家を建てた（4）
■引っ越し
家を新築したとなると心配は引っ越しである。4月29日がバーンマイで、それが終了してから引っ越しとなる。引っ越しについてはブアさんに任せきりだった。4月下旬にロンブーからおばさん軍団が来て、食器や戸棚の中のものを大きな盥や籠に移し始めた。盥は大人が行水できるほど大型、近所の荒物センターで一つ数百円だった。20代の頃、ポリエチレン樹脂の販売をしていたことがあるが、この値段はほぼ樹脂原価だ。
本、薬、PC、付属機器は専用籠に入れる。14年住んだ借家は家具付きであった。家具は大家の所有物だから置いていく、洗濯機は自分で買ったから持って行くなどの仕分けはチェンライ移住当時から女中を務めていたブアさんが熟知している。長年住んでいると使わなくなったPC、携帯電話、電化製品の箱やら取説などガラクタに近いものが部屋のあちこちから出てくる。要らないものは部屋の真ん中に積み上げておくように。ハイハイ。
デスクトップは結局、4月29日朝まで使用し、新宅に行く前に配線を外した。ラップトップは新宅に持参した。数日前にWiFi が新宅で開通することを確かめてある。WiFi が,我が生活基盤の第一であるが、回線変更もブアさんの世話になっている。
■引っ越し開始
バーンマイの宴会は11時ごろから始まった。お坊さんたちが帰って、昼過ぎに宴会が終わると、ロンブーから来ていたおじさん、おばさん約20人が1.5キロほど離れた旧宅に向かい、作業を始めた。ダブルベッド、冷蔵庫、洗濯機などは男手がないとトラックに乗せることはもちろん、動かすこともできない。自分も現場に行ったが力仕事は勘弁してもらい、車とフォルツァを新宅に移した。引っ越しはワイワイガヤガヤと2時間足らずで終わった。2つの部屋にはダブルベッドが置かれ、ブアさんが敷布を取り換えた。部屋には冷房も入っているし、引っ越し当日から寝起きができる。
バーンマイではみなビールを飲み、ご機嫌だったが、引っ越しが済むとまた新宅の駐車場でお疲れ会、宴会は夕方まで続いた。ブアさんの指示で手伝ってくれた人にそれぞれ、封筒を渡した。日当がいくらかはわからない。5月に入っても村から荷物整理のおばさんが何人か来たが、そのたびに封筒を渡す係をした。現金収入の少ない村人も喜んだと思うし、わが引っ越しは先進国から中心国への富の移転にいくらか寄与したようだ。
■整理と収納
新宅に盥や籠に入った衣服や食器、炊飯道具などが所狭しと並べられていた。収納設備がいる。旧宅は家具付きであったから部屋ごとにクローゼットや書棚らしきものがあった。箪笥はいるなあ。実は建材店では家具類、クローゼットも売られていたが、観音開きの取っ手が左右ずれている。右扉と左扉は別々の人が作ったに違いない。こういうクローゼットを見ながら余生を送るのはどうか。
毎朝、コートに行く途中に日本の中古雑貨を売る店がある。家の整理で引き取った家財をコンテナに詰めてタイに持ってきて中古品として販売している。食器、炊事道具、衣服、ゴルフセット、テニスラケット、人形など、家具もある。ここに洋箪笥があった。日本製だから見た目も造りもしっかりしている。5500Bの価格だったが4000Bに負けてくれた。店番のおばさんはオオサカ、キョートに行ったことがあるとかで、日本人と分かってサービスしてくれたようだ。箪笥をいくつか見てみた。大きな和箪笥の扉を開くと引き出しになっていた。和服専用と分かる。こういう和箪笥はもう日本では売れないのだろう。
仏壇もいくつかあって、中型で箪笥より高い7000Bの値段がついていた。収納具として使うそうだが、以前、「先祖代々」とか書いた位牌が入っている仏壇を見たことがある。日本人は絶対買わない品の一つだ。
ニコン、ミノルタなど古いカメラが20-30点、埃を被っていた。大型レンズもあって、もし合うものならお買い得かもしれない。タシケントのバザールで友人がソ連製のカメラを土産として購入したことを思い出した。
ブアさんが携帯で検索したところ、こういう日本の中古品専門店はチェンライに10ヶ所ほどあることが分かった。ということはそれなりに商売になっているということだろう。日本の瀬戸物はやはりタイの食器よりはしっくりくる。食器は概ね、重量で値段が決まるが一つ20B-30Bだから、気に入った湯呑などあればお買い得といえる。
他に食器棚も購入した。収納具とおばさん軍団のお陰で新居は人が住める環境となってきた。
