チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

一人でベトナムへ

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一人でベトナム



■不吉な前触れ
思えば、「目指せ、ベトナム」ツーリングは何かに祟られていたと思う。6月はナーンの国境がバイク通過禁止になっていてラオスに入国できなかった。気を取り直して、再度、7月15日に出発したが、待ち合わせ場所であったラオスのルアンナムターでNさんに会うことができなかった。

この日、一人でルアンナムターに向かう途中の村で、フォルツアに黒い塊が飛び込んできた。速度は60キロくらい出ていたからブレーキをかける余裕はなかった。コツンと軽い衝撃を感じた。鶏が道を横切ろうとしたのだ。サイドミラーに小さなボロキレのような骸がチラリとみえた。運転免許を取って半世紀ほど経つが、生き物をはねたのは初めてのことだった。あれは事故だ、どうしても避けることはできなかった。バイクに完全に巻き込まれるタイミングで飛び込んできた。もしかしたらこの世をはかなんでの飛び込み自殺ではないか、そうだ、それに決まっている。もうすぐ、鳥鍋にされるはずだったのだろう

。心の中で自己弁護に努める自分に嫌気がさす。ちびまる子の同級生、藤木と同じではないか。どうせボクは卑怯者なのさ、と居直ってみても、故なく生き物の命を奪ってしまったことは事実として認めざるをえない。気分は落ち込んだ。

■行くか、戻ろか
不吉な予感は当たった。ルアンナムターのナイトバザールでNさんと出会うことはできなかった。チェンコーンのタイ出入国管理事務所を待ち合わせ場所にしていたら、そこで200㏄以下のバイクのラオス入国が駄目、と分かったわけで、ツーリングは中止となっていただろう。

Nさんはせっかくそこまで行ったのだから、一人でディエンビエンフーを目指して下さい、という。しかし、これまで大先達のNさんにくっついて回るだけのツーリングだったから、母親に去られた幼児の如く、不安は募った。一人で行けるだろうか。Nさんからラオスベトナムの地図を貰っていた。その地図とグーグルマップを参考にルアンナムターからディエンビエンフーまでの道路と主な街を書き抜いてあった。何本も道路が走っているわけではない。行って行けないことはないだろう。それにまだ走ったことのない道だし、ベトナムは初めて行く国だ。今、行かなければ、機会は2度と訪れないかもしれない。何事も経験だ。いつもNさんを頼りにしていては一人立ちができない。自力更生でいこう。

■ここは中国か
2日目の朝、ルアンナムターの市街からAH3へ来た。右に行けば友好橋に戻れる。左はベトナムに続く道だ。深呼吸をして左に体をバンクさせる。道路は傷みが激しい。舗装が完全に剥げた砂利道を進む。ここで雨が降ったらUターンしてチェンライに戻った、と思うくらいの悪路だった。
AH3から12号線を右に折れる。このT字路のNateuiは不思議な街だった。すべての看板が中国語なのだ。「夜总会」はナイトクラブか。この街は中国雲南省から20キロしか離れていない。しょぼい街だがここまで中国人が遊びに来るのだろうか。「この土地を売ります」の中国語で書かれた看板があちこちにある。中国人はラオスの土地を自由に買えるのだろうか。

12号線は舗装がないと言っていいほど荒れた道だった。左手に一帯一路の「建好老中鉄路 造福老中人民(ラオス―中国鉄道をきちんと造って、両国民を幸せにしよう)」の標語と共に高速鉄道の建設現場が見えてくる。中鉄第5局の看板も見える。評論家の宮崎正弘さんによると、ラオスは142億ドルの対外債務を負っているという。ラオスGDPの83%にあたり、経済的破滅は必至の金額だ。

■一帯一路の破綻
昆明からボーデンを経てビエンチャンに繋がる413キロの高速鉄道には60億ドルが投下される予定だ。その費用の7割を中国が、3割をラオスが負担する。ラオスは毎年、国費から5千万ドルを償還する予定だが、その目途さえつかず、中国輸出入銀行から高利の借り入れを行っている。スリランカパキスタンと同じく、目先の利益(賄賂)に目が眩む政府高官がいるからだろう。ラオスは1975年から人民革命党による一党独裁が続く社会主義国だ。中共にとってはくみしやすい相手かもしれない。

「減速慢行」の看板がひっきりなしに現われるが、20-30キロ程度しかスピード出せないほどの悪路が続く。至る所で高架工事、トンネル工事、橋梁工事が行われている。しかし、あまり人影が見えない。実は中国のカネ詰まりで一帯一路構想が世界中で破綻しており、ラオス高速鉄道計画も20%の進捗を見たところで中断しているとのこと。来年2月(最近、2021年に延びた)の開通は不可能、素人の自分が見ても明白だ。

 

写真はルアンナムターの竹橋、ナイトバザール、そして一帯一路の工事現場と路線予定