チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ5年4カ月

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介護ロングステイ5年4カ月

■落ち着いた状態
認知症に効く薬はない。医師もそれをよく知っているから気休めの向精神薬や胃腸薬、ビタミン剤あるいはカルシウム剤などを処方する。精神安定剤は却って患者を興奮させることがある。

ネットでの介護経験談を参考にして、半年前から薬を一切やめた。医者がくれた薬だから悪いものではない、もしかしたら快方に向かうのでは、病状の進展を遅らせることができるのでは、という気持が無かったわけではない。その後、母の病状は全く変わりないし、興奮しなくなった分、女中さんたちは「ママさん、よくなった、よくなった」と喜んでいる。

確かに母が絶叫する声を聞くのは息子としても辛いものがあった。
今も大声を出さないことはないが時間はそう長くないし、以前のように切羽詰まった感じではない。何か不満で怒っているのかな、というくらいである。「どこか痛いの?、お医者に行く?」と聞いてもさしたる反応はない。以前は首を横に振ったりと意思表示があったから、それなりに衰えてきているのかもしれない。

女中さんたちは、「ママさん、ケンレーン(健康)」と言っている。食欲は変わらないからだ。バナナやおかゆ主体のご飯を大人しく食べている。

■海へ行く
兄が先週から1月ほど帰国している。入れ替わりに再就職が決まった息子がやってきた。6月からの出社なので、短い旅を楽しみに来たらしい。母の病状は落ち着いているし、何かあったら電話しますから、と女中さんが旅行を勧める。自分と息子がいなければ我が家は彼女たちの天国だ。

前から友人のIさんと「海に行って海鮮料理でも豪華に食べたいですね」という話をしていた。タイ語の授業は休みだし、3人交代で運転していけば,シャム湾もそれほど遠くはない。
よし、海へ行こう。

チェンライを出発して、明るいうちに海に辿り着くには早朝、それも暗いうちに出発する必要がある。Iさんが20日の午前3時に迎えに来てくれた。まさにタイ国軍がタイ全土に戒厳令を発動した時間だった。

■1200キロを14時間で走破
国道1号線をひたすら南下、パヤオからランパーンまで山道が続くがあとはほぼ平坦で走りやすい。8時ごろ食事を終えて、バンコクに向かって左のパタヤ、ラヨーン方面に行くか、右手のホアヒン、チャアム方面に行くか相談しているところに、高松の弟から電話があった。戒厳令だよ、大丈夫か。えっ、そうなの、知らなかった。

道路に兵士が出ているわけではないし、戒厳令の厳しいバンコク市内に入る予定はない。チェンライの友人に電話してみたが、全く平穏とのこと。ドライブを続けることにした。
17時にホアヒンに着いた。プミポン国王も静養されている高級海浜リゾートだ。走行距離は1200キロ、走行時間は14時間。

新宿から博多駅東まで約1100キロ、ノンストップで13時間。高速料金は2万5千円、ETC割引でも1万4千円。タイの国道は通常無料。かかった費用はガソリン代のみ、日本円で約8千円であった。

ホアヒンはシーズンオフのせいか人通りは少ないが、やはりファランが目立つ。年輩ででっぷりした男性が数人固まってOG英語で雑談している。観光客というより、フアヒンに住み着いた人が多いといった印象だ。
海に面したレストランで食事、烏賊のサラダが美味しかった。街にビヤバーはあったが、年輩女性が多い。これは戒厳令の影響ではなく、単にシーズンオフということだろう。
夜、女中さんから母に変わりがないという電話があった。

■海でのんびり、またドライブ
翌朝は海辺のパラソルの下でビールを飲みながらのんびり。ロッチャブリから来た女子大生の写真を撮らしてもらったり、海浜を歩いたり。
フアヒンの浜には観光用の馬が60頭もいることを知った。15分400Bのところ、シーズンオフだから半額、というので息子が馬上の人となった。海パン一丁だから裸ん坊将軍だ。

午後からホアヒンの北約20キロのチャアムに移った。南北24キロの美しい浜が広がっている。偶然見つけた日本人経営のGHに投宿、浜にパラソルが出ていないのは浜の休日だから、また観光客が少ないのは戒厳令のせいではなく、今週から学校が始まったからという。GHの主人が日本人だと情報量が格段に増える。

戒厳令さなかの3泊4日であったが影響はほとんど無し。22日、クーデタの日にセブンイレブンが夜10時に店を閉めていたくらい。

帰宅して母に、海に行ってきたんだよ、2キロもあるハタを食べたよ、と報告したが、あー、あーと言うだけだった。そうなの、それはよかったね、と言ってくれたと信じたい。





写真はホアヒン、女子大生、裸ん坊将軍、チャアムの朝、それにクーデタ後のテレビ画面