チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

いよいよ4月

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いよいよ4月

■4月は煩わしい
4月は別名、卯月、卯の花が咲く季節という意味らしい。卯の花は旧暦4月、新暦の5月に咲く。卯の花の匂う垣根に、で知られる唱歌、「夏は来ぬ」にあるように夏を知らせる花だ。4月には稲を植える月だから、「植月」、「田植苗月(たうなへづき)」の名もある。また花残月(はなのこりづき)、夏初月(なつはづき)あるいは麦秋(ばくしゅう)とも言う。小津安二郎監督に「麦秋」という作品があった。原節子演じる28歳のOL、紀子の縁談話だった。仲を取り持つ人がいないと中々結婚に至らないといった当たり前の話を淡々と描いていた。いくらか身につまされる話であって、自分も自ら女性にアタックできない臆病な性格だから、もしお見合いという慣習や仲人さんがいなければ一生独身だっただろう。

さて、話は4月に戻る。4月は年度初め、入社式、入学式も4月に行われる。特に今年は新年号も発表された。日本の方々は、さあ、仕事も勉強も頑張ろうと奮い立つときであろう。でもチェンライに住むようになって、そういった改まった気持ちはすっかり無くなった。タイの4月は暑季、とにかく暑くて動くことも嫌になる。こんなに暑くてはいくらタイの子供でも勉学意欲が薄れるので4月は夏休みになっている。
タイ人にとってはソンクラン、タイ正月の月で、無礼講の水掛けで大いに盛り上がるのであるが、ここ数年、このソンクランが鬱陶しくて仕方がない。確かにチェンライに来て暫くはこの水掛け祭りが楽しくて、タイ語のジアップ先生の旦那が運転するトラックに乗って、市内の水合戦に参戦したものだ。でも2、3回やれば飽きる。チェンライに来た当初、先輩諸氏が「ソンクラン? 煩わしいので外出しませんし、その期間、ちょっと外国に出ようかと…」と言っていた。今、自分が同じセリフを呟いている。

■煙害の季節
4月にげんなりする理由は他にもある。それは煙害だ。今年は2月の末から始まって3月の中旬以降は太陽が赤く見えるほどだった。煙害を計る指標としてPM2.5がある。PM2.5は、大気中に浮遊している直径2.5μm(1μm(マイクロメートル)=1mmの1000分の1)以下の非常に小さな粒子だ。PMとは「Particulate Matter(粒子状物質)」の頭文字をとったもので、工場や自動車、船舶、航空機などから排出されたばい煙や粉じん、硫黄酸化物SOx)などの大気汚染の原因となる粒子状の物質のことである。

PM2.5はどれくらいの濃度で健康に影響するか。日本の環境省では、都道府県などの自治体が住民に対して注意喚起をするための「暫定的な指針となる値」を「1日平均値70μg/m3(マイクログラムパー立方メートル)」と定めている。これは、PM2.5濃度がこれを超えると健康影響が生じる可能性が高くなると考えられる。
PM2.5に対する健康影響は個人差があり、この濃度を超えたからといって、全ての人に必ず影響が生じるというものではないが、自治体からの注意喚起があったときは、不要不急の外出、長時間の運動はしないようにするなどの注意が必要という。

タイではPM2.5 AQI(Air Quality Index)を都市毎に発表していて、100 μg/m3以上を健康に害がある濃度と定めている。ところがチェンライではこのPM2.5 AQIがこの3月、400を越す日がザラにあった。201~300が非常に有害、300以上は危険な状態と言う。こんな日にやるテニスが体にいいわけない。

■煙害が消えるには
タイではPM2.5の濃度が高くなるのはミャンマーラオスなど隣国の、またタイの少数山岳民族による山焼き、野焼きが原因だとしている。しかしながら野焼きのないバンコクPM2.5濃度も結構高い。大気汚染で有名なインド各都市や中国の北京、上海も野焼きではなく、ジーゼル車両の排気ガス、石炭燃焼ガスなどが主原因とされている。

チェンライ、チェンマイなど北タイ各都市のPM2.5 値が高いのも、実は野焼きのせいではなく、近年、急激に増えた自動車の排気ガスのせいではないかと思われる。それに盆地で風が吹かないため、汚れた空気が滞留することも煙害を深刻なものにしている。
実はPM2.5の発生原因には決定的な証拠というものがない。偏西風に乗って中国から飛んでくる微粒子に関して中国政府はその因果関係を認めていない。化石燃料の燃焼を控える、自動車、船舶、航空機の利用を自粛する、あと、野焼きの完全禁止などの措置が取られれば、少しはPM2.5の濃度を下られるかもしれない。でも生活と結びついているから中々難しい。暫くはマスクで我慢して、本格的な降雨が待たれるところである。全て天頼み。その前に水を掛けあって少しでも空気をきれいにするか。



写真は恒例、夏休みの短期間出家する子供、31日の煙害、AIQは725となっていました。死にそうです。