チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ラヨーンでのんびり

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ラヨーンでのんびり

■タークシン大王
ラヨーンはシャム湾に面しており、タイの東海岸リゾートの起点となる街である。見所と言うべきところはないが、18世紀に興ったトンブリー朝ただ一人の王であるタークシン大王ゆかりの地として知られている。トンブリー朝の前のアユタヤ朝は14世紀に興り、18世紀半ばまで続いた。タークシンはアユタヤ朝に仕える将軍であった。アユタヤ朝は16世紀ごろから執拗なビルマの侵攻に悩まされていた。1767年にビルマ王シンビューシンの攻撃より、アユタヤは灰燼に帰し、400有余年の歴史を持つアユタヤ王朝は滅ぶ。南に逃れたタークシン将軍はラヨーンで兵を再興し、ビルマ軍を迎え撃ってこれを打ち破る。タイ救国の英雄である。このタークシン大王を祀ったワット・ルン・マハーチャイ・チュンポンがラヨーンの名所として旅行書に紹介されている。タークシン大王は中国人であり、中国系タイ人であるタクシン元首相と混同されがちであるが、タイ語で両者の綴りは全く別で、発音も違う。

タークシン大王は在位15年のほとんどを戦いに費やした。敵対するピサンヌローク国、ナコンシータマラート国などを次々と討伐し、タイ北部、ランナー王国も属国とした。ラオスカンボジアも手中に収めた。しかしタークシン大王は晩年に家来の反乱に遭い、譲位を余儀なくされる。この時、カンボジアに遠征していたチャオプラヤー・チャクリー将軍が急遽、王都トンブリーにとって返して実権を握る。1782年タークシン王を処刑したのち、将軍はラーマ1世として王位に就いた。チャクリー朝の始まりだ。現プミポン国王チャクリー朝、第9番目の王であり、ラーマ9世とも呼ばれている。

■ラヨーン名物ドリアン
ラヨーンは高温多湿である。その気候が果物の生育にとっては好都合であって、果物の王様、ドリアンの名産地として知られている。ドリアンの花を見るツアーもあるらしい。11月から2月にかけてピンク、あるいはクリーム色の可憐な花が開く。大きさは5センチほど、花は夕方咲いて翌朝遅くには落ちてしまう。実に比べて花の命は短い。気になる花の匂いであるが、実とは違って爽やかな芳香を放つという。花のおしべ、めしべを使ったドリアンの花サラダという料理もあるらしい。
ドリアンの木は高さ20mから30mに育ち、一つの木から200個ほどの実が取れるという。果樹園では収穫を容易にするため樹高を10mくらいに抑えてあるそうだが、実が何十個、何百個も付いたドリアン園は一見の価値があるだろう。

■観光はせず、のんびりと
実は今回、タークシン大王が祀られたお寺にもドリアン園にも行っていない。ホテルが市内から30キロも離れているし、せっかく静かなホテルに投宿したのだから、あくせく動く必要はない。首都バンコクへ洪水が迫っていた時期だったせいか、外人観光客は少なく、100室はあるホテルには数組の宿泊客しかいない。プールは貸し切り状態だ。

朝食を取ったあと、浜に行き、腰のあたりまで水に浸かる。この深さであれば溺れる心配はない。高校では背泳の選手だったし、学生時代はライフガードで稼いでいたから、泳ぎには多少自信はある。しかし、海水浴客も監視員もいないところでは、安全のため背の立たないところには行かないのだ。

水中で仰向けになって、思い切り手足を伸ばす。南国の太陽が降り注ぐ。広いシャム湾にただ一人、浮いて漂う。「Plein Soleil(太陽がいっぱい)」と思わずつぶやく。アラン・ドロン主演のこの映画が上演されたのはもう50年以上前のことだ。巨匠ルネ・クレマンが地中海の鮮烈な太陽と貧乏青年の暗く屈折した心を対比して描いている。こちらはアラン・ドロンと違って、心にやましいことがないから、海も空も太陽も自分を祝福してくれているように感じる。この様な瞬間が訪れることを思えば、人生決して悪いものではないと思う。

海から上がると、浜に面したホテルのプールにそのまま飛び込む。塩抜きである。このクラスのホテルになるとプールサイドにバスタオルがたくさん用意されている。大きなタオルで頭をゴシゴシと拭いたあと、プールサイドのデッキチェアーに横たわり、用意しておいた文庫本に取りかかる。
出発間際に詰め込んだ小説だ。いつもPC画面に向かっているせいか、細かい字が見づらくなっている。家ではマイナス2の老眼鏡を使っている。しかし、水平線や青い空、遠くに続く白浜を眺めていたせいか、視力が回復したようで、老眼鏡なしで本が読める。

本を読み終えた時、自分が飛び込んで波立っていたプールは鏡のように静かに光っていた。


写真上から「ラヨーンのホテルからみたシャム湾」、「ラヨーン市内」、「ドリアン」、「ドリアンの花」