チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

熟年ライダー(11)

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熟年ライダー(11)

伊良湖からチュンポンへ
チャイナート、プラチュアップを経て、4日目に最終目的地のチュンポンに至り、5日目にして旅の目的である「タカの渡り」を見ることができた。タカの観察経験豊富なNさんは、タイで渡りを見れるなんて、と感激していた。でも自分は初めての経験、何種類かのタカがいたようだが肉眼では黒点の集まりに過ぎず、それも瞬く間に南の空に消えていく。もう少し低空を飛んでくれればいいのに全く愛想がない。まあ、天候もイマイチで、茶店の掃除に来たオジサンも今日はタカの数が少ないと言っていた。強力な上昇気流が発生する晴天の日であれば数千羽の渡りが見られるのだろう。

愛知県渥美半島先端の伊良湖崎では、10月のある日、1日にサシバ3,800羽、ハチクマ200羽、その他猛禽含めて4,100羽の渡りが確認されたという。多くの観察者がカウンターをポチポチと押しながら数えた数字を集計したものだ。伊良湖崎を通ったサシバ、ハチクマの一部は間違いなく、ここチュンポン、カオ・ディンソ―上空を飛んだに違いない。タカはマレーシア、インドネシアで過ごした後、春には再び日本を目指す。タイに渡った自分はすっかり居ついてしまって滅多に日本に戻ることがない。

■チュンポンのあとは何処へ
漸く薄日の差し始めたカオ・ディンソ―を後にして、またチュンポン市内に戻った。昼食は前日と同じく駅前のタイソバ屋、目的を果たした安堵感もあって休息をとろうかという気になる。でもせっかくここまで来たのだから、行けるところは行ってみたい。チュンポン県はシャム湾に面しているが隣県ラノーンアンダマン海に面している。インドシナ半島で一番狭いクラ地峡と言われる場所だ。40年以上前のことになるが、太平洋に面する宮城県から一気に日本海を臨む秋田県までバイクを飛ばしたことがある。あの時のように1日に2つの海を見るのも悪くないのではないか。

調べてみると、チュンポンからラノーンまで約120キロ、バイクで2時間ほどの距離だ。ラノーンに行けませんかね? Nさんやはり自転車競技の関係でチュンポンからラノーンまで行ったことがあるという。山道でバイクでも結構難渋するし、行ってすぐ帰るだけになりますから、と即座に却下された。シャム湾に昇った朝日が夕日となってアンダマン海に沈む、これを眺めるのは次回の楽しみとしよう。

元々、タカの渡りを見たらチュンポンで現地解散、安寿と厨子王のように2人は別れる、という予定だった。更にプーケット、ハジャイと南下してマレーシアに入るか、山下将軍の銀輪部隊ではないが半島を南下してシンガポールまで行こうか、などと一時はまじめに考えたが、兵隊さんではないのだから雨の中を行軍する必要はない。雨を避けながらチェンライまでゆっくりと北上して帰宅する。これでいこう。

■そうだ、カンチャナブリへ行こう
昨秋の日本帰国時、靖国神社遊就館を訪れた。そこで泰緬鉄道に関する展示を見た。泰緬鉄道の一部はまだ健在で列車が1日に数本走っている、線路は撤去されたもののミャンマー国境まで旧鉄路に沿って車で行けることがわかった。国鉄の技術者だった叔父は泰緬鉄道建設に参加し、戦争末期には現地召集され二等兵として苦労したという。叔父は20年ほど前に亡くなっている。叔父が存命の頃はまさか自分がタイに住むことになるとは夢にも思っていなかったから、彼の戦争体験をほとんど聞いていない。叔父がどのあたりで建設工事をしていたのか、わかれば現地を訪ねてみたい、従妹を通して厚労省や県庁に照会して貰ったがはっきりしたことはわからなかった。戦友会のようなビルマ仲間の集まりもあったそうだが、ほとんど全員お亡くなりになっていて、と従妹の手紙にはあった。

戦場にかける橋で有名なカンチャナブリへ行き、そこからビルマ国境のソンクライまでバイクで行ってみようか。走りながら亡き叔父を偲ぶのも悪くはないだろう。

Nさんはこれまた自転車競技の関係でカンチャナブリからミャンマー国境まで走ったことがあるという。チュンポンで別れる予定であったが、「ここまで一緒に来て、帰りに事故にあったと聞いては寝覚めの悪い思いをしますから」とカンチャナブリまで同行してくれることになった。運転技術が未熟で見ていられない、と思われたのかもしれない。

チュンポンからカンチャナブリまでは500キロ、6時間半とグーグルにはある。これまでの実績からすれば楽勝の行程である。でも旅は人生と同じく思い通りにはいかないし、全く予期せぬことに遭遇する。



写真は展望台の茶店伊良湖崎のタカ、タカの俳句、渡りの観測地点、遊就館