チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

季節の和菓子

 

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ネットから

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季節感と美しさ

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お茶も大切

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虎屋の羊羹

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タイレストラン 時節柄テイクアウトも

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ちょっとピンボケですが エビとパクチーの冷麺



季節の和菓子

■和菓子の品格
和菓子を頂いた。名前は紫陽花、レモン餡を口溶けのよい二色のしぐれで包み、羊羹製の葉をそっと添え、色鮮やかに咲き誇る紫陽花の姿に見立てました、と説明書きにある。見るからに涼しそう、一口で食べられる大きさであったが、小さなさじを使って少しずつ口に運んだ。

和菓子は季節と密接な関係がある。夏の和菓子としては水無月、紫陽花、水ようかん、金魚すくい、レモン杏仁などが知られる。半透明感のある葛や寒天、ゼリーが用いたものが多い。名前も見た目も涼しそうだ。冷やしてお召し上がりください、とある。和の心で涼しくなろう、というわけか。

春ならば桜餅、花見団子、秋は栗饅頭、冬はゆず餅、雪見大福など、季節ごとに床しい名前の和菓子が登場する。店舗名も俵屋吉富、鶴屋吉信、笹屋伊織、二條若狭屋など歴史を感じさせる名前が多い。

和菓子は餡子主体だから太ると敬遠していた。でも日本にいるからこそ味わえる季節の味、大量に食べるものではないから、いいお茶を淹れて日本にいる喜びを味わいたい。
1年以上日本に暮らし、いくらか心の余裕がでてきたような気がする。

■タイに和菓子はない
羊羹、どら焼き、大福とかは別にして、花とか小動物をかたどったいわゆる雅な和菓子をチェンライで食べた記憶がない。売っている店もない。洋菓子店はいくつかある。でも洋菓子で季節を感じる、つまり季節限定で製造販売される洋菓子はあるのだろうか。マロングラッセは栗だから秋の洋菓子といえるかもしれないが、どうも年間通して売られているような気がする。それにチェンライの洋菓子は、一般に大ぶりで生クリームがべたべたと張り付いている。生クリームの飾りが雑であるためケーキの形が微妙に違う。

東京のデパ地下で洋菓子を見たことがある。ショーケースの中に寸分たがわぬ大きさのケーキがきっちりと並んでいて、宝石のように美しかった。照明も違うのだろうがセンスの違いを痛感したものだ。
チェンライのケーキはぼってりしていて、見るからに血糖値が上がりそうである。チェンライにもBMI値35をはるかに超える肥満体の人がいるがこれもケーキのせいではないか。

■タイのお菓子は単純
チェンライではお寺の縁日などでお菓子(カノム)を作る。カノムは甘い餅菓子でココナツ味、バナナ味がある。アンチャンで青く染められることもある。バナナの葉で包まれている。包装はエコであるが、味は似たり寄ったりだ。「お土産物に最適、タイのお菓子8選」がネットでヒットするが、上記のカオニャオ・デーンも入っている。他の7種のお菓子は見たことがない。タイのお菓子はポッキーとかポテトチップスなどスーパーの袋菓子が主流だ。でもカノムといえばバナナの葉にくるまれた甘い餅を指す。昔はこれしかお菓子はなかったのだろう。

目で楽しみ、口で楽しみ、心で楽しみ、季節に思いを馳せるお菓子はチェンライには存在しない。暑い気候なのだから食べるもので涼感を味わうという工夫があっていいようなものだが、ゼリーや寒天を使ったお菓子はない。冷やして食べるお菓子も聞いたことはない。日本のお菓子は美味しい、とタイ人は言うが和菓子を参考にしてタイ独特のお菓子を創作するというタイ人の存在は聞いたことがない。

■温故知新はタイ料理にも
この季節、街には「冷やし中華始めました」のポスターが見られる。そういえばタイには冷やしパッタイ、冷やしガパオ、冷やしトムヤンクンといった冷たい料理はない。食べ物で暑さを乗り切る、はひたすら辛いものを食べて汗を流す、これしかないのだろう。
先日、品川にあるタイレストランでカオマンガイパッタイと並んで「エビとパクチーの冷麺」という料理の看板が出ていた。グリーンカレー冷やし中華のコラボのようだ。さすが日本、客のニーズを先取りして冷たいタイ料理を創作してくれた。
改良は日本人の先天的才能といっていい。実は和菓子の老舗でも季節感を持つ洋菓子を開発し、販売している。

抹茶のあずきロール、ゆずのチーズケーキ、イチゴのロール、ハッサクパイ、紅玉りんごケーキなど季節限定の洋菓子がある。珈琲、あるいは紅茶と共に洋菓子で季節をしみじみ味わう、緑茶に和菓子にも匹敵する心の豊かさを堪能できるのではないか。こういう心情は世界共通かというとそうでもない。和食文化にハマってしまう外人が多くいることはそれを証明していると思う。日本人に生まれて幸せだ。