チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

軍事独裁のほうがマシ

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軍事独裁のほうがマシ

ウズベキスタンのインフレ
今から10年前、ウズベクで書いたブログを再録した。最高額紙幣は1000スム札、日本円にして100円ほどだった。然るべきレストランで宴会をすると日本円で一人千円を越える。10人も参加者がいると一人1000スム札を10枚出すから全部で100枚の札が集まる。幹事は大変だった。携帯電話など多少値が張るものを買う場合、ボストンバッグ一杯の札束がいる。こういう国では銀行強盗をしても札束が重すぎて割に合わない。

10年前、ウズでは玉ねぎがキロ300スム、バス、地下鉄の乗車賃が250スムだった。インフレがすごいと聞いていたが、現在の消費者物価は、とジェトロの資料を見てみた。今年の4月調査であるが、玉ねぎがキロ3000スム、バス、地下鉄の運賃は1200スムになっていた。値上がり率がすごい。しかし、自分のいた時、1ドルが1200スムくらいだったが、2017年4月の銀行での交換率は1ドル3700スム、闇レートなら1ドル7900スムだ。ということは1000スムは日本円で14円ほど、物価は上がっているがドル換算、円換算でみればそれほどでもないか。ウズでは銀行でスム交換をする人はあまりいない。闇市場というと怪しい感じがあるがどこのバザールでもドルをスムに交換してくれる。

勤務先の近くに銀行があって、そこでドルをスムに換えようとしたら、銀行窓口のおばさんが、「私がいいレートで交換して上げるから学校で待っていなさい」という。しばらくすると研究室におばさんがやってきた。腹巻の中からスムの札束を取り出してドルと交換してくれた。もちろん銀行の公定レートより交換率はよかった。
あの札束、おばさんの体温で暖まっていて気持ち悪かったことを思い出す。
2013年にウズベキスタンは新たに5000スム札を発行したが、通貨が5分の1以下に下落したのだから、宴会の幹事は今でも100枚を越える宴会費の確認に苦労していることだろう。

■安定しているタイ
タイに住んで9年目に入るが、ウズベクほどの物価、為替の変動はない。タイソバのクイッティオが30Bから40B、散髪代が40Bから50Bに上がったくらいか。為替も現在、1万円をバーツに換えた場合、3000Bちょっとになる。でも数年前は1万円が4100Bという時があった。この時は民主党政権、白川日銀総裁の下でのデフレ時代で、1ドルが80円ちょぼちょぼだった。バーツはドルにリンクしているので、概ねドル高、円安になればバーツの受け取り額は少なくなるし、ドル安、円高になれば逆になる。でもいくらバーツの受け取り額が増えたとしても、あの民主党政権の再来だけはご免こうむりたい。

日本ではヒトラーアベの独裁が続いている、という人がいる。多数で押し切ろうという独裁、というマスコミもあったが多数決は民主政治の根幹だ。多数決による独裁って何だろう。タイでは3年前の5月22日、クーデタが起こって文字通り軍事政権による独裁が始まった。プラユット首相にすべての権限が集まり、5人以上の集会は禁止になっているし、反対派は不敬罪で次々に逮捕される。反対派のフェイスブックに「いいね」を押しただけで逮捕される。安倍政権の下では野党の存在も反政府デモも許されている。何が独裁か。

■経済は好調
息苦しい軍事独裁の許で、タイ経済は停滞し、人々は息をひそめて暮らしているか、というとそうでもない。却っていわゆる民主的な政党政治が行われていたインラック、アピシット政権の時のほうが殺伐としていた。政府派、反政府派のデモ隊が衝突し流血の惨事が起こっていた。日本人ジャーナリストも亡くなっている。バンコクの空港がデモにより閉鎖された2008年にタイを訪れた観光客は1458万人だった。

ところがタイ観光・スポーツ省によれば、2016年、タイへの観光客数は、+8.9%増加で過去最高の3260万人になったという。観光収入は1.6兆バーツ、前年比12%増だった。2017年1-3月のタイのGDPは前年同期比3.3%増で、10-12月期の3%増を上回っており、経済は堅調に推移している。

マキャベリは「結果さえよければ、手段は常に正当化されるのである」と言っている。また「民衆というものは、善政に浴している限り、とくに自由なぞを望みもしなければ、求めもしないものである」とも言っている。マキャベリが今のウズベキスタンとタイを見たら、タイのほうが善き為政者に恵まれていると言うに違いない。