チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

日タイ薬物事情

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日タイ薬物事情

■ついこの間まで自由に買えた
覚醒剤は怖い、というイメージが広がっていて、一度、覚醒剤に手を出した人はすべてを失ってしまうような気になる。タイでもヤーバーといわれる覚醒剤が蔓延している。ヤーは薬、バーは馬を意味していて、飲むと馬力全開というほど元気になる。なんせ、眠らなくても済むんだから、とタイ人が言っていた。

実はタイでは1970年代まで覚醒剤は薬局で買うことができ、深夜トラックの運転手などに愛用されていたという。日本でもアンフェタミン系の覚醒剤ヒロポンが1951年まで合法的に販売されていた。疲労がポンと取れる、から命名されたという。当時の大日本製薬のCMによると疲労回復、頭脳の明晰化、作業能率の向上等に効果あり、とある。母から、受験勉強の時に叔父さん(自分にとり大叔父にあたる)が使っていたと聞いたことがある。ヒロポンのお陰で大学へ行けたらしい。焼酎1杯より安かったというから、今ならリポビタン一本くらいの感じか。

小説家の坂口安吾織田作之助は常用者でヒロポンの小説も書いている。ビートたけしフランス座にいた頃は、ダンボールにアンプル(注射剤)が山積みになっており、皆、これを使用してから舞台に上がっていたようで、これにはさすがのたけしも「驚いた」と明かしている。たけしが駆け出しのころはもうヒロポンは違法となっていた。

■日タイ薬物犯罪逮捕者
日本ではスポーツ界、芸能界、それから青少年にも覚醒剤をはじめとする違法薬物が蔓延しているような気がするが統計を見る限り、タイに比べれば健全なものだ。
警察庁の調べによると、2014年の薬物事犯の検挙人数は13,121人、4年前の2010年の検挙人数、14,529人から微減もしくは横這い傾向にある。覚醒剤関係が薬物事犯の80%を占める。2014年に押収された覚せい剤は488kg。

一方、タイ麻薬取締委員会によると、2013年10月-2014年3月の6か月間に摘発した麻薬関連の事件は19万4968件で、20万4221人を逮捕、覚醒剤の錠剤7,057 万錠、粉末753キロ、ヘロイン344キロ、大麻1万8790キロ、コカイン24キロを押収したという。

わずか半年で20万人以上が逮捕されている。日本は1年で1万3千人、人口比で見れば60倍以上。

■日常茶飯事
以下の2つは今月のニュースクリップ(タイの邦字情報ネット)から

トレーラーのタンクに覚醒剤66万錠、タイ人3人逮捕
バンコク東郊サムットプラカン県の警察は1日、けん引トラックに覚せい剤を隠して輸送していた男を逮捕したと発表した。逮捕されたのはピヤチャート容疑者(37)。トラックの燃料タンクを改造し、覚せい剤66万錠を隠して南部に運ぶ途中だったという。密売業者から10万バーツで運搬を請け負ったと供述している。
警察はさらに、25万バーツでピヤチャート容疑者の犯行を見逃すよう持ちかけてきたタイ人夫婦も逮捕した。警察のおとり捜査に引っかかり、現金を持って現れたところを贈賄の現行犯で逮捕した。

アユタヤで覚醒剤100万錠押収、5人逮捕
タイ中部アユタヤ県の警察は1日、覚せい剤を運搬していた車2台を摘発し、密売組織の男5人を逮捕したと発表した。内偵を行っていた麻薬取締局から「密売組織の車2台が逃走した」との通報を受けて追跡し、白の乗用車と黒のSUVを取り押さえた。白の乗用車から麻袋に入った覚醒剤100万錠を押収するとともに、乗っていた2人のメンバーを逮捕。黒のSUVに乗っていた3人は車を乗り捨てて付近の森に逃げ込んだが、山狩りによって間もなく逮捕された。覚せい剤は中部の麻薬業者に運ばれる途中で、白の車が運搬を、黒の車が警護を担当していた。

■貧困と覚醒剤
賄賂を持ち掛けられたが、警察が断って犯人を逮捕した、というニュースはよく見かける。しかしタイ人の話では逮捕されるのはごく一部で、賄賂を受け取って不問に付すことはざらだという。時には警察官が覚醒剤の運び屋をやっていて逮捕される。警察官はもちろん、お坊さんも教師も生徒も覚醒剤で捕まっている。自分の周りでもヤーバーをやっているという人がいる。日本では自分の周辺にヤク中はいなかった。

覚醒剤の多くはミャンマーで製造され、タイ国内へ持込まれる。その一部は日本にも密輸される。覚醒剤の日本での末端価格は1g、3万円、仕入れ価格は1000円/gといわれているが、後進国で1000円/gで売れる産物はほとんどない。まじめに米を作るより儲かる。覚醒剤は貧困と結びついているから、中々根絶できない。日本ほど取締り体制が厳格でないのでタイから覚醒剤が消える日はかなり先のことだろう。