チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

舞鶴、若狭で

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瓜割の滝、湧き水が流れているらしい

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上皇上皇后陛下もご飲用とのこと

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修験道場なので入山禁止

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遠敷川

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きれいな水だが冷たくはない

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お水送りの神事、3千人の松明行列が続くとか


舞鶴、若狭で

■国道27号線
舞鶴に住む娘夫婦を訪ねたのは8月初旬だった。舞鶴も東京並みに気温が高かったが、夫婦の住むアパートは高台の一角にあり、3階だからいくらか風が入る。それに後背地が緑豊かな里山となっていて、緑のお陰で気温が下がる。夜には山の方から鹿の鳴き声が聞こえる。アパートの前の芝生には鹿の糞が落ちているという。都ぞたつみしかぞすむ、だ。部屋は冷房が効いているし、テレビでは次から次へとオリンピック競技をやっている。ダラダラと日本選手の活躍を見続けていてもいいのだが、折角来たのだからと、娘がドライブに誘ってくれた。お気に入りの場所があるという。1歳7カ月の孫息子も家に籠っているより、外で遊んだほうがいい。
舞鶴から国道27号線で敦賀方面に向かう。左手は海、白浜が美しい海水浴場をいくつか通り過ぎる。2千台収容の専用駐車場があるが、入り口は閉ざされている。「3密を避けるため」、京都府福井県の海水浴場は閉鎖されているのだ。

田舎にしては役場や運動施設がやたらに豪勢な地域を通った。関西電力大飯原子力発電所のあるおおい町だ。近くには高浜原子力発電所高浜町)もある。土木、建築会社の看板も見える。温泉施設が見えたが入湯料はわずか300円、これだけ補助を受け、町が潤っているのだから、運転差し止めなど恩義に反する行為だと、自分は思うのだが、反対すればさらにお金が出るのかもしれない。

オリパラ反対運動にしろ、感染症対策にしろ、この問題によって誰が利益を得るのか、とすぐ考えてしまう。お金の動きだけで全て解明できるとは思わないが、損得は、と反射的に考える自分を疎ましく思うこともある。

■瓜割の滝
舞鶴から約50キロ、1時間ほどで福井県若狭町、天徳寺の若狭瓜割名水公園に到着した。駐車場は無料、入場料もない。鎌倉に行ったときはどこでも入場料を取られたなあ、と少し嬉しくなる。駐車場前の掘割に澄んだ水が勢いよく流れている。手を入れてみると冷たい。年間を通して11.7度の湧き水が流れているのだそうだ。余りの冷たさに瓜が割れてしまったところから瓜割の滝と呼ばれるようになったとか。

鬱蒼とした森林をゆっくりと登っていく。幼児でも歩けるほどの距離に滝があった。滝といっても高さは3メートルほど、渓流が岩から迸り落ちているという感じだ。滝の周辺も木々に囲まれているので、森の底から湧き出てくる清水という気がする。滝の傍らにはパイプから清水が流れ落ちている。上皇上皇后両陛下が、昭和61年10月行啓の折、ご飲用され、称賛のお言葉を賜ったとの碑が立っている。同じ水を手で掬って飲んでみた。

「瓜割の滝」は昭和60年環境省の「全国名水百選」の一つとして認定され、おいしさ部門で日本第2位となっている。因みに1位は神奈川県秦野市、丹沢の水。
瓜割の滝一帯は修験者の道場となっており、手の入ってない森林は神秘的である。滝の横は四阿の置かれた広場となっており、子供を遊ばせるに丁度良い。

水は駐車場にある蛇口からも呑むことができる。10リットルとか大量に汲んで帰る場合は環境整備料として300円のワッペンを近くの茶屋で購入する。ペットボトル位なら無料、この水は長く置いても悪くなることはない。瓜割の水で淹れた珈琲やお茶は明らかに味が違うという。

■鵜の瀬
瓜割の滝の帰りに娘が鵜の瀬に寄っていこうと、車を左折させた。遠敷川(おにゅうがわ)という川にあるらしい。奈良の東大寺二月堂では修二会の一つとしてお水取りが行われる。その水は鵜の瀬から東大寺に行くとのこと。

『二月堂縁起絵巻』(1545年(天文14年))によれば、東大寺の開祖良弁の弟子、実忠が修二会の最後に神名帳に記した1万3千7百余座の神々の名を読み上げ祈念したところ、遠敷明神だけが遅刻してこれを聞き逃した。これを悔やんだ遠敷明神は二月堂のほとりに「香水」を奉じると約束した。すると、黒と白の鵜が岩を割って飛び出し、その岩から泉が湧いた。この「香水」は若狭国から10日かけて地下を通って若狭井へ届くという伝説があり、若狭神宮寺では毎年3月2日に若狭井へ水を送る「お水送り」の神事が行われている。神事が行われる場所が遠敷川の「鵜の瀬」である。鵜の瀬の水も日本名水百選に選ばれている。

遠敷川は澄んだせせらぎとなっていて、淵では近所の子供が浮き輪で水浴を楽しんでいた。海に行けなくても川で泳げる。駐車場も名水も無料、おにぎりを持ってくれば1日自然の中で楽しめる。田舎の生活は恵まれているな、と思う瞬間である。