チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

老後の過ごし方

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老後の過ごし方

■定年になったらやりたいこと
定年退職後、自由な時間ができたら、日本人は何をしたいと考えているのだろうか。2015年1月に東京海上日動あんしん生命が行ったアンケートによると、定年退職後にやりたいこと1位は「旅行」、2位「働き続ける」、3位「芸術」、4位「料理」、5位「スポーツ」という結果になった。

まとまった時間ができ、子供が巣立ち、出費も減り、退職金などによって経済的にゆとりができたことにより、今まで行くことができなかった場所へ旅行に行きたいと考えている人が多いことがわかる。国内旅行や近場のアジア圏内だけではなく、南米ボリビアのウユニ塩湖や、フランスのモンサンミッシェルなど、日本から遠い国々への旅行を希望する人もいる。

でも「したいこと」と「できること」は違う。したいことをするには経済的余裕がなければならないが、「定年後に必要だと思うお金とその理由を60人に聞きました」という記事によると、定年時に5千万円持っていないと夫婦の満足のいく暮しはできないそうだ。生活費、医療費、ホームの入所費、親の看取り費、とても旅行費用なんて・・・、5千万円は年金を別にしてという話だから私には無理という人も多いのではないか。旅行に行くにしても海外旅行なんていくらかかるかわからないし言葉もできない、それに危ない、体力も落ちているからビルマバガンに行ったとしてもシュエサンドーパゴダに登ることができない、まあこういった感じで、行きたかった「旅行」は諦めるか、近場の温泉旅行で終わり。実際に夫婦で海外旅行を楽しむ人はそれほど多くないと思う。

先月、アンダマン海に浮かぶパヤーム島で数日過ごした。広い浜辺を手をつないで歩く白人の老夫婦を見たが、ルアンプラバンやパガンなどのレストランで料理を仲良く分け合いながら食べている老夫婦は全てファランばかり、旅先で心温まるような邦人老夫婦を見たことがない。自分の周りでも、亭主と一緒の旅行なんてイヤという夫婦は少なくないし、無理して行った定年記念旅行で喧嘩して熟年離婚に至ったケースさえある。

■まずは健康第一
定年退職後やりたいこと、の2位は「働き続ける」。総務省が公開している「平成26年 労働力調査年報」によると、「60歳~64歳」では「60%」、「65歳以上」は「20%」の人が働いていてその数は増える傾向にある。年金の給付開始年齢が70歳に引き上げられれば、一億総活躍社会、働き続ける老人はさらに増えるだろう。でも70歳の定年後、更に働き続けたいという人がどのくらいいるかどうかは疑問だ。日本男性の健康年齢は伸びたと言っても72歳、パゴダに登る体力が無くなってしまう。生涯現役はそれなりに素晴らしいと思うが、職種によっては若い人の勤労機会やヤル気を奪ってしまうかもしれない。老兵は消え去るのみ、惜しまれながら身を引くという美学を全うすることは、体ばかり丈夫な老人にとっては中々難しい。

3位「芸術」、4位「料理」、5位「スポーツ」であるが、水彩画を描くとか、奥さんの代わりにおかずを作るとか、ジョギングする程度ならお金はかからないが、趣味と言っても幅広いし、奥が深い。のめりこむと経済的な問題が生じるし、どこかで壁にぶつかってもうやめた、ということになりがちだ。趣味と言っても体力が必要。やりたいことをするにはまずは健康、お金があっても気力、体力がないことには始まらない。

■国は違えどやることは同じ
アメリカの厚生労働省にあたるDepartment of Health and Human Servicesが行った「退職後に1日のうち実際何に時間を使っているか」という調査では1位の「睡眠」に続き、2位は「テレビや映画鑑賞」、3位は「食事や飲み会」、4位は「読書」、5位は「洗濯や掃除」という結果になった。

この中で、働いていた頃に比べて圧倒的に増えたのは2位の「テレビや映画鑑賞」の時間だった。現役時代、1日にテレビや映画に使う時間が平均97.2分だったのに対し、退職した人が使う時間は223分。現役時代の約2.3倍、毎日4時間近くテレビの前にいることになる。

やりたいこととしていることは違う。実際にしていることを見るとそれほど体力もお金も要らないことばかり。自分の老後もきっとそうなる。そうなるどころか、すでに「テレビや映画鑑賞」を「パソコンの画面を眺めている」に置き換えれば、睡眠の次に時間を費やしている。そして母のように1日のほとんどを睡眠に費やすようになれば、それが自分の穏やかな「老後の過ごし方」となるのだろう。それでいいと思っているが、それまでは、と自分に言い聞かせているところもある。



写真はパガンのシュエサンドーパゴダとパゴダからの眺め、ラオス、ルアンプラバンの街、ラノーンパヤム島の砂浜