チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

100年に亘って世界を欺いた

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100年に亘って世界を欺いた

■ビジネスの意味がない
ウズベキスタンに住んでいたのは10年以上前になる。その頃も日・ウズ経済フォーラムといった会合が時折開かれていた。発展途上国は先進国からの投資が喉から手が出るほど欲しい。でもこういった会合は結果を出すことができなかった。それは日本からの出席者の「投資して利益を上げた場合、その利益はドルで持ち出せるのですか」という問いにウズベク側が「いえ、利益は再投資して頂きます」と答えていたからだ。要するに儲けても利益を国外に持ち出せない。企業は利益追求が使命、リターンがないと始めからわかっている案件には金は出せない。

ウズベクは始めから「利益は持ち出せません」と言っているのだからまだ良心的だ。利益は本国に持ち出せます、といってそれを反故にしている国がある。それは中国だ。トヨタやホンダが中国で工場を拡張しているのは利益を日本に送金できないからだ。

企業のお金だけではない。個人のお金も持ち出せない。産経新聞の外信部次長の矢板明夫氏は07年から17年まで中国総局(北京)特派員を務めていた。帰国に際して銀行の預金を解約して持ち出そうとしたができなかったという。法律では企業や個人のおカネは自由に持ち出せることになっているが、実際はできない。ウズベクでは自分もいくらかの預金があったが帰国に際し、口座の解約も全額ドルでの引き出しも問題なくできた。

始めから利益は持ち出せないといってくれれば、企業は投資なんかしなかったと思う。一種の詐欺だ。でもこういった事実を産経新聞も含めて日本のマスコミは報道しない。それどころか日経は未だに中国への投資促進といった提灯記事を書いている。

■China 2049 
日中共同声明によって日本国と中華人民共和国が国交を結んだ、いわゆる日中国交正常化が行われたのは1972年のことである。もう社会人となっていたが、あの頃のニッチューユーコーの大騒ぎは記憶している。当時の日本人はカンカン、ランランのパンダを熱烈歓迎し、中国に対する好感度は90%を越えていた。
発展途上国であった中国が段々豊かになって中産階級が増えていけば、それにつれて中国の民主化が進んでいくのだろう、自分だけでなく、多くの日本人がそう考えて莫大な額のODA供与し、中国の近代化に協力した。

騙されていたのは日本ばかりではない。米国も全く同じだったことを、友人が貸してくれた「China 2049 秘密裡に遂行される『世界覇権100年戦略』」(日経BP社)で知った。著者のマイケル・ピルズベリー氏はハドソン研究所中国戦略センター所長、以前は「パンダハガー(親中派)」として有名だった。その親中派だった彼が中国の軍事戦略研究の第一人者となり、世界の覇権を目指す中国の長期戦略に今、警鐘を鳴らす。彼は米国が中国の国家戦略の根底にある意図を見抜くことができず、騙され続けてきた、と深い悔恨と共に告白している。ニクソン政権以来、歴代米国政権がピルズベリー氏の助言や勧告に基づいて対中政策を進めてきたことに愕然とする。

彼は著書の序章において「中国の指導者は西洋諸国の人々に、中国の台頭は平和的になされ、他国に犠牲を強いるものではないと信じさせた。しかし彼らの戦略はそれを真っ向から否定するものだった」、「米国の対中政策決定者の多くが脆弱な中国を助けてやれば、中国はやがて民主的で平和な大国なる、大国になっても地域支配、ましてや、世界支配を目論んだりはしない、といった仮説に基づいてきたが、これらは危険なまでに間違っていた」と告白している。

■米中の冷戦勃発
米国は、世界銀行経由の援助や軍事ノウハウ、機密技術情報、専門家の助言、諜報機関の情報を中国に提供してきた。そして中国は提供しなかったものは盗み取っていた。
騙したり、欺いたりすることは中国では悪とは看做されない。やられるほうが悪いのだ。2049年中国共産党の指導による人類運命共同体を構築すると習近平主席は発言しているが、江沢民胡錦濤、それ以前から中国は世界を欺いて、覇権奪取に向かって着々と駒を進めてきた。

が、中国の真意に米国もやっと気づいた。ペンス副大統領が10月4日にハドソン研究所で講演し、「邪悪な中国共産党」との戦いを国民に呼びかけた。この演説は事実上、対中宣戦布告に等しい激烈なものだったが、その原稿はピルズベリー氏の助言を元に作成されたとみられる。

この米中のガチンコ勝負、北タイの片田舎に逼塞している身であっても目が離せない。中国で真面目に働いてきた駐在員が預金を自由に持ち出せる日は近い・・・と期待するのはやはり甘いか。