チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

原稿とネット情報

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原稿とネット情報

■書けないという不安
テニスでじっと相手のサーブを待っている時、いつも考える。うまく返せるだろうか、当てるだけでもリターンできるか。同じようにブログの原稿を書く前に、本当に原稿用紙4枚半も書けるのだろうか、と心配になる。例に出すのも畏れ多いが、川端康成は晩年書けなくなった。彼くらいになれば一定の水準を要求される。若い時の才能が枯渇し、自分で満足のいくものが書けないと知った時の絶望感は察して余りがある。
川端康成と違って、書けなくなったからといって自殺はしないと思うが、いつもPCのワードを開くとき、うまく自分の考えを文字にできるかどうか不安になる。タイで書いた原稿が600本に達した時、友人が「チリも積もれば山になる」と誉めてくれた。確かにチリみたいなものだが、それでも書くには多少の苦労はしている。何でも字を書き連ねればいいというものではない。

2006年4月にウズベクに赴任した時からブログを書き始めた。ウズにいた時は初めての長期海外生活ということで、軽い躁状態にあり、見るもの聞くもの珍しく、原稿を書き上げるのに苦労はしなかった。10本近く書き溜め原稿を持っていたことさえある。あの元気は今いずこ、あの時がハナだったなあ、と懐かしい気持ちになる。

小説や脚本と違って創作ではないから、ブログの原稿を書くには才能は全く必要ないと思っている。これ、面白いかも、と思ったことをネットで検索し、情報を集めて再構成する。多少の技術はいるかもしれないが、慣れの問題で難しくは無い。ウィキ情報のまる写しでは面白くないので、ネット情報に自分の経験、体験、あるいは偏見を付け加える。産経抄天声人語といった新聞のコラムを書く記者も同様の方法で1本仕上げているのではないか。

■ネット情報
中には物知りだねえ、と感心してくれる友人もいるが、決してそんなことは無い。ネットから得た知識の受け売りがほとんど。ある大学教授から実際にお聞きしたのであるが、学生さんのレポートを読んでいる時、あっ、この部分はネットからのコピペだな、と先生にはすぐ分かる。コピペした部分がピカピカしているからだという。自分の原稿もピカピカしている個所があると思うが、てにをはを変えてみたり、形容詞をちょっと加えたり、とピカピカ度がくすむ工夫をしている。自分の場合、引用6割、自分の考え4割といった構成の原稿が、納まりがいいように思う。全体の95%が天皇陛下のお言葉の引用という原稿もあるが、これはこれで満足している。

新聞のコラムニストも歳時記をめくってみたり、各地の祭り日程を見たり、書けないときは苦労しているようだ。大所、高所から立派なことを書いていても、時には読者から、あの部分は違っているのでは、などと指摘を受けている。自分も天声人語を「何だ、こりゃ、支離滅裂、意味が通らん文章の見本」といったいちゃもん原稿を書いた覚えがある。でも現役記者でも突っ込みどころ満載のコラムを書くのだから、素人の自分に於いておや、生兵法は大怪我のもと。

カオリン
女中さんの影響でお寺巡りが好きになり、昨年、ランパンに3度も行った。北タイで一番美しいと言われるワット・プラテート・ランパン・ルアンを始め、名刹にこと欠かない。原稿に困った時は旅の話でつなぐということでやってきた。今回もその手で、と思っていたのだが、お寺の話の前にランパンが陶器の里であるところから、タイの陶磁器について何本か書いた。
自分のブログに対する書き込みは殆どないのであるが、陶磁器に関していくつかコメントを頂いた。「野に遺賢あり」とはよく言ったもので、この世界に詳しい方が、カオリンやタイの陶器について自分の蒙を開いて下さった。お陰でランパンに行く楽しみと陶磁器に関する知識が増えた。

陶磁器、釉薬の原料となるカオリンがランパンに産出することは原稿を書く段階で初めて知ったことである。ネットでカオリンを検索してみると、白陶土と言われるカオリンと共に香織、佳織、香保里、といった名前の芸能人、女の子、主婦の書く「カオリンの何とか日記」というブログが沢山出てくる。自分で自分のことを「カオリン」なんて呼ぶのかねえ、と思ったが、人名の愛称としてウィキにも登場しており、粘土よりよく知られているようだ。「かおりんについて語るスレ」までたっている。キムタクとカオリンの関係をネットで初めて知ったが、コピペしてご紹介するほどのことでもない。

今回もサーブにやっとこラケットを当てて返すような不本意な原稿となってしまった。
乞ご容赦。




写真はチェンライの市場から、一番下は食用ほおずき