チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

統計を楽しむ

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

統計を楽しむ

■社会実情データ図録
社会実情データ図録(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index.html)というネットを時折のぞく。日本をはじめ世界のあらゆる事象に関する統計を参照できる。例えば「人生は自由になるか(世界価値観調査)」、「オリンピックメダル数と経済規模との相関」、「うどん・そばと卵の価格推移」、「世界各国のセックス頻度と睡眠時間」などなど。日本人は世界で一番、人生は自由にならないと思っており、自由になると信じている人が一番多い国はメキシコ、メダル数とGDPの大きさは相関関係にある、かつては高価だった月見そば、卵は物価の優等生、セックス頻度の高い国の人は睡眠時間も長い、といったデータが載っている。

本図録では分野別にデータが整理されている。自分がよく見る分野は、「人口・高齢化」、「健康」、「生活」といったところ。マスコミに登場する識者のコメントに疑問を持った時は、あれはデータに裏付けられているのだろうか、とチェックしてみる。日本において凶悪な犯罪が増えていると言われるが、殺人事件による死者の数は2千人を越えた1955年を最高にして下がり続け、1980年代後半から千人を下回るようになった。2015年の他殺による死亡者は363人となっている。人口10万人当たりの他殺率は2010年で日本は0.4ほどだが、タイは5.8人 、米国が5人となっている。世界にはジャマイカ南アフリカ、コロンビアのように人口10万人当たり30人以上殺される国もある。

数字を見る限り、タイでは日本より15倍ほど殺される率が高い。でも殺人事件の大部分が首都バンコクで起きているそうで、タイの田舎チェンライでの体感的安全度は日本並みに高いような気がする。

■信頼できない統計も
国連の、OECDの統計によれば、などというがその数字が信用できないことがある。例えば自転車泥棒からベンチに置いた携帯が無くなったまでを犯罪件数に含める日本は他国に比べ、犯罪件数が高く、検挙率が低く出てしまう。しっかり統計を取っていると思われる重大犯罪にしても明治時代の日本は当時のアメリカより殺人件数が多いことになっている。でも開国したてでまじめに統計を取っていた日本と18世紀後半、私闘やリンチが当たり前のアメリカの数字を同列に論じることはできない。黒人やインディアンを虐殺しても当時の統計に載ることはなかったと考える方が妥当だと思う。

その点、「人口・高齢化」あたりのデータはまあ信用できる。「世界各国の高齢化率(2015年)」によると日本の65歳以上の人口に占める割合は26.7 %と断トツで世界一となっている。タイでは10%、ウズベクでは5%、アラブ首長国連合では1%というから65歳以上の老人は国民100人に1人ということになる。それくらい少なければ若者は老人の言葉に耳を傾けるようになるのではないか。日本では4人に1人が65歳以上、希少価値がないから日本の老人は軽んじられているのでは、と思う向きもあろう。でも内閣府が2015年に行った「高齢者の尊厳が傷つけられることの有無(国際比較)」によると、日本は高齢者が高齢であることを理由に不愉快な取り扱いや不利益をうけることが少ない国であるようだ。

■生涯現役
「高齢者の健康状態と医療の国際比較」では日本の高齢者は健康状態が良好。「医療費と平均寿命(OECD諸国)」という統計では医療費と平均寿命は正の相関があり、医療費のパフォーマンスは日本が最高となっている。医療費は増大していくだろうが、その分日本の健康老人は増えこそすれ、減ることはないのだろう。

老人が増えて困ること、それは年金財政だ。6月17付毎日新聞「元気な高齢者は『社会保障を支える側』に?」によると、自民党は現在60~70歳の範囲内で選択可能な年金受給開始時期について、希望者には71歳以上も選択できるよう制度を見直すことを提言した。国民年金は65歳を基準に、受給開始時期を繰り上げれば減額、繰り下げれば増額する仕組みである。現在は70歳までの繰り下げが選択できるが、繰り下げ受給をさらに71歳以上にも広げることで、働くことが可能な高齢者は社会保障を「支える側」になってもらい、国の年金財政の安定を目指すという。

75歳未満の高齢者に多様性のある社会参加を促す、とのことだが、これは要するに高齢者への就労の強制や年金受給年齢の引き上げなどを意図しているのではないか。年金を繰上げ受給した自分から見ると大変な世の中になった、と感じる。
でも「高齢者労働力率の推移(各国比較)」によれば、日本は主要先進国の中では、すでに高齢者が最も働いている国となっている。自営業や農業だけでなく会社や役所にも70以上の老人が跋扈する時代が来るのだろうか。若い人もラクではない。



写真は近所サンサーイの朝市