チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

新年の酒

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新年の酒

■15日までは松の内
本日は1月15日、関西では15日までが松の内である。関東では松の内は7日までで1月8日から松が明ける。どうして関東と関西では違うのか。

松とは門松のことでお正月の飾り一般を言う。年神様は門松を目印に各家にやって来て、鏡餅に宿る。松の内鏡餅に神様が宿っているので、松が明けてから鏡開きをする。鏡開きとは松が明けてから鏡餅を食べる習慣である。鏡開きは全国一律に1月20日と決められていた。ところが江戸時代、慶安4年(1651年)4月20日に徳川三代将軍、家光公が亡くなり、20日は家光公の月命日となった。月命日に鏡開きを行なうのはよろしくない、ということで、江戸では11日に鏡開きをすることになった。

しかし11日はまだ松の内、年神様がいらっしゃるのに鏡開きは失礼ではないかという声が上がり、1662年に幕府は1月7日をもって飾り納めとする通達を出す。それで幕府のおひざ元である関東では1月7日までが松の内となり、正確に情報が伝わらなかった関西ではそれまで通り15日までが松の内になったと言われている。

でも実際は反骨精神旺盛な上方人が「江戸のお侍の言うことなど聞かれへんわ」と従来通りの松の内を守ったのではないか、と自分は思っている。

■入社したての頃の年始
社会人になりたての頃というと、もう半世紀近く前になるから諸事のんびりしていた。年初めの出社日には大会議室に集まって社長挨拶のあと、樽酒の鏡割があり、寿司桶なども並んで賑やかに新年を寿いだ。女子社員の多くが振袖で、いつもと違って皆美人に見えた。おー、きれいだね、などと言ってもセクハラなどと言われない時代だったように思う。もっとも独身の若手社員が言えば甘いささやき、褒め言葉、自分のような爺さんが同じことを言ったら、即、セクハラ発言となる。あの時は自分もまだ独身だったからなあ。
大会議室の小宴会が一段落した後、半分近く残っている菰樽の日本酒を2人がかりで近くの麻雀店に持ち込んで、酒を店中の人に配りながら、ポン、チーとやったこともある。我が社会人生活、いい思い出の一つといっていいだろう。

仕事始めの日は課長以下、男子社員全員がタクシーに乗って取引先に挨拶に回る。取引先の面々も年始挨拶に出かけているから、机の上に名刺を置いてくる。午後遅く、会社に戻ると自分の机の上にも名刺の山ができている。さっき訪問した取引先の担当者の名刺だ。この日、ホクホク顔は貸し切りタクシーの運転手さんくらいではないか。何事にも虚礼廃止の昨今であるから、もう仕事始めの年始回りといった美風も廃れているのではないか。

■新年会
また新年会で皆と飲むことは好きだった。今では誰でも自分のお金で飲みたいときに飲めるから、別に会社の上司や同僚と飲まなくても、という若者は多いのだろうが、50年近く前は、まず、飲める、飲ましてもらえる、はいわば「ハレの日」で何となく嬉しかった。
元々、新年会は、皇族や政府高官、外国使臣などを招いて皇居で行う「新年宴会」という儀式が始まりで由緒正しい行事であるらしい。XX君、君のお正月はどうだったかね、やはり雑煮は関東風の澄まし汁かね、えっ、讃岐出身だから餡子丸餅の白味噌雑煮だと!、といった感じで課内のコミュニケ―ションをとり、正月休みで緩んだ気持ちを引き締めて仕事へのモチベーションを高める。

今はタイの片田舎で隠遁の身、新年にあたって高めるべきモチベーションとは、はて?と考え込む。それに新年会も少ない。とはいえ先日、兄のゴルフ仲間数人の新年会に招かれた。主催者のIさんから、参加者で飲める人は半数以下、寂しいからゴルフはしないが呑み助の弟さんも、ということだったらしい。でもほぼ同年輩の方々との歓談、昔話は楽しいものだった。我々の若い頃は、中国、韓国は取るに足らぬ発展途上国北朝鮮はこの世の楽園と言われていたが、ミサイルで日本を脅すような国ではなかった。

酔いがさめてみると、松の内というのに、韓国は2015年の慰安婦日韓合意のちゃぶ台返し、中国は予定通り尖閣列島接続水域に軍艦と潜水艦を入れてきた。もうすぐ領海内に入ってくるだろう。北朝鮮は韓国を手玉に取って核開発の時間稼ぎ。
産経新聞1月6日付、黒沢通記者の記事、「国際ルールを守らない国とまともに付き合う必要があるのか? ああ、お屠蘇がまずい。」の気持ちがよくわかる。

めでたさも中ぐらいどころか最低だ。新年を明るい気持で迎えた1970年代が懐かしい。


写真は上から餡丸餅雑煮、関東風雑煮、関西風雑煮、あとはチェンライ正月の花祭りから