チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ8年4ヶ月

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介護ロングステイ8年4ヶ月

■ブアさんの家
タイに来て8年4ヶ月、通算100ヶ月が過ぎた。日本を出る前にお母様の余命は3ヶ月と医師に言われていたせいもあって、タイに来て1年でも長生きしてくれれば、と思っていた。よほどチェンライの気候、並びにタイ風老人食がよかったのだろう、お陰様で100ヶ月恙なく暮らしている。意思の疎通もままならず、歩けなくなって久しいが、まずは生きているということだけで子供としては嬉しい。

100カ月と言うとブアさんが受け取った給料は総額100万Bを越えている。住み込みだから食費、光熱費はかからない。だから大部分、手元に残る。彼女は母が長生きし、安定収入が長期に見込めると予測したのか、数年前に我が家から2キロほど離れた場所に100坪の土地を買い、30坪ほどの平屋を建てた。村の銀行の借り入れや実家の土地の売却等で費用を賄ったので、自分としては金銭的援助はしていない。但し、屋根瓦やフローリング、タイルなど建材の買出しに付き合わされた。家を建てる場合、こちらは施主が建材を用意し、大工は作業を行うだけという形が一般的だ。土地、家屋を含め掛かった費用の総額は50万B位と聞いているが、その後、家の資産価値はかなり上がっている。

■将来計画
毎月1万Bの家賃を払うのだったら、家を建てたほうがずっとトクだったのに、とブアさんが言う。確かにチェンライに来た当初、100万Bあればちゃんとした一戸建て住宅が建っただろう。でもこんなに長く生きるなんて思わなかったし、その前に外人は自己名義で土地を買うことができない。

いざとなったらママさんは私の家で暮らせばいい、家賃は3千Bにまけとく、などと都合のいいことを言っている。狭くて暮らせねーよー。ただ、やはりタイだなあと思ったのは、土地の登記後、敷地を実測してみたら100坪のはずが80坪分の面積しかなかったことだ。誰がいい加減なのかわからないが、本人も1日ほど憤激していただけで諦めたようだ。
新築から5年経つが、ブアさんは夜中に母の世話をする関係で、まだ自分の家に泊まったことがない。週に一度ほど掃除や庭の手入れに行く。家を建てる前から植えたバナナやマンゴーが茂っているし、野菜も栽培している。このバナナはママさん専用、と収穫作業を手伝わされることもある。

家の借金返済後は、姉さんから1ライ(400坪)の田んぼを買った。これも銀行からの借り入れ。1ライあれば一人一年分の米が収穫できる。村の小学生の女の子2,3人に目をつけて、行く度にお菓子や20Bほどの小遣いをやり、「将来は私の面倒をみるんだよ」と暗示にかけている。自分よりずっと将来計画がしっかりしているように思える。

■ビザ騒動
母の日常は変わりがない。暑季で35度を越える暑さが続いた後、5月中旬に2,3日雨が降り続き、最高気温が22,3度と、チェンライとしては寒波襲来という気候があった。ブアさん、ニイさんが長袖シャツを着せ、夏掛けを出してくれたので、母は風邪もひかず、いつものようにお粥、バナナを食べている。91歳になるが嚥下能力はしっかりしているので、まだまだ大丈夫だろう。

今月は母の1年ビザの更新の月だった。5月11日付の「ビザ更新でトラブル」で書いたように、一時は親子で帰国か、という瀬戸際に追い込まれ、心労甚だしかった。何せ器が小さいので、怒涛の1週間で2キロくらい痩せたと思う。テニスはできなかったし、旗日が続いていたのにいつも励行している国旗掲揚も忘れてしまった。法王庁にも抜け穴があるんですから、タイのビザ延長などどうにかなるものですよ、などと言えるのは一件落着してからのこと。

法曹会館で出会った若い弁護士は、法令集を読みながら、裁判所に提出する必要書類とコピーの数を教えてくれた。これですっかり脳内が裁判モードになってしまった。名義人が死亡したのでこの口座を解約したい、と申し入れた場合、銀行から裁判所の判決を求められるケースが確かにあるようだ。

以前はチェンライ市内の支店で残高証明を発行して貰っていた。でも昨年から法律が変り、口座を開設した支店でなければ発行できないと言われ、市内から70キロ離れた支店へ行った。今年もその支店に行ったが、行員が入れ替わっていて去年の経緯を知っている人がいない。判決をもらってこい、と言った行員は電話で上司と相談していたから、でまかせを言ったとも思われない。

海外に住まわせてもらっている身、いつ追い出されても仕方ない、と痛感。母はビザ騒動のことは何も知らず、ベッドで静かに眠っている。まあ今回はこれで済んでよかった。



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