チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

なぜ人は嘘をつくのですか?

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この日は天気が良かったので多摩川

 

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双子多摩川付近

 

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多摩川道路、ホンダ、フュージョン、今やレアもの

 

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川崎市側のマンション

 

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サイクリングの人も

 

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散歩をしたり、キャッチボールも

 



なぜ人は嘘をつくのですか?

 

■番組の裏側

NHKに30年以上続いている長寿番組「子ども科学電話相談」がある。家にはテレビがないので、ラジオを聴いている。昼の憩いとか子ども科学電話相談は懐かしく、パターンがある程度決まっているので、新しいものにはついていけないポンコツ老人は安心して聴ける。

子ども科学電話相談に寄せられる質問は1日に2000を越えるとか。放送される質問は25-30問というから競争は激しい。アナウンサーが「お名前と学年を教えてください」と聞くと子どもが「xxとyyり、zz年生です」。とても聞き取れないのにおねえさんは「榎本ゆかりさん、小学2年生ね、質問は何ですか」。さすがアナウンサーは違うと感心していた。でも実際は、スタッフが手分けして質問内容、名前、学年を番組前に確かめ、回答する先生との打ち合わせも済ませているという。そうでなければ子どものごにょごにょ語を聴きとれるはずがない。

 

■わからない

前置きが長くなったが表題の「なぜ人は嘘をつくのですか」は5歳の女の子の質問だった。心の問題担当はある女子大の学長だった。彼女は小学生のときの体験を話し始めた。クラスで浮いている子がいて、その子が彼女に「私、皆に嫌われているんじゃないかしら、ね、ほんとのこと言って」。彼女は困惑したが、本当のことを言って、と食い下がるので、「うん、嫌われている」と答えた。そのとたん友達は号泣して教室を出て行った。学長先生はどうしてあの時、そんなことはないわよ、といわなかったのだろう。本当のことを言うことが決していいことではない、と子供心に思ったという。

さらに重病で助かる見込みのない人に「顔色もいいからもうすぐ治りますね」という嘘は悪くない嘘なのなどとしゃべり続ける。嘘の種類はわかったが、質問にまっすぐに答えていない。回答が終わるころ、アナウンサーが再度、「なぜ人は嘘をつくのですか、については?」と水を向けても、答えは不得要領だった。近頃の子どもは躾がいいから「よくわかりました。有難うございました。さようなら」と電話を切ったが、オジサンにはさっぱりわからなかった。

 

■質問を反芻

評論家の宮崎正弘さんが三十数年来、講演のたびに言ってきたことがある。
「中国語には『嘘』とう言葉はありません。漢字で『嘘』はありますが、日本とは意味がことなり、『シーッ、お黙り』という意味です。そうでしょ。口が虚ろなのですから。なぜ中国語に『嘘』がないか。答えは簡単です。中国人はみな嘘つきだから、必要がないのです」。

中国人の子どもは表題の質問は考えつかないのだろうか。そんな矢先、産経の朝晴れエッセーで「やさしい嘘」を読んだ。以下引用。

 

 今から30年前、長女が小学校に入学したときのこと。ちょうど、引っ越しと時期が重なり、親子ともども知り合いが一人もいない新しい土地の小学校への入学となった。

 少々引っ込み思案だった娘の新1年生の生活がはじまった。娘も私も緊張したままの数日がたった頃のこと、帰宅した娘が、先生にお手紙を書くという。保育園のころは日常的に先生やお友達と手紙のやり取りをする習慣があった。聞くと、毎朝クラスの人たちが先生へ手紙を渡しているというのだ。新学期に多い提出物の書類を先生への手紙と間違えているようだった。

 小学校の先生に手紙を出すのはどうかな、とは思ったが真新しい筆箱をいそいそと取り出す娘を黙って見ていた。

 翌日、娘は嬉しそうに帰宅した。「先生がお返事をくれたよ」。忙しいのにすぐに返事を書いてくれたのだろう。

 「せんせいこんにちは。せんせいのすきないろはなにいろですか」(せんせいはピンクいろがすきです)

 「せんせいのすきなたべものはなんですか」(せんせいはおにくがすきです)

 「せんせいはなんでがっこうにいくのですか」。あらあらと思い、その隣を読むと

 (せんせいはえっちゃんにあうためにがっこうにくるのです。えっちゃんにあえるのがとてもたのしみです)と、きれいなひらがなで書いてあった。


 みんなと会うために、ではなく娘を名指しでいってくれる、嘘とまでいえないが優しさからの言葉に、目頭が熱くなった。母親の私まで緊張が和らいだ。

 相手に寄り添う優しい嘘を使えるようになりたいと思う。今でも娘悦子は、その手紙を大切にしまっている。(引用終り)

 

勿論、このエッセイが質問の答えではない。

夜半にふと目覚めた時、なぜ人は嘘をつくのですか、が蘇る。あの子はお友達の嘘で辛い思いをしたのだろうか、それとも自分の嘘を悔やむことがあったのだろうか。いろいろと考え続けているのだが、彼女への答えはまだ見つかっていない。