チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

カオパンサーで雨季入り

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カオパンサーで雨季入り

■カオパンサー
今年のカオパンサー(入安居)は7月16日、その前日がアサハブーチャー(三宝節)で両日とも国民の休日となっている。17日の日曜と合わせて3連休だ。日本では18日が海の日で土日と合わせて3連休だから同じようなものだ。
三宝節、入安居とも仏教に由来する休日なので、酒類の販売、提供が禁止される。先々週とその前の土日は選挙の関係で酒の販売が禁止されていた。だからこのところ、週末は酒が買えなかった。酒の提供ができないのでバーやレストランでは休業するところも多かった。

三宝節は陰暦8月の満月の日で、悟りを開いたお釈迦さまが5人の弟子に初めて説法をし、仏教徒が尊宗すべき3つの基本、仏・法・僧の「三宝」を確立された日という。満月、新月、半月の日が「お寺の日」でタンブンに適した日とされているが、三宝節の日のタイ人は一段とタンブンに身が入る。スーパーでも街でも寄進用の巨大蝋燭やバケツに入ったタンブンセットが山のように積まれている。蝋燭は太さ15センチ、長さ1メートル以上、大人の背丈ほどのものもある。燃え尽きるまで1月以上かかるのではないか。蝋燭の色はお坊さんの袈裟と同じく黄色で、赤や青白い、いわゆる日本にあるような蝋燭は見かけない。

■ブアもお寺へ
女中のブアも雨の中、彼女が住んでいたお寺にお菓子や洗剤などを詰め込んだ大きな袋を2つ下げて、タンブンに行ってしまった。タンブンに行く日はどうして、と思うほど機嫌がよくなる。ママさんの病気平癒をお祈りしてくるのだから、と応分のタンブンを要求されるので、ケチな自分は逆に不機嫌になる。ママさんのため、と言われるとムゲに拒否するのはどうかと思われ、ついついブアの言う通りになってしまう。そのあたりの呼吸を彼女もわかっているようだ。
お寺までバスで2時間はかかるが夕食の支度が始まる夕方には戻ってきて、長い時間出かけてすみません、と謝る。彼女は30日24時間公休無しで働いている。1晩くらいお籠りしてきてもどういうこともないのだが、どんどん行きなさい、と奨励するほどでもない。雇用関係というものは中々難しい。

三宝節の15日は雨だったが、この時期は雨季に入っている。雨で托鉢に出かけることができないので、入安居の16日から3カ月、お坊さんたちはお寺に籠って修行に打ち込む。雨季のため農作業が捗らないこともあり、この時期だけ出家する人も多い。日本では梅雨明けで太陽が照りつける季節であるがタイでは雨季の真っ盛り、雨季明けを告げる出安居(オークパンサー)の10月からタイの一番いい季節、乾季が始まる。

■ラオカオを買いに
15,16日と酒が買えないからというわけではないが、14日にタイの米焼酎、ラオカオを買いにメーサーロンに行った。メーサーロンは国民党の軍事拠点があった山中の村だ。現在でも中国系の人が多く住んでいる。ここで作られたお茶は台湾に輸出され、台湾特産の「高級凍頂烏龍茶」として販売されている。高地なので、夏でも涼しく、避暑やトレッキングに訪れる観光客も多い。
何度かメーサーロンに泊まったことがある。行きつけのホテルの近くにある雑貨屋でたまたま手に入れたポリ袋入りのラオカオが思いのほか美味だった。おそらく密造酒であろう。その味が忘れられず、時折、チェンライからメーサーロンまで75キロ、往復150キロ飛ばしてラオカオを仕入れに行く。

落差のあるスピンカーブをバイクで登っていく。ラフ族やアカ族の村を左右に見ながら2時間のツーリング、メーサーロンへ到着。店のお姉さんは、自分の顔を見るなり、「マイミー(ありません)」と手を振る。時折現れてラオカオを数袋買い求める日本人を覚えているのだ。
カオパンサーが近いぞと、みな酒の買いだめに走ったのだろうか。それともこの時期、買う人が少なくなるからと仕入れを控えたのか。タイでは特に理由もなく、あるべきものが突然店頭から姿を消すことがよくある。ラオカオもたまたま無くなったものだろう。仕方がない。

メーサーロンからチェンライ方面に下りていく途中に、山岳民族の露店がある。山で採れた農産物を売っているのだが、市価の半分以下。この日は採りたてのタケノコを十数本、それにキノコを購入。キノコは20バーツであったが、ブアに聞くと雨季の短い時期しか採れないキノコで、市場だったら100バーツ以上するものだという。あてにしたものが手にはいらなくても、思いがけない幸運に恵まれることもある。人生とはこういうものだろう。



写真はメーサロンの途中の風景と、貴重なキノコとお寺に集まった人々。