チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(5)

ウクライナ、ポプラブスカ選手

荒川姉妹

小堀桃子選手、左はクムクム選手

タイ、サラチップ選手

美少女、サラちゃん

 

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(5)

■温故知新
このところテニス関連ブログと言っていいほど、テニスのことばかり書いている。どうかご寛恕頂きたい。ここ3週間、1日も休まずテニス観戦を続けているのだ。4月4日からトーナメントが始まり、10日に終了すると思っていたが、10日、男女シングルスの決勝をやっている横で第2節、10日から17日のトーナメントが始まった。これで終わりと思っていたら17日から第3節が始まった。時間的にテニス観戦が生活の大半を占め、我が関心はついテニスに偏ってしまう。

これまで漫然とテニスをやってきたが、プロの試合を観戦し、時にはプロのお話を伺うことにより、これまで全く知らない世界を垣間見ることができた。いくつになっても知らなかったことを知る、蒙を拓かれるという経験はうれしいし、大げさに言えば感動的である。

「選手がサーブする前に3個とか4個のボールを持って、2つ残してボールキッズに返しますよね。どういった基準でボールを選択しているのですか?」
「速いボールで勝負したいときは、少しでも新しいボールを、逆にスローボールを作戦に取り入れるときはフェルトが磨り減ったボールを使うのです」
「へー、知らなかった。私なんかポイントが取れた縁起のいいボールを選んじゃいますが」
「それ、アリですよ、特に女子選手はポイントが取れた『ラッキーボール』を選ぶ傾向があります。この大会では1試合4球で回していますが、ランクの高い試合では8球使うから、どれがどのボールかわからなくなりますけどね」

■常にニューボール
時折、主審が指示して新しいボールに取り換える。プシュッという缶を開ける音が聞こえる。

「ボールの交換は主審が適当に決めるのですか?」
「いえ、ゲーム数が決まっていて、最初は11ゲーム終わったら、次は13ゲーム毎に新しいボールに換えます。グランドスラムのような試合では7ゲーム終了時とその後9ゲーム毎にボールを取り替えます」
ユーチューブでテニスを見ることはあるが、よほど注意深い人でなければ定期的に新ボールと交換していることには気付かないだろう。この大会でも決勝戦は7ゲーム,9ゲームでボールを交換していた。

我々のテニスでは、ボールに印刷されているDUNLOPの文字が読める限り、試合球として使用する。文字は消え、毛が生えていない、つまりフェルトが磨り減ったボールは頭上から落として腰以上まで弾むならば、練習用ボールとして使用する。
時折、誰かが缶をプシュッと開け、新ボールを提供すると、みんなが「ニューボール、ニューボール」と歓声を上げる。日本ではニューボールを使用するのが当たり前であったが、物価水準からみればテニスボールはタイではまだ高価な贅沢品である。

■みんな仲間同士
ITFのトーナメントは賞金金額によって出場者のクラスが決まっているので、世界ランキングで同程度の選手が集まる。世界中を転戦しているから、あちこちで同じ顔ぶれに出会う。対戦でも練習でも一緒、テニスの技量ばかりでなく、性格も分かる。

選手同士、メールでいつも連絡を取り合っているそうだ。第一節で岡村恭香選手とタイのピータン選手がダブルスで中国人ペアを破って優勝した。第二節で準優勝だったが小堀桃子選手とタイのクムクム選手がペアを組んでいた。お互い、この大会、ペアを組んでがんばろうとメールで連絡していたのだろう。コート上でポイント毎に笑顔で声を掛け合い、楽しそうに戦っていた。

相手が苦し紛れに上げた浅いロブ、これをクムクム選手が必殺のスマッシュ、ところがネットに引っかけた。クムクム選手は思わず小堀選手に「コート―、コート―(ごめん、ごめん)」。タイ語だが小堀選手も分かったようで、大丈夫よ、という仕草で応えていた。

ダブルスにおいてはやはりファランファラン同士、アジアはアジアの選手とペアを組む傾向がある。同国人ペアが多いが、中にはロシアとウクライナ、中国と香港、日本と韓国のペアもある。選手同士の結びつきは国や政治を越えたものらしい。プロは勝つか負けるか、この一点だから、政治が入る余地はないのだろう。

トーナメントが始まる前は、1日数時間、ウクライナ戦争の情報収集に余念がなかった。いい加減なことをいうコメンテータに腹を立てていたこともある。今もなんだかなーという発言をする人はいる。ウクライナの現状からしてこれからの日本はどうあるべきか、といった問題意識がないではない。でも今は日本人選手の繰り出すサーブ、スマッシュに心洗われる時間を過ごしている。いずれにせよ、頑張れ、日本、は変わらない。

 

 

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(4)

 

タイの選手

ロシア、ティモフィーバ選手

岡村恭香選手

タイ、サラチップ選手

タイ、ディーペン選手

細木祐佳選手

 

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(4)

■我流テニスにも好影響
ここ2週間、土日を含めて連日コート通いを続けている。プロテニスプレーヤーの動きは華麗である。リターンの時、腰をしっかり下ろし、体幹がぶれない。打ち返した球は相手コート深くラインぎりぎりに飛んでいく。彼ら彼女らと自分のテニスは全く違うので、参考にならないと思ったが、自分なりに球をしっかり見て、テイクバックを取り、ラケットを力いっぱい振り切るようにした。それまでは、とにかく相手コートに返せればいいと、安易にラケットを球に充てるだけというリターンが主だった。これでは威力がなく、相手の思うように打ち返されてしまう。まあ、所詮は素人、相手も自分の山なり超低速球をネットに引っかけてくれるのでゲームが成り立つのであるが。

それにしても何事もカタチから入ることは大切だ。思い切ってラケットを振るようになって勝率が上がった。テニスは奥が深く、まだ自分は発展途上ではないか、と益々やる気が出てきた。トーナメント期間中、早朝に1時間半ほど我々素人仲間も1面使用できるのであるが、その時間が6時半から8時までと、30分繰り上がった。コート管理者は、早朝にコート入り口を開けるのが面倒なのか、我々のメンバーに鍵を貸与してくれた。鍵の開け閉めはテニス仲間のアンディがやっている。日本の有明とか田園コロシアムで一般人に1時間半で1面とはいえ、コートの管理を任せるということは考えられない。こんなところはタイのおおらかさ、いい面と言える。

大和撫子を連想
外国人選手は体が大きく、スタイルもいい。運動選手らしい精悍な風貌をしている。ほとんどお化粧はしていないが、美人が多い。日本人選手も美人が多かった。ネットに「可愛いプロテニスプレヤー10人」とかいう記事があるが、そのうちの何人かがチェンライに来ている。顔を見られるだけでも嬉しいのに、親しくお話ができる。日本だったら絶対、そばにも寄れないよ、とテニス愛好者の友人から羨ましがられた。

日本の女子プロは瀬間詠里花選手を除くとみな160センチほどの背丈、中には150センチ台の選手もいる。コートでは「カモン、レッツゴー」などと雄叫びを挙げ、闘志満々であるが、コート外では普通のお嬢さん、外人に比べ華奢な感じがする。

トーナメントの第2節が始まった頃からチェンライは暑季の気候となり、気温は連日37度を越え、コート上は40度をはるかに越えていたに違いない。日本選手が体調不良で試合を途中放棄せざるを得ない場面を何度か見た。世界で活躍する錦織選手もよく体調不良となる。やはり日本人はフィジカルに弱いのではないか。

■選手ばかりではない
トーナメントに参加しているのは選手だけではない。コーチ帯同の選手もいる。コーチは、もし選手が全仏やウィンブルドンに出場できるほど強くなれば、相当な金額を手にできる。コーチは選手の荷物を持つばかりでなく、練習では選手の相手もする。外人コーチも含め、元プロという感じの人が多かった。

観覧席にフランス人男子プロのお母さんがいた。息子はコート上で、「今のはインだろー、これはアウトだよー」とか盛んに主審に文句をつける。我々のテニスなら「それじゃノーカウントでやり直し」ということになるのだが、プロテニスではそうはいかない。主審は頑として選手の抗議を受け付けない。選手は客席のお母さんに向かって、「判定がおかしい、ママだってそう思うだろ」。お袋さんは息子に声をかけ、指示を出している。グランドスラムでは見られない光景だ。家族だけではなくコーチがコート上の選手に声をかける姿はよく見られた。

主審、線審はすべてタイ人、このクラスではビデオ判定はないから、すべて主審の判断となる。審判も選手と同じくランクがある。もちろんテストを受けて審判となっているのだが技量は全仏、全豪の審判より落ちる。多分、報酬もそれなりだろう。選手と同じく、審判もランクを上げるべく、頑張っているに違いない。

選手が主審に不満を示す場面は再々見たし、自分が見てもちょっと今の判定は、と思うことがあった。観覧席で一緒になった女子プロに「おかしい判定ありませんでしたか?」と訊ねたら「私の試合では4回ありました」と言っていた。

男子シングルスを観戦していた時、日本選手がサーブをアウトと判定されて、審判に抗議した。もちろん覆ることはなかったが、隣にいたプロ選手が「今のサーブは相手選手の動作を見る限り入っていましたね」と解説してくれた。こういうしっかりした解説付きでテニスを観戦できる。チェンライにいてホントによかったなあ。

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(3)

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瀬間 詠里花選手、気迫のサーブ

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タイ、ピンラダ選手のサーブ、ジャンプがすごい

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オーストラリア、ギブソン選手

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ロシア選手?

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ロシアの選手

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フィリピン、エアラ選手

 

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(3)

■テニスも続けています
標記のトーナメントが行われているため、我々のような素人テニス愛好者は期間中、コートから締め出しを食っている。しかし、お上にもお慈悲はあるぞ、というべきか、一番端の第9面コートが一般の人、つまり我々に朝7時から8時半まで開放されているのだ。いつもは8時前後にコートに集まる仲間も7時過ぎに顔をそろえる。お陰で早寝、早起きになった。

プロ選手は我々より早くコートに来て練習に余念がない。選手たちも練習割り当て時間があるので、効率的、中身の濃い練習をしている。パーン、パーンと心地よいラリーの音を聞きながら、こちらは時折、ペチッという情けないラケット音の混じるゲームをする。我々もコートの使用時間が限られているため、5ゲーム毎の入れ替え方式をとっている。

第9面コートは他のコートから幕で仕切られているので、お互い見たり見られたりすることはない。でも道路側は金網だから通る人からは見える。相棒が深いロブを打ち上げた。球をうち返そうと背走していたロバートの背中にその球が当たった。思わず笑ってしまったが、金網のところで大笑いしている人がいる。大きなラケットバックを背負った男子プロだ。何が面白いのか、しばらく我々のダブルスを見物していた。とてもお見せできるようなものではないので、とてもやり難く、居なくなった時はホッとした。

■すごいプレーヤーとは知らなかった
まだゲームを続けている仲間に別れを告げて家に引き返す。シャワーを浴びて一休み、9時過ぎに再度コートへ行って試合を観戦する。昼はコートの周りの屋台で買ったチーズピザで済ますこともあるが、一度家に戻って食事、運動場と我が家までは約8キロ、車で15分の距離だ。1時過ぎにまたコートに行って観戦、夕方には帰宅という生活。トーナメントは10日で終わりかと思ったが第2節が引き続いて、10日から17日まで開催された。チェンライでプロの試合を観戦できる機会はもう一生ないだろう。多少疲れは残るが朝7時から夕方までの日課を最後まで続けるつもりだ。

垂れ幕にアジア・オセアニアとあったが、出場選手の国籍を見るとタイ、韓国、中国、台湾、香港、ベトナム、フィリピン、インド、インドネシア、豪州、ニュージーランド、米国、フランス、ロシア、ウクライナスロベニアイスラエルチェコ、ブラジルなど多彩な国からプロが集まっている。日本からの出場者はテニス雑誌に常時出ている国内トップレベルの人ばかりだ。それはテニスをやっている友人の指摘とかネットでググったテニス選手名鑑、ウィキなどで知った。本来であれば、言葉を交わすのも恐れ多く、おずおずと「あの、サイン下さい」というのが精一杯のテニスエリートだ。お言葉を賜り光栄に存じます、というべきだったか。

対戦表のローマ字名でググり、自分の撮った写真とネットに掲載されている写真を照合したのだが、選手紹介には飛び切りの写真を使ってあるので、自分の撮った写真の人と同一人物かどうか悩むことがあった。

■写真でクレーム
日本の女子プロをはじめとして各国の美女の写真を撮った。白人やフィリピン、タイ人にはすらりと均整の取れたモデルと見まごう美しいお嬢さんがいる。会場には大会専属のカメラマンがいて、望遠レンズを駆使して選手の撮影に余念がなかった。観覧席からスマホで写真を撮る人はいたが、自分のように超望遠83倍、1キロの大型カメラで写真を、それも女子選手ばかり撮りまくる人はいない。

よく不審者扱いされないな、と思っていたが、大会4日目に主催者関係のおばさんに捕まった。カメラが何とかと言っている。日本円で8万円くらいです、などと言っていたら、英語がわかる人を連れてきた。名前は、職業は、国籍は‥‥。要するに撮った写真を商業目的で使うかどうかを尋ねていることが分かった。使いません、私はこのコートで週5日テニスをしているのです。タイに住んで10年以上、怪しいものではありません。ここでテニスをしている、これでおばさんはすべて氷解という感じで微笑んでくれた。「ジャーク・タラー・チェンライ(チェンライの市場から)というブログを書いていてそれに載せるかも」などと言わなくてもいいようなことを言ってしまったな・・・・。

でもこれで心置きなく写真を撮れるようになった。ズームが効くので選手の表情まで撮れる。一つ向こうのコートで対戦している選手のアップも撮れる。ニコンP900にしておいて本当に良かったなあ。

 

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(2)

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岡村恭香選手

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女子ダブルス優勝、岡村・ピーンタン(タイ)の国際ペア

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アレクサンドリア・エアラ選手(フィリピン)

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エアラ選手のサーブ

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中国選手を破って女子シングルス優勝

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ボールキッズ、ジョイの息子、自分のコート友達



ワールド・テニス・ツアー・チェンライ(2)

■ただ見とれるばかり
大坂なおみジョコビッチ等、有名選手のプレーをユーチューブで数分間見ることがある。短時間でもその技量には目を見張るものがある。でも世界ランキング3桁の選手と言えどもプロはプロ、間近に彼らのテニスを見てすっかり魅了されてしまった。一流選手の動きは無駄がなく美しい。何気ないラリーでもラケットが背面からきれいなカーブを描いて球に当たる。パーンという気持ちのいい音ともにボールがネットをかすめるように相手コートに飛び込む。プロのプレーは我流テニス改善に参考になったかというと、全然レベルが違うので、取り入れようがない。ただ口をあんぐり開けて見とれるだけだった。

連日、9時過ぎにはコートの観覧席の前に陣取って女子テニスを中心に観戦する。主審と線審は資格を持ったタイ人がやっていた。ボールキッズは地元の中高生。ボールキッズの中にテニス仲間、インド人教師ジョイの息子がいた。小学校3年か4年のチビだ。オヤジさんの影響かコーチについてテニスを習っている。時折、試合を挑んでくる。自分に勝てたことがないので、悔しくて仕方ないらしい。全身を使ってのリターンには威力があり、そのうちこっちがやられるだろう。

観覧席は4段で20-30人座れば一杯になるのだが、不思議と観客がいない。選手の親とかコーチといった関係者が2,3人、それでも日を追うにつれて、顔見知りのコート仲間の顔も見るようになった。

■トーナメント音痴
1,2回戦だと主審と線審が一人、それにボールキッズが一人計3人で試合を進める。タイ人の子供はダラダラしている。足は遅いし、コート外のボールを早く拾ってこい、と線審に注意されたりしている。厭々やっているのではないかと思うほどだ。

ゲームカウントはゲームが終わるたびに主審がキッズか線審に指示して3-4とか5-3とか数字を換えさせる。でもずぼらな主審がいて2,3ゲーム終えているはずなのに0-0のままになっている。どうなっているんだ。主審のすぐ後ろに座っていたので「ゲームカウント、タウライ(いくつ?)」と聞いた。一緒に観戦していた日本の女性プロが吃驚して「2-3」と教えてくれた。主審は自分に振り向いて「ツー・スリー」と答えたが、観客が主審に尋ねるということは常識外のことだったらしい。

一つ向こうのコートでダブルスをやっていた。右側の二人は金髪女性だが、左側の一人は髪を刈り上げていてガッチリした体格、隣に座っている女性プロに片方は女性2人、もう片方は男女混合みたいですが・・・」と聞いた。すると彼女は「あれ、女性ですよ。そんな組み合わせなんかありません」と呆れたように言った。へー、どう見ても男にしか見えませんねぇ。
日本からタイにまで遠征して来たのに、こんなぼけ老人の相手をするなんて、と情けない気持ちになったことと思う。この女子プロも淑やかで礼儀正しいお嬢さんだった。

■生活ができるのは一握り
ITFのトーナメントは世界70カ国、年間550回開催されているそうだ。でも例の感染症のため開催数が少なくなっているという。今回のチェンライトーナメントは男子賞金金額1万5千ドル、女子賞金金額2万5千ドルの大会だ。トーナメントにもランクがあり、今回は世界ランキング1000位から500位辺りの選手がエントリーしているようだ。

世界中でプロのテニス選手の人口はどれくらいなのか?正式な数字は公表されていないが、だいたい3,500人から4,000人のプロテニス選手がいるといわれている。その中でもテニスだけで食べていくことができるのは、世界ランキング100位以上の人たちだけで、100位前後でもやっと食べていくことができるレベルだという。

日本のプロテニスプレーヤーの数はというと男女それぞれ数十人という。東京大学なら3千人くらい合格することを考えると、プロテニスプレーヤーの道は狭く険しい。数少ないスポーツエリートだ。アホな質問に付き合ってくれたお嬢さんたちをネットで調べてみると、ウィキやSNS等に写真入りで出ている。ジュニア優勝、インカレ3連覇、高校総体優勝などの戦績を収めた日本のトップレベルの選手ばかり。みなグランドスラムを目指し、ランクを上げるため世界中のトーナメントに出場している。スポンサーがついている選手ばかりだが、ツアーの出場申し込み、ホテルや航空券の手配は自分でやるのだという。

体力的にも精神的にもタフでなければランキングを維持できない。夢を持って頑張る若者たちに敬服せざるを得ない。

 

ワールド・テニス・ツアー・チェンライ

 

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やっと手に入れた観戦者証

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細木選手

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細木さんのサーブ

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サラチップさん

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サーブを待つ

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休憩中、彼女はシングルス準々決勝まで行った。


ワールド・テニス・ツアー・チェンライ

■観戦資格を得るにひと悶着
3月末から市営テニスコートは出入り禁止になった。4月4日からトーナメントが開始になるのだが、3月末にはタイ人選手に交じって外国人選手もコートで練習を始めた。組み合わせ表とかパンフレットなどがもらえるかもしれないと、試合開始前日にコートに出かけた。受付でガイドブックなど貰えないか、と訊ねたが何もないという。受付の壁にはすでに対戦表が貼ってあった。コートでは選手が練習をしている。写真を撮ろうと観客席に行こうとしたら係員に制止された。72時間以内のコロナネガティブの証明書がいるという。ワクチン、2回接種してるんだけどダメ? ダメです。PCRもしくは抗原検査ATKの英文証明書がいるという。
そんな、と思ったがテニス・ツアーでクラスター発生となれば大変だ。主催者の心配ももっともだ。観客席でなくても遠く離れた場所から観戦できるがめったにない機会である。どうしてもかぶりつきで一流選手の動きを追ってみたい。

運動場から市内にあるチェンライ・インターという大病院に行く。日曜でも開いているし、バイクで転倒した時、診てもらったことがある。鼻に綿棒を突っ込まれ、待つこと15分、英文のコーヴィッド・ネガティブの証明書を手に入れた。その足でコートへ駆けつける。受付の女性は満足そうに証明書をチェックし、GUESTと書かれた首掛け証明書を呉れた。これでお出入り自由、嬉しいことに観戦は無料だ。
改めてエントリー表を見てみると男女200名ほどの選手が参加している。地元であるからタイ選手が多いが日本からも十数名参加している。

観客席の後ろにコーチとおぼしき中年女性と数人の女の子がいたので日本からですか?と聞いてみた。ええ、日本人ですが、私たちオーストラリアから参加しているのです。有望若手選手が豪州、米国、スペイン等にテニス留学すると聞いていたが、コーチも含め、豪州からと聞いて驚いた。

■トーナメント開始
練習をしている選手を見た。一流テニスプレーヤーへの登竜門ともいうべきトーナメントであるから若い選手が多い。三波春夫東京五輪音頭、「すがたかたちは違っていてもいずれおとらぬ若い花、ヨイショ、コリャ若い花」ではないが、若くてきれいな子が多い。日頃、若い人を見ることがないのに、均整の取れた美男美女が目の前を行き来する。それだけでも眼福と言っていい。ただ歩くだけでなく、力いっぱいの美しいプレーを見せてくれる。ヨボヨボテニス愛好者としてこれほどの歓びはない。

初日、細木祐佳選手とタイのサラチップ・オウンムアン選手の試合を観戦、細木選手も美人だったが、サラちゃんは芸能界でも十分通用する美少女だった。健康的で愛くるしい。自分ももう少し若ければ、サラちゃんの追っかけになったかもしれない。
顔は可愛いがラインぎりぎりに伸びるリターンは力強く、細木さんもなかなか追いつけない。試合は細木さんが2セット続けて落としてしまって終了。ゲームの合間に日の丸の小旗を振って応援したのだが実らなかった。試合のあと、「お疲れ様でした」と声をかけた。「ありがとうございました」と言ってくれたところをみると日の丸は見えていたらしい。続いて小林ほの香選手の試合が行われた。シャワーを浴び終えた細木さんが観客席に来たので、ずうずうしく話しかけて、彼女の解説付きで観戦した。

その後も何人かの女子選手と話す機会があったが、コート上での闘志を全く感じさせない、礼儀正しい女性ばかりだった。日本にいたなら「ナニ、このジジイ、キモッ」とお嬢さんに無視されてしかるべき自分である。淑やかで美しいプロテニスプレーヤーと親しく言葉を交わすことができて、恐悦至極に存じた次第である。チェンライにいてよかったなあ。

■テニスもやってます
トーナメント初日、受け付け辺りにテニス仲間のエディやロバートがいた。ラケットを持っている。あれ、どーしたの。ナニ言ってんの、第9コートで朝7時から8時45分までプレーできるんだよ。へー、知らなかった。

翌朝、早起きして7時にコートに行ってみた。第9面は他のコートと違って東西に延びている。ということは朝日、夕日が目に入ってプレーし難い。選手の練習コートであるが早朝はお目こぼしで我々も使用できるらしい。
6セット先取のダブルスを2セットやって、帰宅してシャワーを浴び、カメラを持ってコートへ取って返した。こんな生活がトーナメント期間中、続きそうだ。

 

テニス・トーナメント

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トーナメントの垂れ幕

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練習中の外国選手

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公園からコック川を臨む

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ホテイアオイの花、望遠で

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公園内の蘭

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同上

テニス・トーナメント

■3週間の使用禁止
市営運動場でテニストーナメントが開催されるという噂は本当だった。3月下旬のある日、いつものように仲間とゲームをしていた。そこへコートの係員がやってきて即座にゲームを中止して退場せよという。タイ人の仲間に聞くと、この瞬間から3週間、コートの一般使用は禁止になるとのこと。理由はテニストーナメントが始まるから。

今、試合途中だから、終わるまで待ってよ、と思ったが、タイ人はお上の言うことに素直に従う。日本であったら十年以上、ここでテニスをやっているのだから既得権が生じている、と主張する余地があるかもしれない。でも十年以上、それもお目こぼしでコートの使用料も維持費も払わずにただで使わせてもらっている。権利を主張できるはずもない。はい、と素直に全員、ラケットを仕舞った。さて、明日からどうするか、メ―コック川のコートがある、いやラチャパット大学のコートを使わせてもらえるのではないか、などと議論したが結論は出なかった。タイで体を動かす機会は週5日のテニスだけだ。テニスは健康のバロメータ、3週間も体を動かさなかったら体中から生活習慣病が噴出するのではないか、と不安になる。

翌日、もしかして、と思ってコートに行ってみた。コートには多数の人が出入りして飾り付けを行っている。垂れ幕にはITFメンズ・アジア・オセアニアと書いてある。世界テニス連盟のワールドツアーだ。懸賞総額は1万5千ドルだから、ATPランキングでは3桁の順位の参加選手が多い。自分もプロ選手による試合を観戦できる(はずだ)。楽しみである。コートではタイ人選手が練習をしていた。ランクは下でもプロはプロ、サーブを打ち込むときは背中が折れるほど体が撓り、ラケットは流麗な弧を描く。あーやればいいんだな、とは思うがもう遅い。一流選手の動きは全く無駄がなく美しい。

若さ、パワー、スピード、テクニック、ただ羨望の眼で見るほかはない。それでも自分のテニス技術向上に少しは参考になるか、というほどの気持ちはまだある。

■テニスの代わりにウォーキング
テニスができなければウォーキング、テニスだけが運動ではない。10年前は全くいなかったが、今は夕方や早朝、我が団地内を歩く人がいる。夫婦で歩いている人もいる。タイ人も健康志向が高まっているようだ。

テニスコートを後にして車で数分の位置にあるコック川に面したメ―コック公園に出かけた。この公園では例年、暮から正月にかけて花祭りが開催される。その期間だけ賑わうが、花祭りのあとはほぼ無人となる。公園内には樹木が茂っているし、園内には小川も流れている。川の写真を撮るのもいい。この川は流域面積100平方キロ以上のメコン支流138本のうちの1本である。余り高低差がないので、川は流れているのかどうかよくわからない。川岸にはホテイアオイが群生している。日本ではホテイアオイは1株2百円で販売されているが、こちらではほとんど邪魔者扱いだ。

公園内は一回り約10分ほどだ。花祭りの時のモニュメントは残っているが花は蘭を除いて殆ど残っていない。花祭りでは植木鉢の花を敷き詰める。蘭はこの公園で丁寧に管理されていて、花祭り期間の蘭に比べても遜色ないボリュームがある。この日の早朝は雨だった。水滴のついた蘭の写真を100枚以上撮った。しばらくはブログの添付写真に困らない。

園内には写生に来た小学生が十数人いたが、人影は殆ど無かった。チェンライに戻って1時間以上歩いたという経験は初めてだった。ウォーキングも悪くはない。花祭りの時は気付かなかったが、結構、果実の生る木があって、果物として売られている果実が歩道に散らばっている。踏みつぶすと滑ってしまう。足許には充分注意が必要だ。転んで怪我をしても助けてくれる人がいない。でもしばらくはウォーキングのため公園通いだ。

ITFメンズ・ワールド・テニス・ツアー
標記のトーナメントはジュニアと男子プロテニスの間、サッカーのJ1 とJ2の中間にあって、このランクで優秀な成績を上げるとグランドスラムに進出する機会も得られるという。一流プロへの登竜門だ。ツアーは70カ国で約550のトーナメントが開催され、15,000ドルと25,000ドル2つの賞金レベルがある。4月にチェンライで開催されるトーナメントは賞金15,000ドル、エリートテニスプレーヤーを目指す世界の若手が集まる。日本からもITF日本ランキング10位以内の選手を始め、十数人がエントリーするようだ。日の丸の旗を持って応援に行こうと思っている。

 

(詳しくはITFのホームページで、https://www.itftennis.com/en/tournament/m15-chiang-rai/tha/2022/m-itf-tha-05a-2022/acceptance-list/ )

 

ウクライナの教訓

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パヤオ

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遠くの小舟を望遠で

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煙害で山が霞んでいる

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湖畔で釣りをする人も

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夕暮れ

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湖畔の歩道、右手が湖




ウクライナの教訓

■わからないことだらけ
2月24日以前、ロシアのウクライナ全面侵攻を予想した人は殆どいなかった。特にロシア専門家と言われる人達は冷徹なプーチン大統領が決して得にならない不合理な決断をするはずがない、と言っていた。でもロシアはウクライナに侵攻した。ウクライナはすぐに降参して親ロシアの傀儡政権ができると言っていたが1月経っても戦争は終わらない。
ウクライナは領土のクリミア、ドンパス地方の割譲は認めないし、ロシアの要求する非武装中立も承諾しない。一方、ロシアもロシアに迫りくるNATOの圧力を避けるためにもウクライナを自分の勢力下におきたい。歴史的にウクライナはロシアのものだったという考えもある。今のところ両国には妥協の余地はなく、戦争は膠着状態、停戦までには相当の時間を要する、これが関係者共通の見方だ。

この戦争はわからないことだらけだ。ロシアの軍事力をもってすればキエフ制圧も難しくないかと思ったのに、モタモタしている。アメリカにしても国内の石油、ショールオイル、ガスを増産すればロシアの主力輸出品である原油、ガス価格が下がり、ロシアは干上がるのに、なぜか増産はしない。SWIFTで金融関連でロシアを締め上げているというが、ロシアのガスは欧州で売られていてその代金の支払いはSWIFTの対象外だ。追い詰めるとよくないから、と戦費の調達ができるようにしているのではないか。経済制裁でロシアも困るが、ドイツを始め欧州もロシアの石油、ガスを当てにしているのだから、戦争が長引いて困るのはお互い様だ。

戦争は1日も早く終結するほうがいいと思うが、昨今の情勢を見ていると、ロシア、米国も戦争が早く終わってしまっては困るという理由があるように思う。
第一次世界大戦の終わりごろ、ドイツは食糧不足が深刻になり、戦闘継続が難しくなっていた。その時、米国はベルギーを通じてドイツに大量の食糧を援助した。これで戦争が長引いた。長引いたほうがいいという判断がどこかにあったとみられている。
刑事ドラマ「相棒」では水谷豊演じる杉下右京が「この事件で得をする人は誰でしょうねえ」と呟く。ウクライナ戦争で得をする勢力ってどこでしょう、誰か教えてください。

■日本への影響
ウクライナ戦争は遠くの出来事ではなく、日本の興亡にも関係する。それは自分で自分を守らなくては誰も助けてくれない。弱ければやられるだけ、その現実が白日の下にさらされたことだ。ウクライナが核攻撃されてもアメリカは報復しない。沖縄や尖閣を攻められてもアメリカは日本を守るかどうか。中国に戦略核をチラつかされたら、米国は、日本は我慢して沖縄を中国との共同統治にしてはどうか、といった仲裁案を出してくるだろう。

憲法9条については共産党までこの憲法では日本を守れない、と言い出した。ウクライナは非核3原則を遵守し、米英仏の安全保障の約束を信じて核爆弾をすべてロシアに引き渡した。ロシアはもちろん、欧米も約束は都合によって反故にする。核を自国に保持していなかったばかりにウクライナはロシアの侵攻を受けた。
日本は核シェアリングどころか1日も早く核保有国になるべきだ。それなのに岸田首相は核の議論はしないと言っている。核爆弾を落とされないためには核を持つ、核武装しなければ国民の生命財産を守ることはできない、と自分は思うのだが違っているのだろうか。

■第2次日露大戦争
ロシアがNATO 諸国の軍事施設を攻撃すれば、それは第3次世界大戦を意味する。ロシアは日本にある米軍施設を攻撃する。ということは日本も日米安保条約に従ってロシアと戦うことになる。
北海道に展開する自衛隊北部方面隊、基幹兵力2個師団、2個旅団に出動命令が下る。陸上自衛隊唯一の機甲師団である第7師団は、海上自衛隊大湊、舞鶴、横須賀各基地のイージス艦揚陸艦、さらに三沢、千歳基地から飛び立つF35A 、F15戦闘機の援護のもとに北方領土を一つ、一つ制圧して、樺太まで占領し、サハリンのガスを確保する。これにより、戦後77年間、ロシアが嘯いていた「戦争で失った領土は戦争で取り返したらどうだ」を現実化することができる。60万シベリア抑留者の恨みを晴らす絶好の機会であるが、日本は白人のようなことはできないだろう。

ロシアのウクライナ侵攻はない、と識者は言っていたが侵攻はあったし、短期に収束するの予想も外れた。プーチン大統領の心中を覗くことができないが、戦術核を使用する、NATO 諸国を攻撃して第3次世界大戦を引き起こす、は決して絵空事ではない。日本を日本人が守らなくて誰が守る、ウクライナの教訓はまずこれだ。