チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(5)

ウクライナ、ポプラブスカ選手

荒川姉妹

小堀桃子選手、左はクムクム選手

タイ、サラチップ選手

美少女、サラちゃん

 

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(5)

■温故知新
このところテニス関連ブログと言っていいほど、テニスのことばかり書いている。どうかご寛恕頂きたい。ここ3週間、1日も休まずテニス観戦を続けているのだ。4月4日からトーナメントが始まり、10日に終了すると思っていたが、10日、男女シングルスの決勝をやっている横で第2節、10日から17日のトーナメントが始まった。これで終わりと思っていたら17日から第3節が始まった。時間的にテニス観戦が生活の大半を占め、我が関心はついテニスに偏ってしまう。

これまで漫然とテニスをやってきたが、プロの試合を観戦し、時にはプロのお話を伺うことにより、これまで全く知らない世界を垣間見ることができた。いくつになっても知らなかったことを知る、蒙を拓かれるという経験はうれしいし、大げさに言えば感動的である。

「選手がサーブする前に3個とか4個のボールを持って、2つ残してボールキッズに返しますよね。どういった基準でボールを選択しているのですか?」
「速いボールで勝負したいときは、少しでも新しいボールを、逆にスローボールを作戦に取り入れるときはフェルトが磨り減ったボールを使うのです」
「へー、知らなかった。私なんかポイントが取れた縁起のいいボールを選んじゃいますが」
「それ、アリですよ、特に女子選手はポイントが取れた『ラッキーボール』を選ぶ傾向があります。この大会では1試合4球で回していますが、ランクの高い試合では8球使うから、どれがどのボールかわからなくなりますけどね」

■常にニューボール
時折、主審が指示して新しいボールに取り換える。プシュッという缶を開ける音が聞こえる。

「ボールの交換は主審が適当に決めるのですか?」
「いえ、ゲーム数が決まっていて、最初は11ゲーム終わったら、次は13ゲーム毎に新しいボールに換えます。グランドスラムのような試合では7ゲーム終了時とその後9ゲーム毎にボールを取り替えます」
ユーチューブでテニスを見ることはあるが、よほど注意深い人でなければ定期的に新ボールと交換していることには気付かないだろう。この大会でも決勝戦は7ゲーム,9ゲームでボールを交換していた。

我々のテニスでは、ボールに印刷されているDUNLOPの文字が読める限り、試合球として使用する。文字は消え、毛が生えていない、つまりフェルトが磨り減ったボールは頭上から落として腰以上まで弾むならば、練習用ボールとして使用する。
時折、誰かが缶をプシュッと開け、新ボールを提供すると、みんなが「ニューボール、ニューボール」と歓声を上げる。日本ではニューボールを使用するのが当たり前であったが、物価水準からみればテニスボールはタイではまだ高価な贅沢品である。

■みんな仲間同士
ITFのトーナメントは賞金金額によって出場者のクラスが決まっているので、世界ランキングで同程度の選手が集まる。世界中を転戦しているから、あちこちで同じ顔ぶれに出会う。対戦でも練習でも一緒、テニスの技量ばかりでなく、性格も分かる。

選手同士、メールでいつも連絡を取り合っているそうだ。第一節で岡村恭香選手とタイのピータン選手がダブルスで中国人ペアを破って優勝した。第二節で準優勝だったが小堀桃子選手とタイのクムクム選手がペアを組んでいた。お互い、この大会、ペアを組んでがんばろうとメールで連絡していたのだろう。コート上でポイント毎に笑顔で声を掛け合い、楽しそうに戦っていた。

相手が苦し紛れに上げた浅いロブ、これをクムクム選手が必殺のスマッシュ、ところがネットに引っかけた。クムクム選手は思わず小堀選手に「コート―、コート―(ごめん、ごめん)」。タイ語だが小堀選手も分かったようで、大丈夫よ、という仕草で応えていた。

ダブルスにおいてはやはりファランファラン同士、アジアはアジアの選手とペアを組む傾向がある。同国人ペアが多いが、中にはロシアとウクライナ、中国と香港、日本と韓国のペアもある。選手同士の結びつきは国や政治を越えたものらしい。プロは勝つか負けるか、この一点だから、政治が入る余地はないのだろう。

トーナメントが始まる前は、1日数時間、ウクライナ戦争の情報収集に余念がなかった。いい加減なことをいうコメンテータに腹を立てていたこともある。今もなんだかなーという発言をする人はいる。ウクライナの現状からしてこれからの日本はどうあるべきか、といった問題意識がないではない。でも今は日本人選手の繰り出すサーブ、スマッシュに心洗われる時間を過ごしている。いずれにせよ、頑張れ、日本、は変わらない。