チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

生まれがすべての国

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生まれがすべての国

■テニスコートは閑古鳥
例年、乾季になると鹿児島からU夫妻がチェンライテニス合宿に来られる。U夫妻を頼って日本からもテニス同好者がやってくるので、コートは賑やかになる。毎年、チェンライに旅行者を呼び込んでいるのだから、タイ観光庁から表彰されてもいいくらいだ。夫妻はチェンライのファランにも知り合いが増え、土曜市や花祭りに行くとよく声をかけられる。U夫妻効果で乾季のテニスコートはタイ人、邦人、ファランが集まってに一種の社交場と化す。あの頃が懐かしいと思えるほど4月のコートは寂しい。8時過ぎに行ってみると、スイス人のロバートが一人で壁打ちをしている。運がよければ、その後タイ人がやって来て、何とかダブルスのゲームができる日もある。今、PM2.5のレベルはテニスをするにふさわしくないし、余裕のあるファランや邦人はこの時期、煙害を避けて海辺とか海外に行っている。

寂しいのはコートの常連だったトン夫妻が3月にオランダに帰ってしまったことも関係している。トンは60歳のオランダ人、ニイさんというタイ人の奥さんとの間に2人の子供がいる。夫妻は週5日はコートに来ていた。家も建てたし、ずっとこちらで生活するのかと思っていたが、子供のためにオランダに帰る決心をした。というのはタイは格差、差別社会なので、タイ人ハーフの子供は大学を出ても、性格がよくても社会に受け入れてもらえないところがある。まだオランダのほうが子供の生きる道があるというのだ。夫婦で話し合っての結論だろう。

■家柄か、能力か
知人の息子さんは父親が日本人だから日本国籍がある。大学時代にタイ人の奥さんと知り合って結婚した。彼女は優秀で奨学金で進んだチェンマイ大学大学院で化学系の修士号を取った。タイの研究所に勤務し、その後米国の大会社に移った。でもトランプ政権の方針により、息子さんは米国のグリーンカードが取れない。幼い子供が2人いる。結局、親子4人一緒に暮らすために日本で仕事を探すことになった。日本は乳幼児の保育園が完備している。これも日本移住を決める要素の一つだったという。息子さんは邦人とのハーフであるから、タイではいい仕事にはつけないし、収入も期待できない。

タイは階層社会、差別社会である。6900万人の国民がいたら、王様を1番として6900万番まで上下関係の順番がつく。常に、この人は自分より上の身分か、或いは下の身分かを気にしながら暮らしている。チェンライの農民とか山岳民族の子供に生まれたら、大学を出ようが性格がよかろうが、然るべきところには就職できない。よしんば就職できても出世できない。まあ学歴社会であるからマスターとかドクターの学位があればそこそこ行くけれどもトップは無理。会社ならせいぜい部長止まりだ。
上流階級の人は下層階級の農民を同じ人間とは思っていないだろう。都市部の中間層は自分たちの1票と東北部の農民の1票が同じ、ということに我慢がならない。

ウズベクでも特権階級のコネがあれば大学入学も国家試験も思いのまま、タイでも家柄がよければ能力に拘らず出世、昇進は約束されている。世界は家柄が能力より優先される国が主流といえる。お隣の中国でも習近平主席は家柄を武器にトップまで上り詰め、周りも共産党幹部の子弟ばかりだ。でも日本は違う。新橋や新宿の飲み屋でサラリーマンが喋っていることはただ一つ、「会社は俺の能力を認めてない」、これに尽きる。自分の会社人生を振り返っても「会社は俺の家柄を認めていない」と言った人にお目に掛かったことがない。

■新元号
折しも新元号が「令和」と発表された。令和は「和(なご)み令(せ)しむ」で、対立や闘争ではなく、和こそが大事であるということ、更には人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められているとか。出典の万葉集は日本最古の歌集で、天皇や皇族、貴族だけでなく防人や遊女、乞食(芸人)まで幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められている。歌の前では身分は一切問われず、歌の良し悪しだけで等しく歌集に収められた。ということは、1200年も前の昔から日本は平等で、能力主義だったという証拠といえる。また当時の人々にとって歌を詠むという行為はごく普通の嗜みであり、決して選ばれた人たちだけのものではなかった。日本の「(民、等しく歌を詠む)豊かな国民文化と(自由、平等の)長い伝統」は世界に例を見ない。

イチロー選手は「日本のことが、日本にいるときよりも大好きになっている」と語っている。元号や日本を批判する反日左翼の人は一度海外で暮らして頂きたい。


写真はトン夫妻、コートの仲間、令和の号外、取り合いで阿鼻叫喚と報じられていました。