チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

停電、断水

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

停電、断水

■2つの停電
原発が止まっていても日本では停電はない。でもここチェンライでは時折、停電がある。停電には2種類あって、雷が鳴るような豪雨の時、ふっと電気が消える。落雷によるものであるから数分、長くても30分ほどで復旧する。もう一つは工事停電で朝9時から夕方17時までのことが多い。前日に予告の町内放送がある。女中さんは2,3日前から知っていて、いついつは電気が来ない、という。我が団地では水道水をポンプで送っている関係で、停電と同時に水も止まる。先月はこの工事停電が3日もあった。

近所で道路の立体交差の工事をしている。3年ほど前から工事に取り掛かっているのだが遅々として進まない。それでも新しい道路橋ができ始めた。交差する道路の両側に電信柱が並行して建っている。道路橋よりも電信柱が低いので、この電線を迂回させる工事が断続的にあったわけだ。9時から17時という停電時間は電気工事で働く人の都合に合わせて決められている。
17時に復旧するはずが、実際に電気が来たのが2時間近く遅れて18時45分だったことがある。残業をしたらしい。女中さんは開閉しないのだが、冷蔵庫の中のものがどうなるかと心配になってしまう。

女中さんたちは慣れたもので停電があると聞くと、大きなバケツ、たらいに水を貯める。炊事、トイレの水はこれで賄える。テニスのあと、バケツ一杯の水があればシャワーの代わりに身を清めることができる。冷たいが水浴びのあとはさっぱりして気持ちいい。

■電気の質
タイに進出している日本企業は2014年2月時点で3924社、現在ではおそらく4000社を越えているのではないか。チェンマイ日本総領事館のホームページに北部タイ日系企業連絡協議会という団体が紹介されている。北部9県の会員企業は37社である。チェンライには工業団地はないし、重化学、機械、自動車関連の工場はない。チェンライ県の日本企業と言えば小規模の縫製工場、精米所くらいで、連絡協議会の会員企業があると聞いたことがない。

チェンライに日本からの企業進出がほとんどない理由の一つは、電気、水道のインフラ設備の信頼性にあるのではないか。企業が海外進出する場合、事前のチェックを入念に行う。電気供給体制に不安があれば進出をためらう。例えば電子部品製造を考えた場合、停電になれば仕掛品はすべてオシャカになってしまう。

電気の質も問題だ。電気はどこでも同じだと思っていたが、水質のように電気質といったものがある。40年ほど前、イランの石油化学プラント建設工事に携わっていた。何もない砂漠の中に社員用宿舎を建てた。暑いからクーラーは必需品。同じ三井グループということで東芝のクーラーを大量に発注した。ところがこのクーラーの騒音がひどい上にあまり冷えない。

出入りの東芝の若手社員に、アンタんとこのクーラー、評判悪いよ、とクレームしたところ、彼は真っ赤な顔をして、それは、イランの電気の電圧が規格より低いからそうなるのです。決してウチのせいではありません、と反論した。その時、初めて電気は世界共通で同じ、というものではないことを知った次第。電圧が変動しても冷える仕様じゃないの、などといじめたが、あの愛社精神旺盛の東芝社員ももう定年だろうなあ。

先日、友人の家で、電灯は消えたのに扇風機は回っている、という妙な電気配給状態になったそうだ。電力会社の人がやってきて調べたところ、近所にある変圧器の中に蛇が入り込み、3つある変電盤の一つがショートしていたとのこと。このような事故が起こる地域には企業は安心して進出できない。

■PCもシャワーも使用不可
停電となったらどうするか。パソコンは使えない。扇風機も回らない。バタンとベッドにひっくり返って、復旧を待つ。落雷の時の停電はこれでしのぐ。食事時であったら蝋燭の灯りの下で、侘びしく食べる。

ヨーロッパ出張の時、暗いキャンドルの下で摂った食事を思い出す。暗くて何を食べたかよくわからなかった。もっとひどかったのはロンドンのインド料理店での食事、「ミスタル、」と訛りの強い英語を話すインド人給仕の白い歯しか見えない。どうして欧州は暗いところで飯を食うのか。おまけに慎重に選んだ複数の料理が、ほとんど同じ味のカレーだった。蝋燭の下での食事はやはり暗い思い出が多い。

予め、明日は8時間の停電、断水とわかっていれば、ベッドでひっくり返って寝る以外の選択はある。一泊旅行へ行くのもその一つ、8月末の停電の日は久し振りにソード・タイへ行った。その話はまた今度。



写真下3枚は立体交差工事現場