■よく頑張るカリビアン
9月の初め、チェンライ各地でアカ族のブランコ祭りがあった。アカ村に行くには舗装はされているがカーブ、高低差の激しい山道を走る。こういった悪路にうってつけの車が我がカリビアンである。1989年製27年落ち、1300cc、5段変速、ターボエンジン、2WD/4WD対応。5年前に購入。うちに来てからでも8万キロ以上走っている。いくら日本車が丈夫だからといってもそれなりに衰えはある。調子が悪くなると、音や匂いで体調不良を伝える。これまでタイヤ、コンプレッサ、ブレーキパッドなどの部品交換をしている。
今年に入ってから、カリビの調子はイマイチだった。とにかくエンジンオイルの減りが早い。200キロ走ったら200奸400キロ走ったら400ccのエンジンオイルの補充が必要になる。LPGではなく、まるでエンジンオイルで走っているような感じだ。冷却水も始動の度にチェックして水をラジエターに補給する。人間で言えば、健康年齢をはるかに過ぎ、血糖値も血圧も高めといった状態だ。
あー、喉が渇く、水、水を下さい、とカリビに言われているようで、オイル、水の補充は毎日欠かせない。一応100キロ以上のスピードが出るが、加速は決してスムーズではない。この年寄りに100ｍの全力疾走をさせようたって無理でがんす、というような走り方しかしない。巡航速度はせいぜい80キロ、シフトダウンを行なえば不可能ではないが追い越しは始めから諦めている。それでもカリビには、老骨にムチ打って頑張っているというひたむきさが感じられる。自分としては「そのほう天晴れ、以後もよく努めるように」と誉めてやりたい気持ちで運転していた。
■とうとうダウン
で、話は3カ月以上前に遡る。9月の初め、ブランコ祭りを見るためにサマーキー・カオ村を訪れた。チェンライ市内から車で1時間半、ミャンマー国境に近い村である。お祭りは夜になってからということだったので、お餅などをご馳走になって明るいうちに山を下った。チェンライの山道は一様に下るわけではなく、時折急勾配の登り道もある。セカンドやサードにシフトしながらチェンライへ戻った。エンジンをガオガオふかしたのがこたえたのだろうか。家から10キロほど離れたチェンライ空港のあたりで、冷却水の温度がかなり上昇していることに気づいた。でもエンジンはかかっているし、何とか家までと思ってそのまま走った。ところがあと5キロという地点の交差点で、エンジンがストンと停止した。あー、だめだ、エンジンが焼きついたに違いない。
近くの食堂で水をもらってラジエターに補給したが1リットルや2リットルでは足りない。2，3度食堂を往復していたら、食堂のご主人が5リットルのポリビンに水を入れて、これを持って行きなさい、いや、お金なんていらない。通りすがりの車が停まり、バッテリー上がりならブースタケーブルあるよ、と声をかけてくれる。タイの人って親切だなあ。
■中古エンジン探し
結局、修理工場のチャンシ―さんの車に牽引されて工場へ。2，3日後、チャンシーさんから、掃除すれば使えないことはないがこの際、エンジン交換を、と勧められた。4年前にもそう言われたことがある。もう寿命であったか。それではお願いします。これが9月の話。ちょくちょく工場を覗いたが、いつも工場の隅っこに寂しくカリビが置かれていた。いいエンジンがなかなか見つからない、バンコクから取り寄せるからという。心臓移植だってすぐにドナーは見つからない。11月中旬、ミャンマー旅行に行く前に工場に寄ったらカリビの中はがらんどう。エンジンは来ているからあと10日、旅行から帰るころには出来上がっているよ、とのこと。
■老年から壮年へ
エンジン乗せ換えでカリビアンは再生した。以前、1600佞離┘鵐献鵑鮠茲擦織リビを見たことがあるが、我がカリビ搭載の中古エンジンは同じ1300佞里茲Δ澄エンジンは1万バーツだが、バッテリを含め、心配なパーツをついでに交換したので、費用は日本円で数万円かかった。で、乗り心地はというと、まず馬力が違う。トップでも90キロまでスムースに加速する。100ｍ走、11秒台は無理ですが16秒なら走れます、といった感じ。また数百キロ走ってもエンジンオイルが全然減らない。これには感激した。更に燃費が10%ほど向上した。これまでご迷惑をかけた分、一生懸命働きます、と言ってくれているようで嬉しい。
でもカリビも自分も年相応、お互い無理はせず元気にやっていきたいものだ。
写真、しっかりしているようだが、ドアには穴が。ボンネットの中、通常LPGで。もらった５Lポリビンもそのまま。
