チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

大統領選挙

イメージ 1

大統領選挙

ウズベキスタンのカリモフ大統領は1991年の独立以来16年その職にある。独立前のウズベキスタン共産党中央委員会第一書記時代を含めれば18年ウズベキスタンに君臨していることになる。
憲法では大統領任期を5年と決めていて、3選を禁じている。それなのにどうして16年も大統領を続けていられるのか。それは最初の任期途中の1995年に国民投票を行い、90%の賛成票をもって任期を2000年まで延ばした。2000年1月の選挙で再選を果たしたが2002年1月の国民投票による憲法改正で任期を5年から7年、すなわち2007年1月まで延長した。大統領の任期が切れてその年の最後の月に選挙をすることになっているので、今年の12月23日が選挙日となる。

憲法では現任期の7年を越えて大統領職にあることを禁じているが、大統領は1月の任期切れからそのまま現職にとどまっている。今年の春、任期を越えて大統領職にあるのは憲法違反だと反政府主義者(チョルスバザールでパン販売をしている人という)から最高裁判所に異議申し立てがあったが、最高裁はいまだに判断を下していない。

中央アジアの大統領はウズベキスタンに限らず、独裁的で政敵を弾圧しているのでナンバーツーが育たず、平和的な政権移譲ができない。そういった独裁者たちはチェコチャウシェスクの二の舞になることだけは避けたい、ということで一致している。だから自分がやれる間は自分がやり、その後は世襲で地位安泰というコースを狙っている。隣国カザフスタンのナゼルバイエフ大統領は息子に政権を譲ろうとしているが、スキャンダルまみれでうまくいかない。とりあえず、自分が終身大統領となることを議会に承認させた。

カリモフ大統領にはグルノーラという30代前半の娘がいる。彼女に政権移譲を、という話は常に浮上する。彼女は50歳の実業家と結婚し、政界より経済界に君臨している。儲かっている事業や企業があると無理難題を押し付けて接収してしまうという評判の方で、この人が大統領になるならまだ・・・と思っている国民は多い。彼女も政治に口出しするよりも自分のデザインした服をプロデュースしたり、歌手デビューをはかったりするほうが忙しい。(彼女のリリースしたCDにベサメムーチョなどが収録されている。聴いた人の話では、聴くに堪えないもの、だそうだ)

総じて中央アジアはまだトルクメン汗国、ウズベク汗国、キルギス汗国というような部族、氏族社会と思ったほうがいいのかもしれない。

さて、ウズベキスタン憲法では大統領の3選を禁止しているのだが、2002年の国民投票で2007年まで任期を延ばした。これが憲法改正までの暫定処置と言うことで2000年の選挙は再選ではない、という解釈がされるようだ。そして今年12月の選挙にカリモフ大統領は「再選」を賭けて出馬することになっている。

12月の大統領選挙には6つの政党から6人の候補が立つ予定。ただこれらの政党はすべて旧共産党から分かれたものであり、政府の経費によって運営されている。一応、ウズベクは2院制を敷いており、議員は存在するが国会が開催されるのは年に数日だけ、いわゆる職業政治家という人が存在しない。候補は政府指定の人となる。

理論的にはカリモフ以外の候補が大統領になることは出来る。しかしすでにマハッラではカリモフのための選挙運動が大々的に開始されており、まず8割以上の支持を集めいてカリモフ大統領が「再選」されるのは間違いないところだ。

選挙が近くなると高値どころか姿を消している食用油が市場に出回ったり、物価が突然下がったりする現象が起こるという観測もある。90年代半ば、ウズベクに小麦とパンが欠乏した時、カリモフ大統領がパンを国民全体にいきわたらせてくれた、という神話を信じている国民が多数を占めているので、この手段はかなり有効であろう。

とにかく誰が当選してもいいから混乱なく選挙が終わってくれればと願うのは我々外国人ばかりでなくウズベク国民も同じ思いではある。