チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

金メダルの陰で

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全紅嬋選手

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横浜散歩から

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洒落た椅子

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手前はワクチン接種会場往復バス

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みなとみらい

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ホテルの喫茶室から


金メダルの陰で


東京五輪、女子高飛び込み
女子高飛び込みは、14歳の全紅嬋が制した。 水しぶきを上げない「ノースプラッシュ」を5本そろえる圧巻の内容。2回目と4回目は7人の審判全員が10点満点を出す完璧なダイブだった。「緊張したけど、少しだけ」とあどけない笑顔で振り返った。  3月に14歳になったばかりで、1年延期がなければ規定により五輪に出場できなかった。国外での試合は初めてだったが、「2、3日したら適応できた」。予選、準決勝、決勝と進むごとに得点を上げ、史上2番目の若さでの優勝となった。

金メダリストの全紅嬋選手は「母が病気で、その治療費を稼ぐために一生懸命練習してきました。たくさんのお金を稼いで、母を治したい」と語った。
全さんの母親や祖父らは広東省湛江市馬張区舞鶴村に住んでいるが、長年にわたって貧しい生活を送ってきた。たまたま小学校の水泳の授業をみていたコーチが才能を見出したことで、全さんは飛び込み競技を始めた。
 全さんは家族の勧めもあり、7歳のときに広東省のチームに入るために故郷をあとにした。ところが、その後、母親は通勤途中に交通事故に遭い、肋骨数本を骨折したが、治療費がなく、まともな治療を受けられなかったという。

 「オリンピックで優勝すれば、お母さんの治療費を稼ぐことができる」、全さんの言葉には心打たれる。
 生まれ故郷の村では全さんの優勝のニュースで大騒ぎになっており、ネット上の動画では、彼女の家の前で人々が爆竹を投げてお祝いしている様子が映し出されている。
 その後、すぐに湛江市の企業が全さんの家族に家具付きの家と店舗、そして現金20万元(約340万円)を贈ることを発表。 湛江市衛生局と広東医科大学病院の幹部が全さんの祖父と母親の医療費を全額負担することを申し出たという。(以上、米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」から抜粋)

■字も読めませんし、
全さんは身長140センチ、短髪で小学生のような幼さだ。あどけなく、記者の質問にはにかみながら答えていたが、自分が驚いたのは彼女が「私は字も読めませんし、」と言ったことだ。飛び込み以外の教育は何も受けていない、ということだろう。ジャーナリストの福島香織さんは、北京五輪の取材をしたが、中国の五輪選手はメダリストであっても、その後の生活は悲惨という。メダルを売って生活費の足しにする、垢すりなどの肉体労働でその日暮らしは当たり前らしい。

独裁国における五輪は「国威発揚」の場であるから、運動能力に優れた子供を国中から集めて特訓を施す。全紅嬋さんの陰には何千人ものスポーツ少女がいる。彼女たちは五輪に届かないと見限られると、即、帰郷となる。読み書きも、計算も、社会常識さえ身につけることができなかったスポーツ少女にどのような人生が待っているのか。

1990年代に中国の陸上選手がメダルを量産した。コーチだった馬氏の名を冠して「マー軍団」と呼ばれた。マー軍団は巧妙なドーピング戦術を駆使したことが後年明らかになっている。

東独の水泳選手がメダルラッシュを演じたことがあるが、これもドーピングによるものであった。薬物の副作用で選手の中には20代、30代という若さで病死、或いは精神的障害に陥る人が続出した。体操選手の場合、体が大きくなると技の切れが悪くなる。それで東欧の女子体操選手には成長を抑える薬品が注射されていた。

■日本女子バスケ
たまたま、バスケットボール女子の試合を見ることができた。対フランス戦はシーソーゲームで大興奮、3点シュートが決まるたびにガッツポーズだ。162センチと小柄な町田選手が長身の白人女の間を機敏にすり抜けて、アシストを決める。どこにシューターが動くか体が覚えているのだろう。すべての選手が一瞬に変わるファーメーションの中で自分のとるべき位置を把握しているように見えた。チームワークで掴んだ銀メダルと言える。バスケのような団体競技では身長差、体力差だけで勝負は決まらない。

水泳、飛び込み、陸上のような個人競技であれば、天分があり、たゆみない練習に耐える精神力があれば、メダルに手が届くところまではいくだろう。団体競技には天分と努力だけではなく、チームワークが必要だ。中国がせいぜい卓球やバトミントンン止まりで、バスケやサッカー、ラグビーなどの団体競技のメダルが取れない理由もそこにある。

更に言えば一流の選手になるためには天分と努力以外に必要なものがある。多くのコーチが言っているがそれは「素直さ」である。全紅嬋選手も天分と努力の他に母を想う素直な心があったからこそ金メダルに輝いたのでは、と思っている。