チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ひたむきに生きる

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ひたむきに生きる

■優勝おめでとう、なでしこジャパン
なでしこジャパンがサッカー女子W杯決勝でアメリカを破って優勝した。体格的には劣る日本が団結力、粘り、技術力で何とか米国の攻めを凌いだ。先行され、追い付き、PK戦を制しての勝利は素晴らしい。18日は海の日で休日だったから、早起きして観戦した人は多かったことだろう。

管首相は政府専用機でフランクフルトに飛び、なでしこジャパンを応援するつもりだったという。数千万円かかるし、この時期にと周りにいさめられて断念したそうだが、行かなくてよかった。管さんになって以来、選挙はことごとく負けているし、大震災、原発の復興の道筋も付いていない。こんな貧乏神が応援に行っていたら、勝つ試合も勝てなくなるところだった(と思う)。

タイ・プレミアリーグで活躍している小川君から、タイには女子プロサッカーリーグがあり、日本人選手が何人か活躍していると聞いた。女子サッカーは当地でもそれほど人気がないから、プロとはいえ、報酬は無しか、あっても食べていけるかどうかといった額だろう。悪条件の中、自分の力を信じて海外のチームで頑張っている日本女性がいるとは頼もしい。いつか、邦人向け新聞やタウン誌で紹介してもらえないかと期待している。

■「ちゃーお」と「ダコ」
タイに住む邦人は多いから、邦人相手の新聞や情報誌がいくつか発行されている。自宅にはちゃーおとDAKO(ダコ)が無料送付されてくる。ちゃーおは主としてチェンマイとその周辺の邦人を購読者としているローカル紙、ダコは80ページの雑誌タイプの情報誌、バンコク駐在のお金持ち邦人が対象。それぞれ月2回の発行。毎号、タイを知るのに欠かせない特集記事がある。

ダコの6月20日号の特集は「タイ人十色の職業ファイル2011、街で聞いた仕事観と人生観」だった。バンコクの街で働く人50人のインタビュー記事だ。その中に演奏歴60年という街のヴァイオリニストがでてくる。名前はパローさん、75歳。

・好きな仕事、憐れみ無用。
空挺部隊にいた頃のパラシュート事故で歩行が困難になりました。脳内出血も起こしていたので、医者が私の頭4か所に穴をあけて血腫を吸引。一命は取り留めましたが、身体に障害が残ったため除隊しました。その後、船舶修理の仕事を得て、日本で1年ほど働き、パッポンの店で演奏の仕事を2年。一番長く続いたのは記者です。20年以上勤め、定年退職して再び演奏の仕事に就きました。音楽は13歳から始めていて、聞くのも演奏するのも好きでした。

演奏はどんなに年を取っても続けられます。それほど力も使わず、元手もいらない。身に着いた技術は一生使えます。デメリットですか?ないです。あるのはメリットだけ。収入がなくても演奏した喜びは残ります。

この仕事にとても誇りを持っています。誰にも頼らず、自分の生活費を稼いでいるのですから。実子にも金の無心をしたことがありません。私は彼がオックスフォードの整形外科を卒業するまで面倒を見ました。今度は彼が私の世話を申し出てくれていますが今は断っています。たしかに、もう年ですから道端で演奏していると、いろいろな人から憐みの目を向けられます。しかし憐れみは無用。自分の世話は自分でする。1カ月で10万稼ぐことだってできる。施しを受けたことはない。1皿800Bのフカヒレだって食べる。1本1500Bのジョニーウォーカー黒ラベルも飲む。

私の座右の銘は「子供のものに手を出さず、他人のものに手を出さず、施しを受けず、死を恐れず、他人に有益な死のみ受け入れる」です。

・路上で会ったこの親になる
好きな演奏でお金をもらえるなんて幸せなこと、死ぬまで続けますよ。今は子供もいますから。
 子供とは生後2カ月の時に道端で出会いました。物売りをしている母親と一緒で、貧しさから赤ん坊は水しか与えられていませんでした。毎日その様子を見ていた私は堪えられなくなり、里親として子供を預かりたいと母親に頼みました。その子も今では5歳になり、元気に学校に通っています。この子のためにも私は仕事を続け、充分に成長するまでは私が面倒を見るつもりです。
 
私は日本人のことがとても好きです。船舶修理の仕事で、東京大阪へ1年近く行っていた時に友人もできました。彼らはとても面倒見が良くて感激したのを覚えています。当時を思い出すたびに懐かしく思います。


何処の国にも誇りと高い志を持ち、ひたむきに生きる人がいる。その反面、なでしこジャパンの活躍まで自分の延命、人気取りに使おうという恥知らず、誇りのかけらもない人もいる。

写真上はダコ誌の記事。