チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ6年1カ月

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介護ロングステイ6年1カ月

■母のパスポート
チェンライに暮らし始めて7年目に入った。こちらに来る前に医者に3カ月くらいでお亡くなりになります、と言われていたので、5年有効の青色表紙のパスポートを取った。ところがチェンライの気候がよかったのか、女中さんの世話がよかったのか、思いのほか元気に過ごし、一昨年、タイでパスポートの切り替えを行った。母の状態はここ1,2年ほとんど変わらない。もう歩けないし、本人がしきりに訴えることは我々にも理解できないが、食欲はあり、胃腸は丈夫そうなので、まだまだいけるような気がする。切り替えの時、10年有効にした方がいいんじゃないの、と思ったが、兄が5年で充分と言うので2018年まで有効のパスポートとなっている。

まあ、パスポート取得にあたって本人が領事館に出頭しなくてもいいし、親族の代理申請、代理受領、さらに代理サインで問題ないということが分かったから、再取得はそれほど面倒ではない。逆に次回はチェンマイ総領事館の領事さんが、本当に母と同居しているのか、寝たきりであるかどうか、我が家に確認に来られるとのこと。世の中には死亡届を出さず、生きていれば110歳の親の年金を受け取っている輩もいるそうだから、外務省職員も楽ではない。

■還付手続き厳格化
ここ2年ほど、母は病院に通院していないし、薬も服用していない。一時は大層高価な向精神薬が処方され、月当たりの薬代が10万円近くになったことがある。医療費は取りあえず立て替え払いをし、領収書、医師の証明書を添付して品川区の健保関連部門に申請書を出せば、国民健康保険から9割分が還付される。いつも申請に行く兄と区の担当者と顔なじみになっているので、申請手続きはいつもスムーズに終わる。ところが、先般、兄が区役所に申請書を提出したところ、添付書類に就き、厳しいチェック、質問があったと言う。

中国人や韓国人に限らず、日本に居住する外国人には国民健康保険が適用される。そういった外国人が日本国外で高額の医療を受けたと偽って、還付金をだまし取る事例が頻発している。これまで、国保担当者がおかしいな、と思っても中国や韓国に調査に行くわけにもいかず、書類が整っていれば申請通り、還付金が支払われていた。さすがに人のいい日本政府も、不正は許さないということで、確認のための現地出張予算を計上するとともに、出先での書類チェックを厳しく行うように指導した、というわけだ。

兄はそのとばっちりを受けた格好であるが、次回は古いパスポート及び現有効パスポート(コピー)の提示が必要になったと言う。親が死んだ後でも還付金をだまし取る人がいるのだろう。まあ、タイだったら、先生、こんな証明書をお願いしますよ、と言えば書いてくれそうな気がするが、そこまでするかねえ。

■月当たりの負担額
母は寝たきりではあるが、ベッドの端に座らせると、横や後方に倒れることなく、自力で座っていられる。これは日曜を除く毎日、整体師がやってきて1時間の整体マッサージをしてくれているおかげだと思う。整形外科医が整体療法が効けば、また歩けるようになるかもしれない、と言うので始めたのであるが、もう歩くことは無理だ。それでも母にとって手足の曲げ伸ばしなど、唯一の運動の機会であるし、体調管理に良さそうなので続けている。整体にかかる費用は1回1時間500Bである。国民健康保険の還付があるので、自己負担分は1回50B。と言うことは、自己負担月額は数千円だ。日本にいた時は内科、精神科の2つの医院に通い、行くたびにどっさり薬を処方されていたから、自己負担額だけでもかなりの金額だった。国民健康保険の赤字は拡大しているそうだし、今のところ、お国に過大な負担はかけていないという意味では気が楽である。

■介護給付
日本・タイ経済連携協定が締結され、タイ、日本間の医療サービスの壁を取り払おうという話し合いが進んでいるそうだ。具体的には、タイで立て替え払いすることなく、日本の国民健康保険を適用する。こうなれば帰国のたびに申請書を書かなくて済むようになる。
また、介護保険料も母の年金から天引きされているが、今のところ、介護保険の給付はタイでは受けることができない。ただ介護保険法で受けられる介護給付は、自宅での家事援助、デイサービス、施設入所など、タイで女中さんがいれば受けなくても済むサービスが主である。そのうち、介護給付もタイで受けられるようになるという話がある。多分、母には間に合わないと思うが、タイで孤独に老いていくであろう自分にとってはいくらか関心のある話はである。



写真はいつもの団地でのタンブン