チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ソード・タイ(2)

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ソード・タイ(2)

■シャン族
シャン族は別名タイヤイ族、カレン族、象使いで知られる山岳民族だ。シャンはタイの旧名、シャムから来ている。タイ人もシャン族ももともとは中国雲南省から移住してきており、同じ民族と言われている。

ミャンマーにピンヤ朝、アヴァ朝というシャン族の建てた王国があった。特にアヴァ朝は14世紀から16世紀にかけて栄え、アヴァはビルマ全土をさす言葉として使われていたという。こういう歴史があるとついつい独立したくなるというものだ。ミャンマー東部に位置するシャン州には現在300万のシャン族が住んでいる。シャン族の一部は現在でも自治を要求して度々、ミャンマー軍と戦火を交えている。戦火を避けるため、ミャンマーから多くのシャン族がタイ国内に流入しており、1996年のタイ社会福祉局調査によれば35万人、現在は50万人を超すシャン族がタイ国内に居住している。10数部族、100万人いると言われるタイ国内の少数山岳民族の過半数を占める。

クンサーが司令部を置いていた30年前は、ソード・タイのシャン族も意気が高かったであろう。近郊には塹壕や兵士の訓練所跡などが散在している。塹壕跡を探して、山道を辿ったことがあったが、道が狭く、勾配がきついため諦めたことがあった。
マンフレッドとクーカム寺を訪れた時、バイクに載せられて小学生が次々にやってきた。本堂横の教室で、女の先生から授業を受けている。寺子屋だ。先生に山岳民族の子供ですか、と尋ねたら、すべてシャン族の子供です、とのこと。

シャン州はルビーやサファイヤを産出する。また北タイはミャンマーからの麻薬、覚醒剤の中継地だ。この利益でミャンマーのシャン族は中国から武器、弾薬を購入している。クンサー時代のように10歳にも満たないような子供が「ヤング・ソルジャー」として再び銃をとることがないように祈りたい。

■抗日ドラマ
GHのテレビをつけると中国本土の番組をやっている。雲南省から移り住んだ中国人が見るのだろう。ソード・タイでの楽しみの一つは抗日ドラマ鑑賞である。美男美女の八路軍兵士が登場、これがやたら強くて、並みいる日本兵をバッタバッタとなぎ倒す。美人兵士は空手で日本兵を真っ二つに割ったり、弓矢で戦闘機を撃墜する。ランボー顔負けの大活躍だ。ドラマでは将校は日本語を話すが、兵士は中国語のみ。その日本語もかなりおかしく、導火線がぱちぱちと爆薬庫に向かって燃えていくのを見て、あっ、ヤバい、と叫んだりする。

強姦シーンは当たり前、中国人少年が、あっという間に裸にされて、生体解剖されるというシーンもあった。でも最後には十人ほどの解放軍兵士が何百人もの日本兵を皆殺しにして終りとなる。こんなに解放軍が強かったのなら、どうして日中戦争に勝てなかったのだろう、と中国人民でなくても不思議に思う。日本は国民党とは戦ったが、八路軍は逃げ回っていたため、共産軍とは戦っていない。

時代設定は1930 年から1940年代半ばとなっているが、フォルクスワーゲン自動小銃などその時代にはありえないものが登場してくるので、間違い探し番組として見る楽しみ方もある。また、筋立てが決まっていて、どのドラマも同じで、一回見れば飽きてしまう。確かに日本軍の悪役ぶりが目立つだけでドラマとしての真実性、精神性は全く感じられない。歴史モノではなく、荒唐無稽なSFモノ、あるいはお笑いモノとして見るという中国人民の精神はかなりまともではないかと思う。

■ソード・タイの夜
夕食は通常、プーセンタワン・リゾートから歩いて3分の中華料理店で摂る。GHの主人ご推薦の店である。推薦してくれた割にはいつ行ってもお客がいない。客の全くいないレストランで食事するのは不安であるが、このあたりには他にめぼしいレストランがないから仕方がない。
品数は多くないが、メニューが中国語と英語で書かれているので、何とか注文できる。ここの雲南スープは誰が食べても美味しいと言ってくれる。野菜や豚の筋、キノコなどのごった煮だ。山の夜は急激に冷えてくるので。こういった暖かいスープがいい。

食事の後は、ちょっと一杯、といきたいところだがこの街にはバービヤはない。カラオケは4軒ほどある。一度、入店したことがあるが山岳民族の女子高生達がわけのわからない歌をがなりたてており、日本の歌はないというので長居はしなかった。

GHの裏の広場には夜店が出る。山岳民族の親子が楽しそうに歩いている。串焼き、焼きそば、衣類、雑貨等、販売価格は北タイ最低レベル、買うものはないが、人々を見ているだけでなんとなく和んでくる。(続く)




写真はヤングソルジャーに話しかけるクンサー、クンサー博物館、雲南スープ、村の散髪屋さん、ゲストハウス