チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

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コラートのクメール遺跡

■書けません
しがないブログとはいえ、原稿を書くためには気力、体力がいる。
さあて、あさってはアップ日だから、とパソコンに向かうのだが気乗りがしない。何を書こうか、頭の中は漠然としている。

ちょっと頭休めにとフリーセルのゲームを始める。1回だけと思ったらもう5回もやっている。あー、俺は誘惑に弱くやるべきことをしない、だめな人間だ、と反省する。明日はテストというのに漫画に夢中になる、中学生の時からの行動のパターン、反省のパターンはちっとも変わっていない。

いやあ、私も旅に出たいんですが原稿が書けなくて、とイサーン旅行から帰ってきたばかりのIさんにこぼした。Iさんは自分に雨季のキノコ採りを指導してくれた人である。この人のおかげで原始日本人の採集狩猟民のDNAが活発化し、食卓も豊かになった。

Iさんはこういった。「別に週2回原稿をアップする必要性はないでしょう。これから旅に出ますので、しばらくブログはお休みします、それでいいんじゃないですか」

そうか、書かなくてもいいのか。まさに目からウロコだ。報道、出版関係の会社に勤めているわけではなし、書く義務はない。考えてみれば年金を貰える身分となってほとんどの義務から解放されたのではなかったか。

■旅に出よう
そう考えると気が楽になり、原稿が次々に書けるようになった。内容はこれまでアップした「老いの繰り言」シリーズである。政治的、思想的に一部の人は不快に感じられるかもしれないが、日頃思っていること、話していることを文章にするだけだからわけはない。

7,8月は日本からの来客予定があり、ガイドその他ご接待に専念するためにも、原稿のストックがあるほうがいい。

Iさんが7月初めに旅行したコラートにはクメール時代の遺跡がいくつかある。写真を見せてもらって驚いた。世界遺産アンコールワットに酷似しているではないか。
この世の中に名所旧跡は数々あれど、世界遺産の名に相応しいのはカンボジアアンコールワットをおいて他にはないと、自分は信じている。アンコールワット横綱とすれば、サマルカンドは前頭、スコタイなどは幕下だ。

よし、コラートの遺跡を見に行こう。Iさんの「書かなくてもいい」の一言でヤル気が出て3回分の原稿を書きあげたのが木曜日、チェンライのバスターミナルに走り、土曜19時15分発コラート行きの切符を手に入れたのが金曜日のことだった。

■コラート
コラートとは「高原」の意味である。標高100-200mの平原地帯にある。バンコクから東北へ255キロ、イサーン(タイ東北部)の玄関口に位置する大都市だ。近郊には工業団地があり、日本企業も多い。コラートは通称で正確な県名はナーコンラーチャシーマーという。
チェンライからバスで12時間かかる。
タイの遺跡というとスコタイ、アユタヤが有名だが、イサーンの平原にも古い寺院が残されている。スコタイは13,4世紀に隆盛を極めたタイ民族の王朝であるが、それ以前のタイ東北部はクメール民族の国であった。コラート周辺には千年を越えるクメール遺跡が残っている。Iさんの写真にはコラート周辺のピマーイ遺跡、パノム・ルン遺跡があった。よし、この二つは見てみたい。

タイ国内のクメール3大遺跡といえば、ピマーイ、パノム・ルンに加えてカンボジア国境のカオプラウィハーンである。カオプラウィハーンはタイ・カンボジア軍との小競り合いが頻繁にあり、今回はいくことを断念した。

■また夜行バスで
コラート行きのバスは暮色に包まれるチェンライバスターミナルを離れた。冷房対策のヤッケを着込み、ICレコーダのイヤホーンをつける。流れてきた音楽はフランク・プゥルセル・グランド・オーケストラの「ミスターロンリー」、昔、よく聞いたジェットストリームだ。城達也(故人)のくさいセリフがテーマミュージックに重なる。

遠い地平線が消えて、
深々とした夜の闇に心を休める時、
遥か雲海の上を、音もなく流れ去る気流は、
たゆみない  宇宙の営みを告げています。

満点の星をいただく果てしない光の海を、
豊かに流れゆく風に  心を開けば、
煌く星座の物語も聞こえてくる、夜の静寂の、
なんと饒舌なことでしょうか。
光と影の境に消えていったはるかな地平線も
瞼に浮かんでまいります。

40年以上前、6畳間の万年床の中でこの番組を聞いていた。いくつもの国々を訪れ、見知らぬ街を歩き、異国で暮らすことになるなど想像もしていなかった。車窓を流れていく灯火は雲海の星にも見える。人生も旅も思いがけないことの連続だ。でもそれが面白い理由でもあるのだろう。


写真は上から「アンコールワット」「アンコールワット」「きのこ」「チェンライのバス停」