チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

スリランカ旅行(12)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

スリランカ旅行(12)

■シーギリヤロック続き
シーギリヤロックでは頂上にある天空の城跡の他にも見所がいくつかある。博物館から岩山までの公園の中を歩く。両側は城下町や僧院の跡、沐浴場もある。今も水を湛える濠もなかなかのものだ。約20分歩くと、目の前に2つの巨石に挟まれた階段が出現する。ここが登山道入口だ。巨石を潜ってひたすら階段を登ること20分、石段は螺旋の鉄製階段となる。周りは網で囲まれているが外はあまり見ないほうがいい。はるかに下界が見え、足が竦んでしまう。かなりきつい勾配を前の人のお尻を見乍ら10分、シーギリヤのハイライト、シーギリヤ・レディが描かれた壁に至る。シーギリヤ・レディとは岩に描かれたフレスコ画の天女群である。この壁画は狂気の王カーシャパが殺害した父の霊を鎮めるために描かせたもの、またこの女性たちは天国に住む妖精アップサラで、妖精アップサラに自分を守ってもらうように描かせたともいう。

当時は500人もの美女が描かれていたシーギリヤ・レディだが、現在は18人だけとか。8年前にIさんが来た時は自由に撮影できたというが、現在は撮影禁止、係員が白人のカメラをいくつか没収していた。豊満なバストとくびれた腰に白人も思わず撮影禁止を忘れてしまったのだろう。胸を隠している女性は侍女で高貴な女性は胸を隠していないという。肌の黒い女性像もあるところから、天女ではなく、後宮の愛妾を描かせた、との説もある。500人の側室ねえ・・・。この美女たちには、模写ではあるがコロンボ国立美術館で再会することになる。

■ミラーウォール(鏡の回廊)からライオンテラス
シーギリヤ・レディを見た後はツルツルした壁と岩の間の平坦な道を進む。ここは鏡の回廊と呼ばれ、往時は岩に描かれた美女が反対側の壁に写し出されていたという。鏡の回廊から約10分で王宮への入り口、ライオンテラスに到着する。麓からライオンテラスまで約1時間、頂上の手前、みんなが一休みする場所だ。大きなライオンの両足の間に階段がある。完成当時はこの階段の上に大きな口を開けたライオンの頭があったらしい。ライオンの口を潜って宮殿へと向かったのだろう。このライオンテラスから、昨日登ったピドゥランガラロックを臨む。ウーン、多少の満足感に浸る。

ライオンテラスから10分で頂上へ着くという。でもここが難所だ。石段がすぐにジグザグの鉄階段となる。勾配は急で遥か下にライオンテラスの広場が見える。高所恐怖症の人はライオンテラスで登頂を諦めるという。確かに。それほど混んではいなかったが、鉄階段を振り返ると、無数の人々が階段に取りついてジワジワと登ってくるのが見える。階段が人の重みで転落するのではないか。蜘蛛の糸をよじ登るカンダタの気持ちになってきた。

芥川龍之介蜘蛛の糸』より
そこでカンダタは大きな声を出して、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸はおれのものだぞ。お前たちは一体誰に尋いて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」と喚きました。その途端でございます。今まで何ともなかった蜘蛛の糸が、急にカンダタのぶら下っている所から、ぷつりと音を立てて断れました。(引用終り)

もちろん、自分の歩いているところから階段がぷつりと音を立てて切れては大変だし、登ってくる人たちが罪人とは限らないから、そんなことは言わなかった。

■360度の眺望
やっとシーギリヤの頂上に到着、登りに要した時間は1時間少々だったと思う。脚力が付いてくるかと心配したが5年後はいざ知らず、バテることなく登り切った。
頂上の宮殿跡は1.6ヘクタールあるという。相当数の観光客がいるが、広いせいかそれほど混んでいるようには見えない。ファランが多く、まるでヨーロッパのの観光地のようだ。頂上といっても結構高低差がある。奥の小高い場所は要塞を兼ねた王宮があった。他に兵舎、ダンスステージ、プール、庭園、貯蔵施設、水路が残っている。頂上といっても宮殿跡の階段を上り下りする必要があるので全部を見て回ると30分は優にかかる。プールや庭園の池には今も水が湛えられている。プールでは一度に100人の側室が水浴びをしたという。上下水道完備、頂上まで風車利用して水を汲み上げていたというから、当時の建築、土木技術の高さに瞠目せざるを得ない。

密林の中ににょっきり立った岩山なので、頂上からの眺望には視界を遮るものがない。先ほど歩いてきた城下町を貫く直線道路が眼下に見える。11年もの間、カーシャパ王はこの王宮から王都を見下ろして何を考えていたのだろう。難攻不落の要害にあって弟の復讐の恐怖を一時でも忘れることができたのだろうか。


写真は濠、登山道入口、シーギリヤレディ、ライオンテラス、テラスからの階段、頂上から