チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

為替よりも重要なこと

ドイ・パータンからタイ側を臨む

ラオス

遠くにメコンが見える

シーズンには人が数珠つなぎになるというが

104高地、パテトラオを迎え撃つ軍事施設があった

 

岩だらけの道


為替よりも重要なこと
■円安苦境
日本のテレビニュースで昨今の円安を取り上げていた。円安のせいで輸入物資、エネルギーコストが高騰し、小麦製品、ビール、牛乳、養殖魚なども値上がりし、庶民の生活が苦しくなったとか。画面にはスーパーの店長が映り、「偉い人は我々と同じ生活をしてほしいとは言わないが、せめて物価上昇の現場を見てほしい」という切実なコメントを述べている。牛乳が5円上がっただけでも、庶民代表(の主婦)が「苦しいやりくりの中で値上げは困ります」と嘆いてみせる。続けて、昨年度日本企業が儲けた金額の合計が79兆5000億円と、過去最高額となった,旅館や飲食店を中心にコロナの影響から持ち直し、製造業の利益も30%あまり増加したという国税庁発表のニュースになる。

要するに庶民の暮しは厳しくなっているのに企業所得は増えている、儲けた金はどうして庶民に還元されないのか、というツクリになっている。繰り返し書いているが円安で儲かる業界もあるし、損する業界もある。逆に円高で収益が上がる会社、下がる会社もある。

円高の時はデフレで物価が下がった。庶民や年金生活者は物価が安くなった分、所得が増えたと言える。円高の時はトクしていたのだから円安で多少物価が上昇するのは仕方ないです、などと誰も言わない。損をするのはいつも庶民、中小企業の図式だ。このニュースはこの円安ではもう工場をたたむしかない、と嘆くパイプ工場の社長を取り上げている。

■円安が直撃
円安で困っている人といえば、タイで暮らしている年金老人が挙げられる。いい時は1万円が4000バーツ以上になったが今は円安で2500バーツ、約4割の収入減だ。タイのインフレ率は7%を越えており、物価上昇は日本より顕著。チェンマイ、チェンライ在住者のブログではせめて3000バーツならと、円安を嘆く声で溢れている。

でも日本のマスコミはタイで困っている年金老人など絶対に取材しない。タイに暮らしているというだけで「勝手に日本を出ていったくせに。結構、そっちではタイ女性とウマくやっているんだろう、そんな不逞老人の実収入が減るのは自業自得だ」という声が怒涛の如く押し寄せることが目に見えているからだ。それに日本に居住するご同輩は年金の1割を消費税に持っていかれる。タイにも消費税にあたる付加価値税(VAT)7%があるが内税だし、そこらの市場で買えばこの税金はない。

為替で実収入が減ったなんて文句言うんだったら、まず外国在住者の年金を消費税分、10%減額してもいいんじゃないか、という声があがりそうなので、自分は為替について不平不満は言わない。

■為替どころか
日本のニュースで解せないのは日本の防衛問題が真面目に取り上げられてないことである。産経新聞の阿比留瑠偉記者は11月1日の「阿比留瑠偉の極言御免」でこう述べている。以下引用。

極東情勢は、風雲急を告げている。残念ながら武力衝突の足音は、すぐ近くにまで迫っているが、日本の国会は何をしているのか。
米海軍制服組トップのギルデイ作戦部長(大将)は19日、中国による台湾侵攻が今年中か来年中にも起きる可能性を指摘した。ブリンケン米国務長官も、17日に「中国はずっと早い時期の統一を追求する決断をした」と述べている。中国共産党習近平総書記(国家主席)は「2期10年まで」「68歳定年」という2つの慣例を破り、3期目に突入した。16日にはこう宣言している。
 「武力行使の放棄は約束しない。祖国の完全統一は必ず実現しなければならないし、必ず実現できる」(引用終り)

この非常時において国会では統一教会の問題ばかりだ。憲法改正はおろか、自衛隊の弾薬、迎撃ミサイルが不足していて、国民の生命、財産を守ることができない現実があっても何も議論しない。安倍さんが台湾有事は日本有事、日米有事、といった時、中国は1300発の核ミサイルを落とすと日本を脅した。

台湾は10月からほぼ感染症の制限なしで観光客を受け入れることになった。エアアジアが12月から週3便、チェンマイ台北間に就航することになった。料金は日本円で往復2万4千円ほどである。感染症後、初の海外旅行は台湾と思って、計画し始めたが、年内にも共産軍の台湾侵攻があるとの米軍高官の情報に接し、フライト予約を躊躇している。

独裁者は、プーチンを見るまでもなく「合理的判断」をするとは限らない。習近平は経済がボロボロになっても、いやボロボロだからこそ台湾侵攻に乗り出すだろう。その時、尖閣、沖縄はどうなるのか。核ミサイルで為替どころか貯金も吹っ飛んでしまうという危機感はチェンライにいてもひしひしと感じるのだが。