チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ホェイモ村のブランコ祭り 3

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ホェイモ村のブランコ祭り(3)

■宙に舞うアカ女性
次々とアカの女性がブランコに乗る。縄の長さは7,8mあるから振幅はかなりのものだ。女性はブランコに揺られながら単調な歌を歌う。意味はわからないが哀調を帯びた節回しだ。夕焼けをバックにブランコに揺れるアカ女性、なかなか絵になる風景だ。TVクルーがブランコの揺れに合わせてカメラを動かしている。

イヤホンを耳に差し込んだカメラマンがニコンかキャノンのデジカメを使って映像と音を撮る。ビデオカメラ、マイクロフォン、録音機も使わない。写真を撮る手軽さでビデオ収録ができるわけだ。電子媒体を使うからフィルムの残りを心配する必要もない。
昔のカメラマンは大型ビデオカメラを肩に担ぎ、撮影助手がマイクの着いた竿や予備カセットを持って随伴していたものだ。撮影機材はすべて個人用バッグ一つに収まる。カメラマンは体力勝負と思っていたが、便利な世の中になった。

たかがブランコとバカにしてはいけない。方向を一定に、美しく高く乗るためには技術がいるようだ。ブランコは一本の縄だから慣れない人が乗るとどうしても体が回転してしまい、姿勢が制御できない。怖くなって縄にしがみつくから見た目も良くない。アナウンサーのパットさんが撮影の為にブランコに挑戦したが、どうしても体が裏になったり、表になったりする。恐怖に引きつりながらも笑顔を絶やさないのは職業意識か。

TVクルーにくっついて、写真を撮った。カメラの性能はそれほど変わらなくても、アングルや逆光利用など撮影技術はさすがプロ、とてもかなわない。昔に比べれば、写真の撮り方がうまくなったと褒めてくれる友人がいる。以前は何の気なしにシャッターを切っていた。でもブログの写真とはいえ、人様に見せるものであるから、技術と努力は必要だなあと思った。

■村長宅にホームステイ
テレビクルーに付き添っていた村長が、今晩はうちに泊りなさいという。クルーは小型バスで山を降り、ソエット・タイのゲストハウスに泊る。一緒のゲストハウスに、と誘われてもいた。ソエット・タイはホェイモ村から車で30分くらい、国民党ゆかりの中国人村だ。でも道中、真っ暗だし、崖や泥んこ道もある。多分、今日の夜飯では焼酎などの饗応にあずかるはずであるから、酒酔い運転の危険は冒したくない。村長の好意を受け入れることにした。日帰りのはずが一泊旅行。旅と人生は予定通りにはいかない。そしてそれが刺激的でもある。

夜飯は村長宅、テレビクルーと一緒だ。パットさんはアカ衣装のままだ。食事の前にお茶が出た。斜めに切った竹筒が茶碗がわり、深みはないがさっぱりした味だ。パットさんが日本のお茶に比べてどうですか、などと聞いてくる。お茶の木は単品種ですから、アカのお茶も日本のお茶も原料は全く変わりません。チェンライでつくられたウーロン茶が台湾や香港に輸出され、更に日本向けに包装され、最高級茶として再輸出されています、などとIさんが答える。例によって、同じ質問をしますから、同じように答えて下さいね、と言ってカメラが回り始めた。

インタビューは英語で行われ、それをパットさんがカメラに向かってタイ語に訳す。一般的に英語を話す場面で複数の人がいる場合、一番うまい人が話す。もし、その人がいなければ、次に上手な人が話す。誰もいなければ仕方ない、自分が喋らなければいけない。今回はIさんがいたので、英語場面はすべて彼にお願いした。一緒に来てもらって本当に良かった。

ホェイモ村とお茶の番組は9月28日に朝10時5分からタイPBSで放映されるとのこと。ボツにならなければ、パットさんとIさんの傍らで、好々爺然として静かにお茶をすすっている自分が映っているはずである。

■夜の踊り
夜飯にはラオカオやビールなどの酒が出なかった。アカ族は朝食の時からラオカオを引っ掛けるのが普通と思っていたので意外だった。食事がすんでくつろいでいると近所からトントンという音が聞こえてきた。クルーがそれ、始まったと腰を上げる。

道端で数人のアカ衣装の女性が1.2mほとの竹筒を垂直に抱え、歌に合わせてリズムカルに地べたにうちつける。2mはある細長の太鼓とシンバルが唱和する。竹筒は節が抜いてあり、軽い音が出る。打楽器だけの単調なリズムと、円を描いて歩くだけの単調な踊りだ。しかし、エキゾチックなアカ女性の集団がこれをやるとなかなか迫力がある。

クルーが酒を飲まず、パットさんがアカ衣装のままだったのは、この撮影があったからか。(続く)


写真は「アカ女性のブランコ乗り」「夕食」「夜の祭」