チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ミャンマーの旅(11)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

ミャンマーの旅(11)

■Eバイクで遺跡巡り
バガンに早朝に到着、暗いうちにEバイクを借りた。1日借りて6千チャット、日本円で5百円くらいだ。ネットで主だったパゴダ、寺院の位置を頭に入れると精力的に遺跡を回った。街の中に遺跡があるというより、遺跡の中に街があるという感じ、馬車で回れるほどの狭い区域に3千を越える寺院、パゴダがある。タクシーや馬車を利用すれば、運転手や御者が有名な遺跡を効率的に案内してくれる。Eバイクや自転車での遺跡巡りの利点は、料金の安さだけではない。有名な場所ではなくとも、何か心惹かれるパゴダや小さな寺院に気軽に立ち寄れる。野原の中にひっそりと立つ小ぶりのパゴダも趣があっていいものだ。

観光客が選んだバガンの遺跡ベスト10といったネット情報もあるが、自分の好きな遺跡ベスト10があってもいい。一目惚れ、という恋愛現象があるが、何回か会っているうちに次第に魅かれていくという人間関係もある。いいなと思って偶然写真を撮っただけの遺跡が何度か行くうちに輝きを増すこともあるのだろうが、所詮、旅の者、後ろ髪を引かれる気持ちで次の場所へと移動していく。人との出会いも同じではないか。

■天空の寺、ポッパ山
バガンの南東約50辧⊆屬1時間半のところにポッパ山国立公園がある。ポッパ山は標高1500m、太い柱のような山のてっぺんに寺がある。空に寺が浮かんでいるように見えることから天空の寺と呼ばれている。バガン郊外では外せない景勝地だ。
2日目はここに行くことにしてホテルで申し込む。4人揃ったらタクシーが出るという。料金は1万チャット、約800円。朝、ロビーに行くと同行の3人がいた。一人は小柄なフランス女性、あとは30代のロシア人カップル。車は途中、サゴヤシの採取、砂糖製造実演の土産物店に寄ったりしながら、山道を登る。

参道に着くと周りはお土産物店で一杯。777段あるという山頂へ続く階段へと向かう。バガンの寺院、遺跡と同じく階段の下で裸足となる。階段の手前から猿が出没する。カメラや食べ物を強奪するから気を付けろと注意書きにある。階段は石造りで、猿と同じくらいの数の清掃人がいて口々に「クリーニング、ドネーション」と言って喜捨を強要する。猿の小便で滑って転んだ、という人もいるから多少の寄付は仕方ないか。

讃岐の金刀比羅さんの階段は1368段という。ポッパ山の階段はその半分だが、階段の高さが微妙に違っていて登りにくい。自分の体力を考えると5年後はもう登れないのではないか。それでも30分ほどで登り切って、360度の展望を楽しむことができた。

■サラとの一期一会
猿と清掃人に注意しながらフランス女性(名前は確かサラ)と階段を下りる。欧州には猿はいないんでしょ。そうよ。猿で思い出した、こんなおとぎ話、知ってる?

昔、馬は100年、犬も100年、猿も100年の寿命を持っていた。でも人間は25年の寿命。馬が神様のところに行って100年もこき使われるのは嫌だ、人間に25年分けてやって下さい、同じように犬がずっと吠え続けて生きるのもイヤ、と言って25年を人間に、また猿も100年も人に眺められて暮らすのはお断り、25年を人間に分けてやってほしい、と神様にお願いした。神様は彼らの願いを聞き届け、25年ずつ人間に寿命を増やしてやった。それで人間は100年生きられることになった。でも人間らしく生きられるのは始めの25年だけで、次の25年は馬車馬のように働いて暮し、その次の25年は犬のように吠えて生きて、最後の25年は人に眺められて生きる。

サラは黙って聞いていたが、私、今27歳なの。しばらくは馬のように働いて暮らすのね、と言って微笑んだ。僕なんか、お隣の国は何だ、リベラルはあほか、と吠えまくっているよ、と言おうかと思ったが、それでなくても拙い英語、言葉を飲み込んだ。

翌日、朝食をとるためにホテルの屋上に行った。朝の光が降り注ぐテーブルでビュッフェ形式の食事がとれる。サラが一人でトーストを食べていた。ああ、同じホテルだったんだ。少し離れた席に座った自分に気づくと、はにかむように顔を傾けてこちらにいらっしゃい、という仕草をした。正面からの朝日が眩しかっただけかもしれない。サラは2週間の休みを取ってミャンマーだけを回っているのだという。2日後にヤンゴンからパリへ戻るというサラに訊ねた。ミャンマーで何処が一番良かった? バガン、もちろんバガンよ、私、きっとまた来るわ、そのためにうんと働いて貯金しないと。

目を輝かせて話す彼女を好ましく思ったがお互い行きずりの身、もう一生会うことはないだろう。(続く)


写真はホッパ山と猿、最後の写真、左ふちがロシア人奥さん、二人目がフランス女性サラ