チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

安倍首相の演説

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安倍首相の演説

■豪州連合議会にて
安倍首相の歴訪国が政権発足以来約1年半で40カ国を越え、歴代首相の中では最も「海外出張」の多い首相となった。自分の経験でも海外出張は大変疲れる。安倍さんは飛行機の中で爆睡できるタイプで時差をそれほど苦にしないと聞くが、それでも大変な行動力である。地球儀外交というが、行く先々で歓迎され、中韓の孤立を際立たせるのに成功している。

首相は集団的自衛権行使容認の閣議決定の後、7月6日から12日までニュージーランド、豪州およびパプアニューギニアを訪問した。そして8日、日本の首相としては初めて豪州連合議会での演説を行った。これが外国ですこぶる評判がいい。早速、官邸のHPで視聴し、これなら人の心を掴んでしまうのは当然と感心した。演説原稿の作成者は日豪の歴史、豪州人の心情を知り尽くした人であろう。身近なエピソードを引き、ときにはユーモアを交え、日本の立場を過不足なく述べた格調高い演説である。

■大戦を振り返って
演説では先の戦争で亡くなった豪州兵士へ哀悼の意を示すところから始まる。続けて安倍首相は言う。

「あれは、1968年のことでした。一人の日本女性を皆さんが招いてくれたことに、私はいまも、心打たれるものを感じます。83歳になる松尾まつ枝さんは、招きを受けてお国を訪れ、亡き息子を偲んで、シドニー湾に日本の酒を注ぎました。第二次大戦中お国の攻撃を図り、湾に沈んだ小さな潜水艦に乗り組んだのが、松尾さんの子息でした。その勇猛を長く記憶に留めた皆様は、勇士の母を日本から呼び寄せてくれたのです。なんたる、寛容でしょうか」

戦いに負けたからといって、ご迷惑をかけましたと卑屈な態度を取るばかりか、国のために散った人を貶めるような発言をする政治家は少なくない。首相は豪州人の寛容さに感謝しつつ、特殊潜航艇で豪州を強襲した松尾敬宇中佐の勇猛さを淡々と述べる。聞いていて胸が熱くなる。

■安全保障
「こと安全保障に関し、日本は長らく内向きでした。しかし日本には、いまや一つの意思があります。世界の恒久平和を願う国、また世界有数の経済力をもつ国としてふさわしい貢献を、地域と、世界の平和を増すため行おうとする意思です。
 皆さん、まさしくその意思を実行に移す具体的行為として、日本は、豪州との関係強化を選択したのでした。
 そうです。本日はあたかも、平和を愛し、自由と、民主主義を重んじて、人権と、法の支配を大切に思う両国が、新しい特別な関係に命を吹き込む日。いわばその誕生日です。皆様お一人、お一人にわたるだけの、超特大のケーキをもってくるべきでした。

(中略)

なにか主張をする際は法を遵守し、力や、威嚇を用いない。紛争の解決は、すべからく平和な手段をもってする。
奉じる価値観において重なり合う日豪両国が手を取り合ってこそ、この当たり前のルールが、太平洋から、インド洋へと広がる、繁栄の海を覆う常識になるのだと信じて疑いません。」

安倍首相は、日本はもはや米国だけに依存する国ではないこと、法を順守し、自由と民主主義を奉じる国々と日本がスクラムを組んで平和に貢献する、その意思を明らかにした。この発言がベトナム、フィリピンをはじめアジア各国をどれだけ勇気づけたことだろう。

■終りに
首相は各国歴訪時に、東日本大震災への援助に対し、常に感謝の意を表している。

「敬愛する、議員の皆様、御覧ください、ニューサウスウェールズ消防庁の、ロバート・マクニールさんが、いまギャラリーにおいでです。お礼を申し上げます。どうも有難うございました。
 南三陸は、2011年3月11日、日本の東北地方を襲った津波によって、最もひどい痛手を受けた街のひとつでした。
 その南三陸に、マクニールさんは76人と2頭の犬からなるチームを率い、すぐ入ってくれました。そして日本人の消防士と協力されました。
 「日本人の消防士たちが悲しんでいるとき、その悲しさを共有することができた。言葉の壁は、そこにはなかった」というマクニールさんが残した感想は、私たちの胸を、いつまでも温かい感情で包みます。」

2階席で起立する消防士に惜しみない拍手が送られる。

最後に東京オリンピックで活躍したドーン・フレイザーさんを「私にとって豪州そのものだった」と紹介し、日豪の未来に新しい「ドーン(夜明け)」をもたらして下さい、と演説を締めくくる。

演説が終わると、会場はスタンディングオベーション、万雷の拍手が鳴りやまない。自分も日本人として誇らしく思い、PC画面に思わず拍手をしてしまった。


演説の動画は下記のHPでご覧になれます。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg10098.html