チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ 4年7カ月

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介護ロングステイ4年7カ月

■女中さんの楽しみ
先任女中のブアさんはずっと住み込みで働いている。通いのニイさんの勤務時間は朝7時半から夕方18時半まで、日曜が公休日。ここ1年、このコンビが続いている。二人とも明るい性格なので、介護家庭とはいえ活気がある。

女中さんたちの楽しみは宝くじを買うこと。くじを見せびらかして、これで400万B当たったら、100万はタンブン、100万で家を買って、100万は貯金、残りの100万で女中さんを雇ってママさんの面倒を一緒に見る、などと言っている。

ニイさんたちが買うのはヤミ宝くじ。公営宝くじの20倍から30倍の規模があるという。お上の取締りは特にないようだ。くじは下2ケタ、3ケタの数字を当てる仕組み。自分の知る限り、ニイさんもブアさんも2回ずつ当たっている。大体100Bの投資で4000B当たる。ブアさんは2万B当てたことがある。

日本の宝くじの還元率は46%、つまり1000円投資すると当選金として還ってくるのは460円である。その点、タイの宝くじの還元率は70%というからかなり良心的だ。
日本であれ、タイであれ、庶民が努力せずに大金をつかむ方法は宝くじである。国道沿いはもちろん、市内の至る所で宝くじを売っているし、銀行、レストラン、葬儀会場、結婚式場、新築祝いなど人の集まるところには必ず、宝くじ売りのおばさんがやってくる。

街で交通事故があると、車を停めて事故車のナンバーを控えるタイ人は少なくない。事故車のナンバーは当たると信じられている。

先ごろ、友人が事故死した。帰宅したら女中さんがまず尋ねたのは友人の車のナンバーだった。全く何を考えているのか。

認知症の薬
日本人に生まれたのは前世でブン(徳)を積んだからに相違ない。そういった徳の高い人に宝くじを選んでもらうと当たるという。自分もニイさんに頼まれて買って来た宝くじが当たり、感謝されたことがある。

ママさんも前世でブンを十分に積んでいるので、長生きをしている、と思われているようだ。そうかもしれない。

兄が2カ月ぶりに病院に行き、母の薬を貰って来た。ここ1年、母は病院に行っていないのだが、薬だけは出してくれる。
今のタヌー医師は脳専門医であるが、彼の処方する薬に変わってから譫妄(せんもう)が激しくなったような気がする。譫妄とは意識レベルが低下して、不安やイライラ、不眠などを伴う幻覚や妄想が起きたり、興奮状態になったりすること。認知症などで脳の機能が低下している時に起こりやすい。

認知症の薬としてはアリセプト、イクセロン、レミニールの3つが知られている。いずれも脳内物質の代謝に作用するため、量の処方が難しい。

母は起きている時、大声をあげていることが多いのだが、薬のせいかもしれない。イクセロンは幻覚、激越、せん妄、錯乱のほか、下痢の副作用がある。お腹の調子が悪い日が2,3日続くと母の体力が落ち、肩で息をする。女中さんが効能書きを熟読し、母の体調を見ながらイクセロンのを使用を調節していた。

イクセロンは副作用があって、というとタヌー医師は、新薬レミニールに代えた。この薬もイクセロンと同系統の薬だ。効能書きには「認知症の進行度が中程度までの場合、20~30%位の有効率が期待されます。但し、対症療法薬なので、アルツハイマー病そのものの進行を遅延させる訳ではありません」とある。今の母に効いているかどうかわからない。そういったら薬量を2倍にされて、母は意識を失った。その意味では効き目があった。

「ソマジナ」という水薬も飲んでいる。これは別名シチコリンといって意識障害、記憶障害に効くという。日本の病院では1000mgを静脈注射している。米国では頭をよくするサプリとして売られているが、経口では気休めにしかならないらしい。

■副作用の心配
レミニールもソマジナも胃腸に負担を与える。そこで「ミラシッド」という胃薬が処方されている。プロトンポンプ阻害剤という胃酸の分泌を強力に抑える薬だ。二日酔い、食べ過ぎの時、服用したが効果は抜群だった。
タイでは市販薬として14錠入り1箱が100B以下で買える。しかし日本では市販されていないので並行輸入品が2千円以上で売られているとのこと。
このミラシッドの副作用は少ないとされているが、効能書きには稀に譫妄、錯乱、興奮を引き起こすとなっている。

譫妄を抑える薬で消化器がおかしくなり、消化器を守る薬に譫妄の副作用がある。
認知症の改善効果が期待できないのであれば、薬の服用を全部やめてしまえばいいのではないか思う。しかし、大声が出ているうちは元気である、ともいえるわけで、このあたりの判断は難しい。


写真は病院受付と、二人の女中さん。