チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

北部タイ寄席芸能公演

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北部タイ寄席芸能公演

■チェンライで落語
チェンマイ日本国総領事館から「北部タイ寄席芸能公演」のお知らせが来た。

平成28年10月3日~5日まで、チェンライ県、パヤオ県、チェンマイ県内の各大学において、公益社団法人落語芸術協会主催による北部タイ寄席芸能公演が行われます。本公演は、平成28年文化庁国際芸術交流事業による助成で、以下の日程で開催されます。

・10月3日(月)13:00-14:30 会場:チェンライ・ラチャパット大学 
・10月4日(火)13:00-14:30 会場:パヤオ大学
・10月5日(水)13:00-14:30 会場:ファーイースタン大学 

出演: 桂竹丸(落語)
    丸一小助、小時(曲芸)
    北見伸山上兄弟[山上佳之介、山上暁之進](奇術)

入場無料ですので、お近くにお住まいの方はぜひお越し下さい。

ウズベクにいた時、日本舞踊や能楽の公演を日本政府のご好意で見せてもらったことがある。協力隊員がタシケントに「ゆず」がくる、と大騒ぎしていたこともある。海外で暮らす邦人を励ますための文化予算をお国で計上していると見える。でもチェンライで寄席やって何人集まるだろうか。

文化庁の国際芸術交流支援事業とは,「我が国のプロフェッショナルな芸術団体が行う,海外公演,国際共同制作公演及び国内で開催する舞台芸術国際フェスティバルを支援することにより,我が国の芸術団体の水準向上を図るとともに,国際発信力を強化し,我が国のプレゼンスを高め,『文化芸術立国』の推進に資することを目的とするもの」とのこと。
NHK交響楽団の欧州公演には5千万円ほど支援されているが、「北部タイ寄席芸能公演」への支援額は2百万円。ま、出演者は6名だし、公演日数も少ないからこんなものか。

■学生で満席
ラチャパット大学の会場へ行ってみた。収容人員約130名の階段式講堂、舞台右手に緋毛氈の敷かれた高座がある。座席は日本語学科の学生で一杯。白のブラウス、黒スカートの女子学生が多い。隣の子は3年生と言っていたがどう見ても高校生だ。日本人はせいぜい10名程度。定刻の13時を10分ほど過ぎて学校関係者の挨拶があり、最初の演し物、曲芸が始まったのは13時半頃。茶碗を載せた台を棒1本で顎で支える、和傘の上で毬や升を回す、といった太神楽曲芸。自分の年だと「おめでとうございます」の染之助・染太郎を思い出すが、小助、小時は20代か。言葉は必要ないから観客は大喜び。

続くは奇術の北見伸山上兄弟。ネットで見ると3人とも各種の受賞歴がある。曲芸の小助は国立太神楽養成所 研修終了となっている。受賞歴か国立を出ていないと文化庁の予算で海外には行けないようだ。

出演者は始めにタイ語でコップクンカップ、と挨拶、会場からは大きな声で「コップンカー」。山上兄弟はイケメンで、二人が大きなトランプカードを持って踊り出すと女子学生が大歓声。男子学生が舞台に上がり、ワイシャツ姿の山上兄をロープでぐるぐる巻きに縛り上げる。学生にチェックさせた背広を幕で隠した山上兄に投げ入れる。幕を取り払うと縛られたままの山上兄が背広を着用している。会場はホーッというため息と大拍手。8割が女子学生だからノリがいい。

■真打登場
曲芸、奇術に続いて桂竹丸師匠の登場。大学卒業後、日テレの『お笑いスター誕生!!』で5週勝ち抜き、その時の審査委員長だった桂米丸に弟子入り、平成5年に真打昇進とある。竹丸師匠も「NHK新人演芸大賞」はじめ受賞歴は多彩。
さて、色物のあとはじっくり人情噺かな、などと思っていたが、挨拶の後もタイ語、どうやらタイ語で小噺をしているらしい。ここでやっとわかったのだが、この公演は邦人のためではなく、日本語を学ぶタイ人学生を対象としたものだった。それならばタイ語ポスターも会場がすべて大学であることも納得がいく。

師匠はタイ語を丸暗記されたのだろう。その努力には敬服するが、時折、ウッと詰る。どーした、と声をかけたくなるが中空を睨んで、また噺を続ける。犬の噺だが、どうもマー(犬)の発音がいまいち。隣の子にわかるか、と聞いたら「マイカウジャイ(わかんない)」。タイ人にも日本人にも殆どわからない不思議な小噺が終わった後は、お父さん、お母さん、坊やが車に乗っていて事故を起こしました、とゆっくりの日本語による小噺、同乗していた猿に状況を聞くと、子供はゲーム、母親はお化粧、父親は酒を飲んでいた。じゃお前は? 猿の私が運転していましたというオチだが、これが大ウケ。

これで「我が国のプレゼンスを高め、『文化芸術立国』の推進に資」したかどうかはわからないが、学生さんも自分も楽しめたので、まあ良かったと言っておきたい。



写真は寄席のポスター、2枚目、これで大学3年生、3枚目、曲芸の小助、小時、4枚目、奇術を見守る観客、5枚目、竹丸師匠、最後はお約束の出演者との記念撮影。