チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ブランコ祭り再び(2)

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ブランコ祭り再び(2)

■生活水準の向上
アカセンターは山の斜面を利用して各種薬草や香草が植えられ、いくつかの宿舎や吹き抜けのテラスが建てられている。ここで外人グループや子供たちが合宿してアカの生活文化を学ぶことができる。自分も何度か萱葺きのゲストハウスに泊まったことがある。

アカセンターではアトゥが迎えてくれた。傍らに20代後半の女性がいる。これ、ボクのフェーン(ガールフレンド)とちょっと恥ずかしそうに紹介してくれた。アトゥの奥さんの葬式に出たのは去年の秋だった。彼も50歳にはなっていると思うが、もてる人は違う。フェーンもアカ族、明るい性格のようだ。日本のイチゴって本当においしいのよねー、などと言う。日本に行ったことがあるらしい。テレビ撮影用に盛装したアトゥのおばさんも話に加わって、私は富士山が近くに見える場所に行って、黒いゆで卵を食べた、などという。箱根の地獄谷に行ったらしい。珍しくて3つも食べちゃったわよ、と笑う。タイ人が日本を旅行するのはもはや「ブーム」ではなく、「トレンド」になったといわれる。それでも訪日タイ人観光客は月にならせば5万人程度(日本政府観光局2014年7月発表)。タイ人にとっても日本旅行は、まだ高根の花であるのに、この日出会った2人のアカ女性が日本に行っているということに軽いショックを受けた。

10年ほど前、あるアカ村で宴会に参加したことがある。彼らはラオカオではなく、ビールを飲んでいた。それを聞いた邦人が、えっ、アカ族がビールなんか飲んでたぁ、とびっくりしていた。それだけ貧富の格差があった。今ではビールもリオやシンハといった高級ビール、ジョニーウォーカーだって飲む。生活水準の向上は目を見張るものがある。

■どれが本番か
雨が一段落したところで、村の広場で撮影があるというので行ってみた。アカの村は山の斜面に形成されているので平坦な場所は少ない。村の中央にセパタクロのコート2つ分ほどの広場があった。アカの盛装をしたおばさんが4人、竹筒をトントンと鳴らしながら踊っている。この4人の踊りをバックに男性レポータが、背の高い女の子(後でチェンライの大学生と知る)と掛け合いで何やら話す。あれ、おばさんが一人いなくなったよ、とADが言う。あー、ちょっと水を飲みに行った。リハーサルをしているようだが、どれが本番かよくわからない。広場の向かいでは男たちが昼過ぎから酒盛りをやっていて、ときどき大きな歓声が響いてくる。お静かにお願いします、と頼みに行くこともしない。曇天で暗いものだから自分のデジカメのフラッシュが自動的に発光した。あああ、とクルーが自分を非難がましい目で振り返ったところを見るとこの時が本番だったようだ。

レポータはヤシの実に入った料理と匙を持ち出して女の子にどう、一口、と勧めている。中身は魚の煮凝りのようなプリン状のものが入っている。見た目は褐色でグロテスクだが、恐る恐る食べた女の子は、あれっ、美味しい。レポータも同じ匙で一口、ウン、いける。これで広場の撮影は終わった。言葉がよくわからないということはもどかしいが、もしタイ語が理解できたとしてもこの撮影意図は不可解なものではなかったか。

■里帰りの母子
広場の前に一段とカネのかかった家があった。このあたりではもう茅葺き、竹壁のアカ古来の家はないが、それでもせいぜいトタンかスレート葺き。でもこの家は瓦葺である。麓のタイ家屋と変わりない。その家から出てきた女性が、あなたたち日本人?と聞く。彼女は愛知県の日本男性と結婚していて、年に3カ月ほどタイに里帰りするのだという。何年か前、アトゥのお父さんの葬式取材でこの村に来た時、小学生の女の子が、私のお姉さん、日本人と結婚しているの、私も日本人と結婚したい、と言っていたことを思い出した。ああ、この人だったのか。アカ族恐るべし、こんな村にも日本人と一緒になって、家を新築してもらった女性がいる。

彼女は1歳8カ月になる「サトミちゃん」という女の子を抱いていた。サトミちゃんは兄にだっこをせがむ。暫くあやしてお母さんに戻そうとすると泣いて兄から離れるのを嫌がった。俺はこんな小さな女の子にももてるのかなあ、などと言っていたが、サトミちゃんのお母さんに話によると、愛知のおじいちゃんに顔がよく似ているとのこと。爺と思ってくれただけであろうが、可愛い幼女をだっこでき、お母さんにも喜んでもらえるなんて、それほどできる経験ではない。(続く)




写真は順にアトゥのおばさん、撮影中3枚、見物の子、右縁はアトゥ、サトミちゃんとお母さん