チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

人類を救う昆虫食

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人類を救う昆虫食

■ 珍味にして貴重品、羽蟻(メン・マオ)
雨が上がってどんよりとした雲がかかり、なんとなく蒸し暑さを感じる昼下がり、突然、無数の羽蟻が飛ぶことがある。

北タイでは虫をよく食べる。蟻だって食べる。
海から遠く、北タイの人とって昆虫は貴重な蛋白源だったというが、魚や肉が簡単に手に入る現代でも虫を食べるのはやはり美味しいからではないか。市場でよく見かける虫はタガメ、コオロギ、カイコの蛹、かぶと虫の成虫、季節ものとして竹虫(ブログ写真参照)、赤アリの卵、蜂の子、セミなどがある。

羽蟻(メン・マオ)はタイの人が珍重する食材であるが市場で見たことはない。羽蟻が飛ぶ季節は限られるし、一匹ずつ集めるに骨が折れる。また、コオロギやカイコと違って養殖ができない。羽蟻を市場で見かけないのは、入荷が少ない貴重品で、店頭に出たらあっという間に売れてしまうからだろう。聞くところによると1キロ数百バーツするというから高級食品だ。中でも一段と大きな女王蟻となるととても庶民には手が出ない価格になるらしい。群れに1匹しかいないし、ローヤルゼリーと同じで体にいいに違いない。

味はと言うと、レモンのようなすっぱい味で大変おいしいとのこと。以前、女中さんが家のベランダに落ちていた夥しい羽蟻を箒で集め、よく振るって羽を落とし、油いためにして食べていた。おひとついかが、と言われたが無理して食べるものでもない。

赤アリの卵、カイモッデーンは何度か食べた。イクラに似た味と言う人もいるが、白い卵はプチプチとした歯触りでシャケの白子に似た味だったと記憶している。タガメは養殖物が市場で売られているが1匹20バーツと結構高い。唐揚げにし、足や殻を取っておなかの部分をポリポリと食べる。脂の乗ったアジの干物のような味、殻はエビの殻と言ってもいい。独特な香りがあるのだが、この香りを生かしたタガメのふりかけもある。

新宿区大久保一丁目にあるアジアスーパーストアではカイモッデーンもタガメも販売されているとのこと。興味のある方はぜひ試食していただきたい。

宇宙食として有望
考えてみればカニやエビの殻もカブト虫やタガメの殻もキチン質、同じ味がしてもおかしくはない。
このまま人口が増えていくと、食料安全保障、蛋白源をめぐっての国際紛争が起きるのではと心配されている。しかし、飢餓の人類を救うのは昆虫食である。ハマチにイワシを食べさせてもハマチの魚肉になるのはせいぜい10%程度、牛に至ってはいくら穀物を食べさせてもカロリー比で牛肉になるのは1,2%と言われている。

それに引き換え、昆虫が食べた植物のエネルギーを体質量(ボディマス)に変換する二次生産の効率は平均40%という。竹虫を例にとると乾燥重量の50%以上がタンパク質であり、ミネラル類にも富む。それに昆虫の場合、養殖が簡単。
宇宙ステーションや火星旅行など長期の宇宙滞在時における蛋白摂取の手段として昆虫食をという計画がまじめに進められている。

そのうち中国などの乱獲、密漁でエビ、カニが食べられなくなる時代が来るだろうが心配はない。養殖のタガメからよく似た味のエビタガ、カニタガが作られて、我々の食卓を賑わせる時が来る。

もちろんタガメをそのままポリポリと食べるのが一番効率的だ。北タイを旅行する人は時代を先取りして、是非、豊かな昆虫食を楽しんでいただきたい。

■ミツバチの巣
先日、テニスから帰ると、ブアさんがこっちこっちと庭の方へ手招きする。マンゴーの木の枝の下に何か黒い塊が付いている。「ナンプン(ミツバチ)が巣を作った」。雨季は蟻だけでなくミツバチも巣分かれの時期らしい。

ミツバチの巣に新しい女王バチの蛹が育つ頃、古い女王バチは働きバチからローヤルゼリーをもらえなくなる。そして、女王バチのおなかが小さくなり、産卵が止まると、ミツバチたちの引っ越しがはじまる。新しい女王バチに巣をゆずるために、古い女王バチがたくさんの働きバチやオスバチといっしょに巣をはなれる。これを巣分かれ、または分封という。

女王バチは取りあえず木の幹などで休むとその周りを働き蜂が覆って黒い塊となる。この塊から斥候が出て、巣にする場所を探しに行く。確かに塊からちょくちょくとミツバチが飛んでいく。そしていい場所が見つかると黒塊は一斉に飛び立って、新しい家づくりをする、という。

このまま巣ができて、蜂蜜や蜂の子、プロポリス、ローヤルゼリーが収穫できるのでは、と期待したが、やはり4日目に黒い塊はあとかたもなく飛び去ってしまった。



写真は竹虫、コオロギと蚕の蛹、タガメ、そして家の木にちょっといたミツバチの群れ