正・廃止には距離を置いており、保守王党派の支持取り付けも可能だ。

上記の流れを裏付けるようにタイクリップ7月27付に下記の報道が流れた。

タクシン・チナワット元首相(74)の次女でタクシン派政党プアタイ党顧問のペートーンターン・チナワット氏(36)は26日、2008年から国外亡命生活を送るタクシン氏が8月10日に帰国すると、フェイスブックに投稿した。バンコク北郊のドンムアン空港に降り立つ予定だという。26日はタクシン氏の74歳の誕生日だった。

 タクシン氏はタイで汚職などで計12年の禁固刑が確定していて、帰国すれば収監される見通し。ペートーンターン氏は父親の帰国について、「喜び、心配している」「父の決断を尊重する」などと記した。(引用終わり)

帰国すれば収監の見通し、となっているが収監、即恩赦で釈放されるだろう。タクシン氏はバラマキ政治、汚職など毀誉褒貶あるものの、北タイでは圧倒的な人気を誇る。北タイやイサーンの貧農が医療の恩恵に浴することとなった30B医療は定着し、庶民の支持を受けている。

 

■消えない階層対立

タイ語のジアップ先生は中流クラスであるから反タクシン、都市の中、上流の高学歴層も反タクシンだ。貧乏人の肩を持ちすぎる、票を金で買っているとタクシン派はこき下ろされるが。金持ちより貧乏人のほうがいいうから、タクシン派のプアタイ党は結構な議席を獲得する。今回は徴兵制廃止などを唱え、若者から圧倒的支持を受けたガウクライ党の後塵を拝したが北タイを中心に硬い地盤を持っている。

実をいうと自分はタクシンが嫌いではない。日本で会ったことがある。確か2003年、タイに関するイベントがあり、来日中のタクシン氏が「エリートカードの勧め」といった講演を行った。そのあとイベント会場を見て回り、その時、自分の前に来たので握手をしてもらった。思ったより小柄な人だなという記憶がある。タクシンさんとの縁はこの程度だが、熱烈なタクシン派、メバーンのブアさんの影響を受けているかもしれない。

ともあれ、低所得者層の圧倒的支持を受けているタクシン氏である。帰国によって、低所得者層と都市部保守層と国を二分する抗争が激化するかどうか、タイの政治から目が離せない。