チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

スリランカ旅行(8)

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スリランカ旅行(8)

■ルワンウェリサーヤ大塔
スリランカ観光初日、アヌラダープラで必見のスポット、ルワンウェリサーヤ大塔を訪れた。この仏塔は紀元前2世紀に建造された。エジプトのピラミッド以降では最大の建造物だという。高さは55mであるが昔は100mを越えていたそうである。この仏塔は毎年石灰で白く塗りなおされる。青空に白く大きく輝いているので美しくはあるが紀元前の建立という風格がないと批判する人もいる。それでもスリランカはもとより外国からも参拝者が多く集まる仏教の聖地である。

この大塔は典型的なスリランカ様式で、お椀を伏せたような優雅な形をしている。この様式の仏塔を「おっぱい型仏塔」という人もいる。タイの釣り鐘型やクメール式のとんがり仏塔を見慣れた自分から見てもスリランカの仏塔は包み込むように優しい。タイでは仏塔をチェディと呼ぶ。ミャンマーではパゴダ、インドではストゥーバという。日本の卒塔婆はこのストゥーバから来ているらしい。仏塔は日本では三重塔、五重塔となっている。タワーを意味する「塔」も卒塔婆から派生したという。
いずれにしてもそれら仏塔の中にはお釈迦様の遺骨、「仏舎利」が納められていることになっている。ルワンウェリサーヤ大塔には釈迦入寂後、八分割された仏舎利のうちの一つが納められているとか。

■静かで落ち着いた境内
ここでも入口で靴を脱ぎ、帽子を取る。境内入口でお供えの花を売っていた。娘が蓮の花を買った。蓮の花から何とも言えない芳香が漂ってきた。娘はいく先々のお寺で買い求めていたが、ここに勝る香りの蓮の花にはお目に掛かれなかった。写真や動画、旅行記では感じ取ることのできない旅の思い出の一つは「香り」である。青空と白亜の仏塔、境内を渡る風と蓮の香り、今も懐かしく思い出す。

いつもは参詣人で一杯といわれる仏塔であるが、我々が行った時はほとんど人がおらず、ゆっくり塔を回ることができた。ぐるりと回ることでご利益が得られるらしい。あとから来たスリランカ家族がチラチラとこちらを見ている。ああ、イスルムニヤ精舎で言葉をかわし、その三姉妹の写真を撮ってあげた家族だ。手を上げると三姉妹も挨拶を返してくれた。小さな触れ合いも旅のスパイスとして忘れがたい。

こういった大建造物は単にレンガを積み重ねるだけではできない。重量で自然沈下して大塔が崩壊してしまう。そこで塔を作る前にその場所を掘り起こし、粘土や砕石、樹脂を何層にも敷き詰め、その上を象に行進させて土を踏み固めたという。境内をぐるりと囲む壁には300体以上の象の実物大レリーフがあったが、その功績を記念するためだろうか。それにしても紀元前であっても地盤沈下を防ぐ工法があったのに、ラオスの決壊ダムを施工した韓国の建設会社は何やってたんだと言いたくなる。

■他の遺跡
この日、イスルムニヤ精舎、スリー・マハー菩提樹、ルワンウェリサーヤ大塔の他にトゥパーラーマ大塔、アバヤギリ大塔、トゥイン・バスと呼ばれる男女別の沐浴場、サマーディ仏像等を見学した。半日でこれら全部を回ったため、まあ、こんなものかと思ったが、あとで調べてみると、それなりに由緒ある遺跡と知った。旅に出る場合、訪問個所の事前調査を充分に行うという人は多いと思う。でも自分の場合、ほとんど勉強しない。一応、先人のネット情報に目を通すのであるが、余り頭に入っていないまま現地を訪れる。でも実際に行けば何かしら印象に残ることがあるわけで、その印象を頼りに情報を再吟味する。そして感動を情報によって確かなものにする。自分の旅行スタイルと言えるかもしれないが、効率的ではない。

トゥパーラーマ大塔は遺跡の柱に囲まれたアヌラダープラ最古の仏塔だ。お釈迦さまの鎖骨の舎利が納められているという。褐色のアバヤギリ大塔、その周辺には一大僧院群があった。5世紀にこの寺に留学した中国の学僧法顕は、その著書『仏国記』に、アバヤギリ寺には5000人の僧がいたと記録している。
その中には、空海の師・恵果の師である不空三蔵もいた。空海が恵果和尚から受け継いだ真言密教の象徴である曼荼羅・経典・経具は、不空がアバヤギリ寺から中国へ持ち込んだものだった。インド、スリランカ、更に中国から日本へ、「法脈、滴々と流るる」の感を新たにする。

沐浴場には今も緑色の水が湛えられている。僧、尼僧、数千人が沐浴できたとか。スリランカ人は1日に3度は沐浴するというが、男は腰から、女は胸から下を布で隠して水浴びする。僧、尼僧は整然と静かに沐浴し、身も心も清めて仏陀に祈りを捧げたことだろう。


写真はルワンウェリサーヤ大塔と蓮の花、塔を囲む象のレリーフスリランカ3姉妹、トゥパーラーマ大塔、アバヤギリ大塔、沐浴場。