チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

熟年ライダー(6)

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熟年ライダー(6)

■3つのビーチを一望する
カオ・チョン・クラジョクはわずか90mの山であるが勾配のきつい階段を396段も登る。バイクで頂上に行く車道はないかと何度か山を周回してみたが自力で階段を登るしか山頂に立つすべはないということがわかった。
「鎌倉の九十メートルの山に立ち まぁハイキングをしたことにする」などという歌があったが、同じ高さであっても老齢の自分にはきつい。汗だくで階段を登りながら5年後はもうダメだろうな、と弱気になる。しかしこの山の頂上からの眺望は山上りの苦行を補って余りある。プラチュアップは「3つの湾の街」と呼ばれる。眼下にその3つの湾、ノイ、プラチュアップ、マナオの美しいビーチが一望できるのだ。周りの猿の存在も忘れ、海風に吹かれる。

猿の見送りを受けながら、階段を下り、バイクでノイビーチへと向かう。バイクで10分ほどだろうか、風が強く、浜にはかなりのゴミが打ち寄せられている。この日の波はかなり高く、泥水のように濁っていた。泳いでいる人はもちろん、浜にはほとんど人影がない。いくつかある食堂やリゾートは戸を閉めたままで、日本の冬の海水浴場の雰囲気を思わせた。リゾートというより漁村に近い。浜で魚やイカを干している写真をネットで見たことがある。干しイカでもあれば、と思ったが台風の影響で漁に出なかったのだろう。何も買えず残念。
ノイビーチは左手に湾が広がり、右手は山となっている。湾内には数隻の漁船が停泊している。絵を描きに来る人が多い、とあるブログにあったが、確かに、絵の構成を取りやすいところだ。 波の穏やかな時に再訪してみたい。

■ビーチ巡り
その次にマナオビーチへと向かう。途中、第5空軍基地の滑走路を横切る。マナオビーチはノイ、プラチュアップに比べ、水もきれいだし、浜に多数のデッキチェアーが並べられていて、海浜リゾートらしい感じがする。ただ残念なことに海水浴客はまばら、広い浜に出てみたがファランが何人か打ち寄せる波と戯れている。Nさんがバードウォッチング用の12倍双眼鏡で白人女性4名を観察、「若いけれど1人は太りすぎだ」などと呟く。双眼鏡を借りて女性観察をしてみたらロシアか北欧系のパツキンハイティーンが水を掛けあって遊んでいた。確かに一人はデブだ。自分の双眼鏡は10倍でタイで買ったものだから、これほど鮮明には見えない。バイク用品に限らず、なんでも性能を第一に考え、けちけちしないでいいものを買わないといけない、と思った。

マナオビーチから北方向、プラチュアップビーチに向かうと右手に空軍基地入口の看板が見える。基地内にはゴルフコースがあるらしくその案内板もある。海浜沿いに基地へと向かう。ゲートがあり、カービン銃を持った歩哨が立っている。ここでパスポートを渡し、代わりに首から下げる入館証を受け取る。バイクでそのまま基地内に乗り入れる。滑走路を横切ると右手にこじんまりとした浜が見える。少し海に突き出た岩山のためシャム湾の波がさえぎられ、波は全くなく、透き通った水が白い浜から海中へ続いているのが見て取れた。へー、こんなにきれいな浜があるんだ。人っ子一人いないのがもったいないくらい。

岩と浜の構図がよく、降りて写真を撮りたいと思ったがここは軍事施設だ。ゲートにも写真撮影禁止の看板が出ていた。写真を撮ったところに兵士が現われて、お前はスパイだな、と基地内の取調室に引っ張られても文句は言えない。何の作為もなく、携帯をいじっていただけでスパイ罪に問われた日本人は中国あたりではいくらでもいる。タイは軍政で、実質的には戒厳令が敷かれていると言ってもいい。独裁政権はウズでもタイでも外国人嫌いだからどんな難癖をつけられるかわからない。邦人保護担当の領事だって、「撮っちゃいけないとこで写真撮ってたんでしょ」と釈放に協力してくれないかもしれない。泣く泣く諦めた。

■また行きたい
ところがあとで調べてみると、このプラチュアップで最も美しく、透明な海水の浜は、タイ空軍公認の海水浴場で、タイ国民でなくても誰でも利用できるとのこと。ここだったら泳ぎたかったんだよー。基地内にはホテルもある。次回は是非、基地内のホテルに泊まり、あの浜で泳いだり、読書をしたり、岩の下に潜ったりしてみたい。

プラチュワップキーリーカンとは「山の群れに出くわす」という意味という。山が迫るミャンマー国境までは狭いところでは海から13キロで行ける。国境では両国民の集まる市がたつという。つい、プラチュアップに数週間滞在してしまった旅人もいるという。そんな話にも頷ける魅力ある街である。




写真はカオ・チョン・クラジョクの山頂からの眺め、ノイビーチ、基地内のマナオビーチ、海を見るNさん、よく見えないが泳ぐパツキン女性