チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ4年1カ月

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介護ロングステイ4年1カ月

■ ベストシーズン
2月下旬に入ると、チェンライ近郊の水田は美しい緑になってくる。前年、11月に稲刈りが終わり、ひと月くらいしてから田起こし、代掻きが始まり、1月の末に田植えが始まる。水さえあれば1年中、いつでも田植えができるし、隣の田んぼに比べて少々早く、あるいは遅くコメ作りを始めても何も問題はない。
かえって大型コンバインの稼働率を上げるためには時間差?種のほうが望ましい。

今、気温は朝が22度、日中は32度位に上がる。15センチほどに育った稲を渡る風も心地よい。昨年はタイ東北部ではコメが不作で、価格が上がり、タイ北部のコメ農家は大喜びだった。今年に入っての作付け面積も昨年に比べると多いような気がする。

チェンライに行くのはいつがいいか、と問われれば、やはり乾季の1月、2月、それもチェンライイエローとか国花チャイヤプルックが開き始める2月をお勧めしたい。木全体が鮮やかなレモンイエローの花で覆われる。日本ではあまり見かけない華やかさ、南国にいるという気にさせてくれる

■母の一日
シンタニーの団地内もいろいろな花が咲き始めた。母を車いすに乗せて、きれいだねと話しかけて、花めぐりをしていたのはかなり前になる。今は車いすで散歩に行こうか、と言っても首を横に振るし、椅子にまっすぐに座っていられない。外界への興味もほとんど示さなくなった。

母の一日は7時半に通いの女中さん、ニイさんが来るところから始まる。まず着替え、ベッドから長椅子へ二人がかりで運ぶ。タオルで顔を拭いたり髪を梳かしたり、身繕いをしてから朝食。我々兄弟も母を見ながら朝食、我々の朝食はもう一人の女中ブアさんの担当。ブアさんはニイさんと簡単な打ち合わせをして2階に行って仮眠をとる。

食事が終わると母は静かに長椅子に座っているが、ベッドに行って寝る?、と尋ねると首を縦に振る。そこでニイさんと母をベッドに運び、寝かせる。朝食の後は静かに寝ていることが多い。この間、ニイさんは掃除、洗濯と休みなく働く。

昼にはまた長椅子に座って、ニイさんから匙でバナナおかゆを食べさせてもらう。いつも同じで飽きないかな、と思うのだが日本のふりかけや魚のほぐしたものを混ぜるなど、いくらか工夫しているようだ。

■食後はベッドで
昼過ぎにブアさんが起きてきて、女中さん2名体制となる、トイレやシャワーも午後になる。午後、母はベッドで大声出していることが多い。何か大声を出す必然性があるのだろう、と思う。兄は大きな声が出ているということは元気な証拠だからという。女中さんたちも気にしない。時々はそんなに大きな声を出してどうしたの、と声をかけに行く。

夕方には整体師のジェニさんがニイさんと一緒に足や腕の曲げ伸ばし、立つ練習を1時間ほど続ける。長椅子にまっすぐ座っていられるのは整体を続けているおかげだと思う。ニイさんは母に夕食を食べさせて、6時過ぎに帰宅する。公休は日曜だけ、1日11時間労働だ。

買い物、夕食作りはブアさんの担当、ニイさんと役割分担ができている。母は夕食後もベッドで大声を出していることが多い。静かであるとかえって心配になるくらいだ。何言っているの、と兄に聞いても、よくわからんという。日本の施設や病院であったら、即、薬で眠らされているところだ。

夜9時過ぎまで大騒ぎしていることもあるが、午後から騒いでいるとさすがに騒ぎ疲れて適当な時間に寝入ってしまう。ブアさんは夜中に何度か紙パンツの交換をし、時にはミルクを飲ませる。
ブアさんは母の世話を始めてもう5年目に入る。住み込みだから24時間勤務、公休なし。1年に1回ほど、お寺に1泊のお籠りに行くくらい。

■6日間の休暇?
そんなブアさん、ニイさんを喜ばせることがあった。2月に兄と自分が三男の結婚式参列のため、バリ島6日間の旅に出たのだ。ママさんの世話だけなら楽勝、我々のために食事を作らなくて済むし、掃除、洗濯の手間も省ける。これまでも兄弟でチェンマイやナーン等へ外泊することはあった。1日だけでもうれしいのに6日となると、その間何しようか、と楽しみにしているようだった。結局、ニイさんは2日連続休んで娘のナームちゃんと過ごし、その間、ブアさんのお寺友達が二人来て母の面倒を見ながら、お寺談義をしていたという。

帰国してみたら母は相変わらず元気に大声を出していた。母の孫の結婚を報告したが理解したかのかどうか。

田は緑を濃くし、木々には原色の花が咲き乱れている。3月に入れば山焼きが始まるだろう。季節の移り変わりとは別に母の生活は淡々と毎日同じように過ぎていく。



写真上から「チェンライイエロー」「同」「ニイさんとナームちゃん」