■国民の義務
東宮御教育常時参与として皇太子殿下(現在の今上陛下)の教育責任者であった小泉信三先生は昭和8年から21年まで慶応義塾大学塾長の職にあった。
学徒出陣壮行会で、塾生に「100年、兵を養うはまさにこの日のためである」という訓示を残している。
戦後、GHQの米国人将校が先生のもとにやってきて「お前は戦争協力者だ」と非難した。答え方によっては戦犯として引っ張る積りだったのだろう。先生は「自分は戦争に反対ではあったが、一旦戦いとなれば祖国が勝つために最善を尽くすのが国民の義務であり、それを果たしただけである」と答えた。将校は黙って引き下がったという。
自分は戦争を知らない世代に属するが、3年半の長期にわたって海外からの武器弾薬の供給無しに世界の強国と戦い続けた、それができた、ということは全国民が聖戦貫徹のために一致団結したからだろうと思う。国の存亡がかかっていたのだから戦争協力が当然だ。それを軍部に騙された、新聞が戦争を煽ったからだとか他人に責任をなすりつけ、自分は被害者だという風潮があるのはどうしてだろうか。
サラリーマンでも大きなプロジェクトに参加し、誠意を尽くして働いたのであれば、たとえそのプロジェクトが失敗しても、俺は騙された、上司が悪かったなどと泣き言は言わない。自分だってイランプロジェクトに参加できたことを密かに誇りに思っている。結果はどうであれ、一生懸命やったことには誰だって自負があるはずだ。
■反日新聞
朝日新聞の従軍慰安婦、吉田調書誤報問題で大騒ぎである。これは誤報ではなく捏造である。朝日は実質的に謝罪していないし、日本の尊厳や誇りを踏みにじったことには何も反省していない。これからも追及が続くと思う。でも池上某のようにこれからも反権力として頑張ってほしいと朝日にエールを送る声が一部にはある。ええっ、朝日が反権力? どこが? 今はちょっとでも景気が下振れするとアベノミクスはもう終わりだと大喜びしているが、民主党政権の時、菅首相を大震災に冷静に対応していると持ち上げていたのはどこの新聞だったか。
朝日は反権力ではなく、ただ日本が国際社会で名誉ある地位を占めたり、日本人が国に誇りを持つことが嫌で嫌で仕方がない反日メディアである。中韓は日本を貶めることが国是であるから朝日と話が合う。こうして見てみると、朝日は、日本が普通の国になることを阻止しようという巨大権力のパシリであることが分かる。日本の再興を阻止する巨大権力とは米国のことだ。
朝日新聞は戦後、一貫してGHQの「WGIP(ウォー・ギルド・インフォーメーション・プログラム)」に従って、日本人が二度と白人に歯向かわぬよう、日本が悪かったという意識を日本人に植え付けてきた。軍隊保有はもちろん、愛国心、郷土愛、家族連帯、あるいは皇室崇敬心といった日本の良き伝統を消し去ることに躍起となってきた。「天皇は稲を植えた」と「お植えになった」という敬語を使わない新聞がどこにあるか。タイの新聞が王様に対し、このような言い回しをしたら即、発禁になってしまう。
白人国は植民地に民族問題、宗教問題を持ち込み、国が常に混乱するように仕向けてきた。これを分割統治という。北アジアで日中韓が反目し合っている方が米国には都合がいい。但し、紛争は困る。尖閣諸島に火がつけば「世界平和のため、日本は中国に尖閣諸島を割譲しろ」とオバマは言うだろう。中国の核攻撃を恐れるあまり、沖縄の日中共同統治を仲介するかもしれない。
米国の国益にとっては日本など手駒の一つ。戦後の朝日は米国の走狗でしかなかった。
■反省を込めつつ
朝日は先の大東亜戦争で、国民は軍部に騙された、再びこの道を歩むまい、と書き続けた。実は新聞ばかりでなくNHKをはじめとする放送メディアもGHQの方針に従って、一部の軍国主義者が悪いのであって国民は被害者だったと言い続けてきた。軍部や戦前の新聞に騙されたのなら、GHQの企みに戦後69年も騙されてきたのも同じ国民である。
朝日を袋叩きにするのもよい。でも現代は新聞、テレビ以外に、ニュース、歴史を自分なりに検証する手段がある。ニュースは読むべきものであって読まされるものではない。何か真実が顕れる度に騙された、と自分を正当化するのは自立した大人の態度ではない。でも自分だって、美濃部都知事に1票を入れたし、世田谷に住んでいるときは民主党の小宮山洋子さんに投票したこともある。
そういう苦い反省を込めつつ偉そうなことを書いてみた。