チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

退院しました。

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退院しました。

■ ご心配をお掛けしました
母が大腿部を骨折し、救急車で病院に運び込まれたのが日曜日、翌月曜日の朝に手術をした。集中治療室に2日ほど居て、一般病室移って4日目、金曜日に退院となった。5泊6日だ。日本で高齢者が大腿部骨折で手術をした場合、入院期間は概ね一カ月にわたる、これが標準だ。タイでは手術切開個所を縫い合わせ、出血が止まれば回復、退院ということになるらしい。退院日に母を見舞った後、病院の会計窓口で入院費用の精算を済ませた。そして再び病室に戻ってみるとベッドはもぬけの殻、ブアさんと救急車に乗って我々より一足先に帰宅していた。

高齢者の大腿部骨折というと大腿部の付け根、股関節の部分の骨折が多い。股間節の骨折は大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折に2分される。高齢者では交通事故や転落事故などのような大きな衝撃を受けなくても,転倒などの比較的軽微な外力で骨折する。これは骨粗鬆症によって骨の強度が低下していることが原因とのこと。寝たきり高齢者の場合、強度が更に低くなっているため紙パンツの交換時に骨折することもまれではない。

実は12,3年前、自分がウズベクにいるとき、母は大腿骨頚部骨折に見舞われ、1月ほど入院した。高齢者が骨折で入院するとその間に認知症が一気に進行すると言われている。母もその例に漏れず、入院期間中、認知症の病状がかなり進んだそうだ。幸い、福祉の公的援助と兄の献身的介護のお陰で曲がりなりにも歩けるようになったし、意思の疎通も問題なくできるようになった。チェンライに移り住んでからもしばらくは家の中を歩き回って、こっちが心配するくらいだった。

■2回目は大腿骨骨幹部骨折
今回の母の骨折箇所は股間節ではなく、腿骨骨幹部と呼ばれる大腿骨の一番長い部分、股関節から膝にかけての骨だった。足をベッドに投げ出したまま、長椅子に座った姿勢から左に体が傾いて倒れ、その時右足が左足の上に乗った。そのわずかな外力で骨折した。その折れる音をブアさんははっきり聞いたという。通常、骨幹部骨折は急激かつ強い痛みを伴うというが、母の場合、特に表情の変化はなかったらしい。救急治療室に運び込まれた母の大腿部はかなり腫れていた。それでも痛みを訴える表情はなかったのは右脳の萎縮がすすんでいるせいではないかと思う。

大腿骨には多くの血液が流れており、大腿骨骨幹部骨折を生じると大量の出血(約1000~1500ml)が起こるという。確かに顔色が青ざめていた。腫れた部分ではかなり内出血していたのだろう。

骨折の翌朝、手術が行われ、その後母は集中治療室に寝かされていた。ドレンを通してかなりの出血があってビックリしたが、その分、点滴輸血が行われていて、前夜より顔色がよくなっていた。

■看護システムの違いに戸惑う
タイで入院すると、患者家族、親戚一同が見舞いにやってくる。見舞うだけではなく、病室に泊まりこむ。集中治療室の外には「親戚控室」があり、タオルケットにくるまって家族が寝ていた。以前は廊下の長椅子でも患者家族が寝ていたものだ。またVIP個室のドア越しに見たのだが、病室の中に大きな丸テーブルがあってそれを囲んで数人の家族が晩餐会を開いていた。家族みんなで食事をすれば、病人の回復も早いということか。

一般個室に移ったあと、昼から夕方6時までニイさん、6時から翌日の昼までブアさんと交代で病室に詰めていた。看護師さんは医療作業中心で、患者の身の回りの世話は家族が行う。或いは世話をしてくれる人を雇う、が普通だ。

日本の病院だと家族への病状説明は懇切丁寧だと思うが、こちらでは特に我々兄弟に対する手術法、容態、治療に関する説明はなかった。偶々、集中治療室で出会った50代の医師に「順調に回復している、心配ない」と言われたことが1回、それから一般個室でこれも偶々、救急治療室で会った若い整形外科医が来て、その時にママさんは明日退院できます、と聞いた。医師との接触はその2回、誰が執刀医だったのかわからない。ブアさんが若い医師にプレゼントすると言って日本製チョコを持っていったから彼が手術したのか。

退院はしたが20針も縫った切開個所の糸は残ったままである。退院後10日ほど毎日、病院から看護師さんが我が家に来て消毒と絆創膏の張替えをしてくれるそうであるが、それもブアさん経由で聞いたこと。多分、在宅看護の実際についても彼女たちには伝わっているのだろう。
今は2時間毎にブアさんたちが母の体の向きを変えて褥瘡の防止をしている。いつでも様子を見られるから安心、まあ早く退院してよかったのではと思っている。


切開個所、ホッチキスで留めてあるようです。