チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

心臓手術その後

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

心臓手術その後

■払えるなら診ます。
2カ月前、5月21日にたまたま近くの病院で健康診断を受けた。そこで心臓の冠動脈狭窄が発見され、検査、即ステント手術ということに相成った。血管造影のためのカテーテルが入っている状態で、「このままでは危ない、手術しますか」と聞かれ、それじゃお願いします、と答えた。すかさず、看護師が携帯の翻訳アプリで「費用は40万B」と教えてくれた。こういうやり取りは日本の病院では決してないと思う。

日本の医師は医療倫理、「ヒポクラテスの誓い」を医学部で習っている。また日本の医師法19条では「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定めている。この「正当な事由」のある場合とは、医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合に限られると解される。従って、医業報酬が不払であっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない。だから支払い能力のない中国人や韓国人が病院に担ぎ込まれても診ないわけにはいかない。彼らが入院費、手術代等、一切合切を踏み倒すと半ば分かっていてもなすすべがない。

この点、タイでは支払保証がないと診てもらえない。これはウズベクでも米国でも同じで、金がなければ瀕死の病人であっても病院の入り口でほおっておかれる。
タイでは入院に当たってある程度のデポジット(前払い金)が必要だ。自分の場合、これまでの信用があるからお金を積まなくても手術して貰えた。でも、40万Bすぐには払えないんですけど、と言えば、じゃ、また来てください、で終わりになったと思う。

タイでは貧乏な一般庶民は近代医療とは縁がなかったが、タクシン政権の時に「30バーツ医療」制度が始まって、曲がりなりにも国立病院で安価に治療、投薬を受けられるようになった。この医療制度は米国より進んでいると言える。

■保険で全額カバーされた。
ステント手術を受ける直前に、費用は40万Bという、まことに心臓に良くないご託宣を受けたのであるが、実際の支払額は27万5千B(日本円で100万円弱)ほどで済んだ。日本で同様の手術を受けた場合、その費用は100万円から150万円という。国保で3割負担とすればMax30万円は必要となる。しかし現在の医療保険制度では、高額医療費自己負担限度額があり、定額を超える分は後日給付金として支給されるため、実際の自己負担額は10万円程で済むらしい。

自分の場合、幸い、クレジットカードに自動付帯の海外傷害・疾病保険の対象に該当したので、27万5千B、全額の還付を受けることができた。日本の保険会社のバンコク支店経由で請求したのであるが、請求後1月ほどで全額、タイの銀行口座に振り込んでもらえた。偶々、健康診断を受けたこと、保険がまだカバーされている期間の手術だったことなど幸運が重なったと言える。

タイでは疾病保険と傷害保険の2種類の保険に入っていた。疾病保険は日本円で年額10万円くらい払っていたから国保と同じくらいか。手術を受ける前に保険カードを提示したが、もう切れてます、とのことだった。70歳を過ぎるとタイでは疾病保険は自動的に退会になることを後で知った。老齢者は病気になるから保険の対象外。タイの保険会社が儲かるはずだ。

傷害保険は7,8年前、テニスのプレー中に左足首を骨折した時にお世話になった。傷害保険の掛け金はそれほど高くはないし、スクータで転げたり、また足首を折らないとも限らない。引き続き加入するつもりである。無保険状態にある疾病保険については国保加入も含めて、現在考慮中である。

障がい者手帳
手術を受ける前に狭心症の前駆症状がなかったのか、と聞かれると、いえ、ありませんでした、ということになる。コートでは息切れしたり、鼓動が激しくなったが、これは激しい運動に付き物と、特に心配はしていなかった。でも手術後は苦しい息切れ、動悸は起こらない。やっぱり心臓に負担がかかっていたんだなあ、と今になって思う。

ステントが入っているのならば障がい者手帳が貰えるよ、と教えてくれた友人がいる。認定制度だから誰でも、というわけではないが貰っている人はいるようだ。この手帳があるとJRは半額、都営交通や全国の博物館、美術館は無料、などの特典がある。でも自分の場合、手術前より健康になったという実感がある。だから手帳を申請する気にはなれない。現在、ワーファリンなど血液の薬を服用している。術後180日は薬代も保険の対象となるらしいが、これまで請求するのはなあ、と手続きはしていない。これくらいは払わせてください。


写真は病院、担当医、ステント