チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ5年3カ月

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

介護ロングステイ5年3カ月

■暑季
暑季真っ盛りである。最低気温は22-23度で朝は過ごしやすい。しかし日中ともなると36-37度に上がる。ただ湿度が高くないので、東京の夏よりは楽である。一階で母は過ごしているのだが、一階は陽が差さないので比較的涼しい。時折、扇風機を使う程度。

兄と自分が居住する2階部分には西日が当たり、西側の壁が蓄熱体となっている。壁際のクローゼットを開けると暖かい空気が流れてくる。虫除けにナフタリンを入れてあるのだが、この暑さでは虫も干上がってしまうのではないか。クローゼットに入っている衣類が虫に食われたことはないが、これは暑さのおかげというより、カツオブシ虫の好むウール、絹などの動物繊維の服が無いからかもしれない。

母の衣装はこの時期、短パン風の半ズボンにTシャツ、兄が日本から買ってきた袖無しのシャツを着ている時もある。外出することはなくなったが、せめて品のいいものを着せてやりたいと思う。しかし、時折、みじめっぽいタイシャツやピラピラの半ズボンをはいている。ブアさんが、涼しくてママさんもきっと喜ぶ、と自分の趣味で一枚50B(150円)位のシャツや短パンを買ってくるからだ。

朝、ブアさんとニイさんに抱えられて長椅子に座る。髪をとかしてもらったり、タオルで顔や体を拭いてもらう。着替えもこの時にする。衣服の選択は女中さんに任せている。だから珍妙な配色になることがある。こちらに来た当初であればまだ意識がはっきりしていたから、こんな服イヤだ、と言ったに違いないが、今は大人しく、女中さんの趣味による着せ替えに甘んじている。

■夏の集団出家
4月は暑くて子供も勉強する気になれない。だからこの時期は学校は夏休みになっている。でも中学生くらいになると夜、涼しくなったころ三々五々集まってバイクに乗ったり、よからぬ行動に走る。日本でも夏休みに生活が乱れて、非行に走るという傾向が無いでもない。それを防ぐため、ということもあるのだろうがこの時期、あちこちの寺で子供たちを集めて一時的に出家させ、しばらくお寺で預かるという風習がある。日本の林間学校みたいなものかもしれない。

タイの男性は成人前に一度は出家する。それは成人式的な意味合いもあるが、育ててもらった親の恩に報いるためで、出家して功徳を積み、その功徳を特に母親に回すのが望ましいとされている。だから、母親が率先して出家を促す。

今月は2回ほど、この出家式に立ち会った。別に行きたいというほどではないのだが、ブアさんがこの儀式でいくらかのタンブンを包み、母の健康長寿を祈るという。別に母の長寿を望まない、とは言えないし、最近はブアさんに同化されてきて、母が元気に、また我々兄弟も毎日ビールが飲めるのはいくらかタンブンをしているからではないか、と思うようになってきた。

■得度式参列
自宅から20キロほど離れたロンブ寺に行った。36人の村の子供が出家するというので村人のほとんどが寺に集まっている。飲み物やアイスクリームの無料接待をする屋台も出ている。白の僧服を着た子供たちが本堂で坊さんの話を聞いている。小学生低学年から中学生くらいか。真面目に話を聞いているという感じではない。あくびをしたり、隣同士つつきあって遊んでいる子もいる。
出家するにはまず体中の毛を剃る。頭はツルツル、眉毛もない。タイの坊さんは悪相が多いと言った人がいたが、それは坊さんには眉毛が無いせいだろう。東映映画、仁義なき戦いシリーズで梅宮辰夫や川谷拓三が眉毛を剃り落としてヤクザを演じていた。確かに眉毛が無いと凶悪な顔つきになる。

36人の一休さんたちへのオレンジ色の僧服授与が始まった。出家式のハイライトである。僧服は両親、親族縁者、地域の名士など2,3名が僧服セットを子供に捧げるという厳かなものだ。みんなでサンスクリットのお経を詠み、捧げられたばかりのオレンジ色の僧服に着替える。この儀式を経て一休さんたちは沙門から僧伽(サンガ、僧集団)に入るのである。僧となった子供を囲んで一族で記念な撮影。お母さんといえども僧となった子供には触れることができない。大人に拝まれて、子供たちも緊張している。
これから厳しい修行が始まるのでは、と同情したが、出家期間は高々、2週間とのことで、それを過ぎると還俗できるそうだ。やはり林間学校か。


無事得度式が済むと、少年僧たちは村人の列に進んで初めてのタンブンを受ける。自分も促されるまま20B札を小坊主の鉢へ入れる。このタンブンで母の健康長寿が約束されるのであれば、決して高いものではない。






写真は得度前と得度後の記念写真、並びに最初の托鉢、親類縁者に囲まれてお経を読む様子、涙ぐんでいる女性が母親です。