チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ソード・タイ(3)

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ソード・タイ(3)

■ ソード・タイでは早寝早起き
ソード・タイの夜は暗い。街灯がほとんどないからだ。いずれにしても紅灯緑酒の巷で浮世の憂さを忘れるといった街ではない。夕食が終われば早めにGHに戻って寝るのがいつものパターン。というのはこの街を訪れる最大の目的は朝市だからだ。市は朝靄のたちこめる夜明けから始まって、霧が晴れる9時には終わってしまう。だから遅くとも午前7時には出掛けたい。夜更かしは禁物、早めに寝るに越したことはない。

朝市へは、GH裏の広場を横切ってワットクーカムの方向へ歩く。徒歩3分で到着する。朝食はGHで摂れないことはないが、朝市で美味しいものが調達できる。起きて顔を洗ったらすぐ出発だ。山の朝は寒い。乾季であれば吐く息が白くなる。長そでのシャツを着こんでGHを出る。

■まずは油条屋さんの神業を見る
市場に到着すると最初に揚げパンの屋台があり、いつも4,5人の客が取り囲んでいる。亭主が麺棒でメリケン粉をこねて伸ばし、長さ3cm、幅1cmほどの短冊を作る。これを大鍋の油に入れると長さ10cm、幅3cmほどの揚げパンとなる。油条と言われる中国の朝食の定番だ。日本では揚げパンと言うが中国で言う麺包(めんぽう)、いわゆるパンとは別物である。パン屋さんでは売っておらず、朝飯食堂で作られるのが普通。お粥や豆乳と一緒に食べるが、この屋台では豆乳も売っている。店の女の子は煮えたぎった豆乳を大鍋からポリ袋に柄杓で注ぎ込み、瞬間技で袋にゴムを掛ける。この手際の良さは達人の域で、一見に値する。豆乳はコップ2杯分ほどの量があって値段は5B、油条は1個2B。塩味と砂糖味の2種類がある。何しろ手早いので、お客が次々に来ては去っていく。

■100m
揚げパン屋台から幹線道路へ向かう100mほどのソイが朝市になっている。地元の人だけが来る鄙びた市だ。屋台が多いが、地べたにシートを敷き、そこに山で取ってきたキノコ、ワラビなど1,2品を並べただけの店もある。長さ数センチの小魚、一山せいぜい20匹、それを3山だけ商っているおばあさんがいた。魚はカジカである。昔は日本でもたくさん取れてカジカの佃煮は一般的だった。今では川が汚れたのか貴重品、金沢の有名店の佃煮詰め合わせセットにもカジカは見られなくなった。後で人に聞くとタイでもカジカはあまり取れずかなり高価とのこと。

豆腐を売る店はいくつかある。四角い豆腐もあればおぼろ豆腐もある。昔の豆腐のように固い。一つ5B、店のおばさんが「シェ、シェ」といったから中国系の人か。
日本と同じ納豆があるが、いつも売っているわけではない。タイでは、ある時はあるがない時はない、といった入荷状況の品物は多い。それだけに珍品、好物を見つけた時のうれしさは格別だ。

野菜、特に葉物には掘り出し物が多い。春菊はここでしか見たことがない。それも一度だけ。家に帰ってお浸しにして食べたが柔らかくて甘かった。摘み菜は一山5B、高くて10B。

菜っ葉に限らず、遠出をして何か買って家に帰ると女中のブアさんが必ず、「これはいくらで買ったか」と尋ねる。そしてそのあとの反応は2つに分かれる。一つは、なんでこんなものを買った、近くの市場ならXXバーツで買えるのに。もう一つの反応は、どうしてもっと買ってこなかったのか、である。ソード・タイで買ってきたものに関しては後者の反応が多い。

■漬物と朝食
漬物の屋台は4,5軒ある。お気に入りはソイの一番奥、つまり幹線道路に近い漬物屋、バケツに入った10種類ほどの漬物を並べ、これを箸でポリ袋に小分けする。ここの行者大蒜の根の漬物は絶品、友人にもファンが多いのでキロ単位で購入する。タイの漬物であるから唐辛子が味付けの主役で辛いけれども、言うに言われぬ滋味がある。

マンフレッドを朝市に案内する前、彼に「朝飯は市場で買うから」と言った。そして、まず市場で買い求めたのが大蒜の根の漬物や大根、山菜、ラッキョウ、いずれも唐辛子で真っ赤。大量に買い込むものだから、マンフレッドは目を丸くして「辛いもの、そんなに食べられません」。これが朝食と思ったらしい。

屋台を巡り歩きながら、七輪で焼いたゴマ餅(10B)、餡まん、肉まん(5B、これは安い)、それに最初の油条等を買いこむ。GHに帰って朝食。豆乳が嫌いな人にはGH の無料コーヒーがある。バナナの葉にくるまれたゴマ餅は火傷しそうに熱い。山岳民族は杵や臼に餅が付着しないように、搗きながら摺り胡麻を餅にふりかける。

美味しいですね、安いよね、などと言っているうちにお腹も一杯になってもう9時、どっさり買い込んだ野菜や漬物と一緒に帰宅となる。




写真は油条、ごま餅、茄子販売、漬物屋、豆腐、朝市の托鉢