チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

バンコクの爆弾テロ(2)

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バンコクの爆弾テロ(2)

■変わる犯人像
事件直後、軍事政権やタイ警察の幹部は今回の事件について、国際テロ組織の関与を否定し、軍政と対立する国内勢力の犯行という見方を示していた。軍政と対立する国内勢力とは、タクシン派のことであるが、この見方は、トルコ国籍の男が逮捕されたことで薄らいだ。チェンライでは、防犯カメラに映った犯人が「赤シャツ」ではなく、「黄シャツ」でよかった、という噂があった。赤シャツはタクシン派、黄シャツは反タクシン派である。実はプラユット首相も、国際テロ組織の犯行声明が出ていないところから、外国勢力による犯行という見方には当初、否定的だった。

不法入国のウイグル人の問題はインラック政権の時からあった。インラック政権はUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と連絡をとり、タイ国内の300人余りのウイグル人を受け入れ希望国であるトルコに難民として引き渡すつもりであった。もちろん、これには中国が強硬に反対していた。軍政のプラユット政権になって、今年7月、女性、子供、老人はトルコへ、ウイグル人男性109 人を中国へ強制送還、という中国の要望に沿った解決策が取られた。送還されたウイグル人が中国で受けた罰は想像に難くない。欧米諸国はタイを非難。ウイグル族と民族的に近いトルコでは送還翌日、送還に抗議するトルコ人のデモ隊がイスタンブールのタイ領事館に突入し、窓ガラスを割ったり、備品を壊すなどした。

こうしたことから、今回の爆弾事件では、ウイグル族が関与するテロ組織による報復という見方が浮上してきた。トルコ人中国籍ウイグル人が逮捕されたことから、タクシン派ではなく、国際イスラム組織の犯行か、とい流れになった。

ところが、9月になって当局はタイ深南部ナラティワート県のタイ人男性を事件に関係しているという容疑で逮捕した。タイ深南部ではタイからの分離独立を目指すマレー系イスラム武装勢力による爆弾・銃撃テロが頻発。テロとタイ当局の取り締まりによる死者は2004年以降、6000人以上に上る。テロ活動の北限は南部の商都ハジャイとされ、バンコクでの活動は確認されていなかった。

こうなると、犯人は、▼タイ軍事政権と対立するタクシン元首相派 ▼国際テロ組織 ▼マレーシア国境のタイ深南部でタイ当局と武装闘争を続けるマレー系イスラム武装勢力のいずれか、それとも単独ではなく複数の勢力が絡んでいるのか。

■タイ経済はガタガタ
農業も工業もタイ経済の指標は軒並み悪い。
タイ中央銀行は7月の月例経済報告で、「全体な経済活動は弱い」と表現。観光と公共支出だけが拡大し、輸出、民間消費が不振だと指摘した。観光はタイの基幹産業のひとつ。特に今年は内需、輸出ともに不振な中、観光が経済のけん引役となっていた。昨年の軍事クーデタで激減した外国人旅行者数は回復の兆しがあったのであるが、今回の爆弾テロの発生で、大幅な減少は避けられない。

タイ観光スポーツ省によると、バンコクスワンナプーム空港、ドンムアン空港、南部のプーケット空港などタイの主要5空港からの外国人入国者数は8月31日、4万4406人となり、8月6日の8万6251人からほぼ半減した。
5空港からの入国者数は8月1日から17日にかけ、1日約7万4000―8万5000人で推移していたが、17日にバンコクで発生した爆弾テロ事件後、急速に減り、19日は6万3728人、26日は5万715人だった。

■テロで利益を得るのは?
今の軍事政権を快く思っていない勢力は国内だけではない。軍事政権が苦しむことで何らかの利益を得る勢力はないか。

西欧諸国が軍事政権に対して冷ややかな態度を取っているのに対して中国は軍事政権に一定の理解と支持を示しており、タイ中の協力や交流が頻繁になっている。昨年、タイ軍事政権は中国企業による高速鉄道2路線建設を決定した。承認された2本の高速鉄道路線はそれぞれ北東部のノーンカーイと南部の港湾都市マプタプット間の737キロメートル、北西部のチエンコーンとバンコクから北におよそ100キロメートルにあるバンパチ間の655キロメートルをそれぞれ結び、最終的には中国国内の鉄道と接続し、中国が目指す「汎アジア鉄道構想」と一致するものである。しかし、東南アジアの大国であるタイが急速に中国に傾斜していくことを喜ばない国はある。

ある機関が爆弾テロを仕掛け、中共にすり寄るタイに警告を発しているという見方はできないか。犯行当初、全く、犯人の目星がつかなかったタイ警察が次々に犯人を逮捕しているのはその機関のリークによるものではないか。そう考えると、事件の背景も実行者の姿が全く見えないという理由もわかる気がする。