チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

昨日の敵は今日も敵

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昨日の敵は今日も敵

カルタゴの運命
「万朶(ばんだ)の桜か襟の色 花は吉野に嵐吹く」とくれば、ご存じ、軍歌「歩兵の本領」である。この歌の6番には、「アルプス山を踏破せし
歴史は古く雪白し」とある。これはカルタゴの将軍、ハンニバルの故事から来ている。カルタゴの宿敵ローマを屈服させるにはイタリア本土を直接攻撃するしかない。しかし、制海権がローマに握られているため海上からの侵攻は困難である。さらにローマはカルタゴの侵入が予想されるイタリア西部、南部に兵力を配置していた。ここでハンニバルアルプス山脈を越え、ローマの防備の薄い北方から侵攻するという前代未聞の発想に至る。
紀元前218年5月、ハンニバルは、カルタゴ・ノヴァ(現カルタヘナ)を進発し、海岸線沿いに南フランスを進んだ。ローヌ川での戦いを経て9月、ハンニバルは約40,000名の兵士と30頭の戦象を率いてアルプス越えに挑んだ。北イタリアにカルタゴ軍現るの報はローマを驚愕させる。カルタゴ軍は3度にわたってローマ軍を打ち破るが、結局18年にわたる戦い(第2次ポエニ戦争)に敗れる。

カルタゴは50年賦の賠償金支払い、武装解除など9項目の条件を飲んで休戦に持ち込む。潜在的な国力を持つカルタゴは、予定より早く賠償金を完済した。カルタゴの復讐を恐れるローマは、第3次ポエニ戦争を仕掛け、カルタゴを殲滅する。カルタゴ人は全て虐殺されるか奴隷にされ、港は焼かれ町は破壊された。陥落時にローマが虐殺した市民は15万人、奴隷に売られた者は5万人に上ったという。カルタゴの土地には雑草一本すら生えることを許さないという意味で塩がまかれた。

■復讐を恐れる戦勝国
やったらやり返される、は世界の常識。復讐されないためには徹底的にやっつける。できたら根絶やしにする。ローマはカルタゴに対し最善の方法を取ったというわけだ。
アメリカも日本の復讐を恐れて、おかしな憲法を押し付け、自然と天皇家が消滅し、日本が国柄を失っていく仕組みを作った。日米安全保障条約は二度と日本がアメリカに歯向かわないよう、日本には強力な軍備を持たせず、いざとなったらアメリカが日本を再占領できるよう駐留軍を置くというものである。第2次ポエニ戦争後にローマがカルタゴに強いた休戦条件とよく似ている。

米国人と議論しているとき、旧約聖書には目には目を、歯には歯を、という言葉がありますね、だから日本はアメリカに2発原爆を落とす権利がある、こう言うと嫌な顔をされるが、お前は間違っているとは言わない。復讐を恐れるということは、アメリカは心の隅で日本をまだ潜在的な敵と見なしていると言っていい。

■戦争観の違い
日本にも戦乱の時代はあったが、老若男女を皆殺しにし、敵地に人が住めないよう塩をまくといったいわゆる殲滅戦はしていない。信長の一向宗弾圧(石山合戦)も最終的には講和しているし、秀吉も殿様さえ自害すれば城兵は助けるという条件で攻撃をやめた(備中高松城の水攻め)。戦国時代に主家を失った武士が他藩に召し抱えられることはよくあった。
フランス革命では王様始め、貴族、坊さんは徹底的に殺され、領地や財産は革命派に山分けされた。ロシアや中国の革命では多少なりとも裕福な人、教育のある人は千万人単位で殺された。
アメリカの南北戦争では5年間で62万人も戦死者を出した。慶応4年1月から1年半戦われた戊辰戦争で、靖国神社に祀られている人数は旧幕府軍、新政府軍合わせて1万3千5百名余り。同じ内戦であるが、当時の人口を考えても日本の犠牲者の数が極端に少ないことがわかる。

昭和の始めに労農派の学者が明治維新を明治革命と呼ぼうと主張したが、朝敵の親玉、徳川慶喜貴族院議長となり、佐幕諸藩の諸侯は貴族に列せられた。会津の白虎隊出身の海軍大将もいるし、米内光政、東条英機山本五十六なども賊軍であった地方の出身。明治維新が革命であったなら、徳川一族ならびに佐幕派は徹底的に抹殺されていただろう。

戦いが終われば、同じ日本人、新たな目標に向かって力を合わせる。少年海賊を主人公としたワンピースという漫画が3億2千万部を売り切る大ヒットとなっている。主人公ルフィーは敵と戦う、そして戦った後、敵は仲間となる。この「昨日の敵は今日の友」は日本古来の戦争史観を踏襲したもので、大陸の復讐恐怖、異民族殲滅史観とは全く異なる。海外では翻訳版が35以上の国と地域で販売されており、海外での累計発行部数は6000万部を突破しているという。ワンピースの普及により、日本の平和思想が世界に定着する日が来ないものだろうか・・・